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第1話 プロローグ


天使と悪魔の戦い。

それは西暦2XXX年地上をどちらの領地とするかが問題になって勃発した。

戦争の激戦区となった地上は今や生態系と呼べるものが悉く絶滅し、地表はボロボロに砕け天使界、悪魔界の区別がつかなくなるほど戦争は激化していた。

世界が悲鳴を上げているとしか思えないほどに地上は火山が延々と燃え上がり大雨が長年降り続き異常気象を引き起こしていた。

人類はわずか開戦後10年で絶滅し、その全ての魂は輪廻の輪へと帰っていった。

悪人は地獄陣営へ、善人は天使陣営へと転生を果たした。

天使と悪魔の戦いはまさに一進一退。

天使が悪魔の長である魔王を倒すこともあれば、悪魔が天使の長である四大天使を倒すこともあった。

死した魂はまた輪廻の輪へと帰って行き魂ごと打ち砕がなければその連鎖が途切れることはない。

だが、魂を砕く能力があるのは両陣営のほんのひと握りだけ。

両者の戦いは代を超え、延々と続いている。

これはこの戦争を終わらせるきっかけとなる、ある1人の天使の物語。



**********************************************

罪を犯した。それは取り返しのつかない生涯で最初の最初で最後の大罪だ。私にはもう残された道は1つしかない。 最低で最悪な運命の帰路に立たされているというのに。つくづく私はどうしようもないな。この罪悪感から、とめどない自責から解放されるならむしろ...と喜んでしまっている私が嫌いだ。


ザザッ.... 「#神 *・°よ。存分に主命を全うして参れ。 」 「我が名、/神$<°|・において命ずる。」 「墜ちよ。」


脳裏にそんな言葉がよぎる。


...誰の声だ?いやこれはいつの記憶だ...?そもそも私は...俺は春樹。佐藤 春樹だ。日本で平穏な暮らしを送っている中、交通事故で死んでしまった。

ああ...俺は死んだのか。転生したら何になるのかな。


そして意識が完全に目覚める。


目を開けると、いや、目と呼んでいいのかわからないなぜなら視界が360度全て見えるのだから。

そこには阿鼻驚嘆のまさに地獄が広がっていた。燃え盛る炎が周囲のあちこちから上がっており、地面は血をすすったかのような真っ赤な赤。空は暗くてよく見えず、永久の闇が広がっているようだった。

数え切れないほど多くの人が、大きな金棒をもち、角を生やした「鬼」に追いかけられている。

捕まった人は悲鳴を上げ、鬼に拷問を受けながら嬲り殺しにされ、死ぬ。

そしてまた鬼が「活活」と唱えるとまた生き返って鬼ごっこが始まる。


(あー、ここはどこだ?この状況...俺はどうやら地獄に来ちまったようだな...最悪だ。前世そこまで悪いことをした覚えはないんだが。ってあれなんで前世の記憶があるんだ?)


(疑問を浮かべてみるが、そんな場合じゃないよな。とりあえず逃げる場所を探さないと。)


足を動かそうと思ったが足の感覚がない。


(ギャー!!手もない足もない!今どうなってんの俺!視覚と聴覚は生きてるっぽいけど他なさげじゃね?)


大慌てで自分自身を確認してみようとするが360度映るのは景色だけ。

つまり、球体ってことだ。


(え?どうやって動くのこれ。詰んだくね?

鬼ごっこしてる人間より更にハードモードじゃね?俺今魂ってことだよね?)


必死に丸いからだを動かそうとすると、フワッと宙に浮かべることが分かった。


(おっ浮いた。力抜いてクラゲのように生きたい方向へ体を傾ければいいんだな。

俺はクラゲ〜人畜無害なクラゲ〜。)


そういえば一応俺って生き物だよな...?一体どの生物から生まれたんだ?近くには鬼と人間しかいないっぽいし。まぁいいや!天より舞い降りし神の使いクラゲ様ってことで。



「ひぃぃぃっ!たすけてくれぇぇ」


中年くらいの男性が鬼から必死に逃げ回りこちらへと向かってくる。


(んー俺こんな見た目だし多分俺に対していってるんじゃないんだろうな。クラゲだし)


(俺のサイズは人と比較してみると人の頭一個分ってとこだな。がんばれがんばれーおっさん。)


俺は悠長に空からその様子を観察していた。


すると突然、鬼は人間を追うのをやめその場に立ち止まった。


(...こっちみてね?なんであの鬼俺の方に意識向け出したの!)


ズシンズシン。人間の3倍以上の図体をした鬼が

まさしく鬼の形相でゆっくりとこちらへ迫ってくる。


(ひええぇぇ!にげるんだよぉぉぉ!全力で空へフライ!金棒の射程圏外まで逃げれば勝ちだ!)


「****」


鬼がボソッと聞き取れない言葉を発すると体にズシリとおもりが乗ったような感覚に陥った。


(くっ..何をしたあの鬼!まずい、飛ぶのを維持できないっっ)


飛ぶのを維持しようと力を抜こうとするが、見えない圧力によって邪魔をされる。


ズシンズシンと鬼がゆっくりと近づいてくる。


落下した俺に金棒が振り下ろされようとしたその時。


(引いてダメなら押してみろだっ!)


全身に力を入れると、ニョキッと何かが生えた。


(なんだこれ...三角形の変なのが生えた。。もう一踏ん張り!んーっっ)


すると生えたものが矢のように形が変形し、鬼の方へとその矢が勢いよく飛んで行く。


「!?!?ギャガグラァァ」


鬼に直撃し、ジュッと肉が焦げるような音がして身悶えるように鬼は苦しんでいる。


(圧力みたいなのが消えた。これで逃げることもできるが...ここで引いては男が廃るってもんだな!)


決意を固めもう一度攻撃を試みる。


(この攻撃は鬼に有効みたいだな。よしもう一発!んーっっ)


またもや鬼に直撃し、鬼の体はボロボロと崩れていった。やがて、魂のようなぼんやりとしたものに形を変え俺と同じようにフワフワただよっている。


(なんとか勝てたな...あんな金棒を一撃でも食らったら死んでたとこだぜ...)


それにしてもこのフワフワした魂みたいなのなんだ?俺の同族か?いや、明らかサイズが俺の十分の1くらいだし鬼の中に入ってたから違うよな。


(とりあえず触ってみるか。)


球と球が触れ合うと、俺の方にその光が吸収された。


てってれてってっててー。


突然脳内にファンファーレが鳴り響く。

<リトルデーモンを倒しました>

<経験値17を獲得しました>

<魂の取得によりスキル威圧を獲得しました>

レベル1→3


そう見つめていた視界の中にウィンドウのようなものが表示され、レベルというものが上がったことを知る。ウィンドウを強く見つめると、次のものが表示された。


ステータス

名前:佐藤 春樹

レベル3/10

経験値0/15

HP10/10

MP5/17

種族:天使

スキル:ホーリーアロー1/10

浮遊 ー

威圧1/10

耐性:対邪悪F


(あー...俺ってクラゲじゃないっぽいな...)

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