熱風
地上では花火を楽しむ人々が空を見上げていた。
ただ花火を楽しむでもなく決意に満ちた瞳をした者。
ニュースを見て驚きから友人達と花火そっち退けで盛り上がる者もいた。
そして屋上では。
「では成果の確認だ我は一瞬で結果が解るがそれでは面白くないそちらの手勢にお任せしよう。」
「良いだろ、おいお前達集計しろ。」
「「「「へい!!」」」」
犯罪組織から雇った者達、数十人がモニターの向こうがわで集計と確認作業を始めた。
そしてF、エンヴィー、ジェラはエンヴィーが洋館に有りそうな長テーブルにローソクの火が燭台でゆらゆらと揺れるセットを指を鳴らし作り出すとFは部下達に指示してティーセットと焼き菓子を持って来させた。
「ほう、これは用意が良いな、テーブルは余計だったかな?」
「いやいや、こっちは貧相な丸テーブルだったから有り難く使わせて貰うとも、まぁ後程やり方のコツでも教えて貰えると有り難いげどな。」
「貴方が考えそうな事は理解してますから、備えてましたよ。何せ貴方が出す食材は味がないのですから。」
ギリッとエンヴィーが嫉妬似た視線を二人に送り深呼吸して平静を取り戻した。
「あぁ、そうだとも私が再現出来る味覚など酸味だけだ。我々の世界は味覚など存在しなかった。」
「で、あんたはこっちの世界に眼をつけたわけか、そんで俺の精神と身体にそちらさんの人々を寄生させて味を楽しむレストラン代わりする為に!!」
「そしてこの世界で魂だけだった私を使い魔にして情報を引き出した、私は貴方を許しません!」
「ふ、フハハハ!!。寄生、レストラン?情報、許さない?物は言い様だなそうだとも、結果は同じだ。」
今まで飄々としていた態度が嫉妬に満ちた顔と声色になり、普通では感じられない程の威圧感に二人は喉を鳴らした。
「っとこれは失敬折角の紅茶だ頂こう。………ほう良い酸味だレモンティーと言ったかな?」
「あ、あぁぁ………気に入って貰えて良かった。」
「………………。」
場の空気は多少柔らかいだが、Fはエンヴィーが新ためて唯の人ではない事実を叩きつけられて今までの余裕が失くなり,不安感がふつふつと沸いてきていた。