夫婦の愛は永遠に
楽しんで読んで戴けたら嬉しいです。
次の日の夜、蘭は大助の家を訪れた。
「どうしたんだ?
八重草! 」
蘭の姿を見た大助は驚いた。
蘭はたった一晩でゲッソリやつれ、眼の下にはクマができ、疲れ切った顔で言った。
「幽霊とデートすると祟られるとか、霊気にあてられるってありか?
昨日帰ってから身体怠いわ、夜金縛りに遭うわで、メッチャメチャ調子悪いんだ」
「そういや今日、学校で調子悪そうにしてたな」
大助は珍しく真面目な顔で言った。
「でもさ、祟られるとか、そう云うの無いと思うな
あいつ性格はともかく健全な幽霊だよ
オレはいつも一緒に居るけど、そんなんなった事無いし」
「清友は? 」
「今、幽霊専門ゲイバーに遊びに行ってる
もうすぐ帰ると思うよ」
「幽霊専門ゲイバー………………」
蘭は眼を丸くした。
「清友帰るまで、何か聴くか? 」
「ああ、そうだな」
大助がCDを掛けようとすると帰って来た清友がカーテンから顔を出した。
「あっ、蘭さん!
来てたんだ! 」
清友は満面の笑顔で部屋に降り立った。
だが次の瞬間、清友の表情は一変して険しくなった。
清友は蘭に向かって言った。
「アナタ誰?
蘭さんから離れてよ」
大助と蘭はきょとんとして顔を見合わせた。
清友には見えていた。
蘭に取り憑く若い男の幽霊の姿が。
男の幽霊は清友に怒鳴った。
「お前こそ引っ込んでろ!! 」
机の椅子やCD、本やクッション、ギターなどが空中に浮き上がった。
大助が珍しそうに辺りを見回しながら言った。
「へえー、凄いな清友
ポルターガイストか、オレ初めて見るぜ」
「違うったら、大助
ボクはラップ現象起こすことさえできないよ
これは蘭さんに取り憑いてる幽霊がしてるんだ
この人、誰かを恨みながら死んだんだ
だから怨念の力で、こんな現象起こせるんだよ」
「清友君! 」
清友が振り返ると雌雄のママが来ていた。
「ママ………………」
「突然、清友君の家の方から凄い霊気を感じたから、何事かと急いで飛んで来たの
みんなも居るわ」
大助の部屋に処狭しとオカマの幽霊が溢れ、大助と蘭を取り巻いた。
皆、ポルターガイストを珍しそうに見学している。
房子の姿も在った。
大助と蘭は取り囲むオカマの幽霊を見回した。
「来過ぎだろおおおっ!
オカマあああっ! 」
大助は頭を抱え込んだ。
清友は必死だった。
「何故、蘭さんに取り憑いてるの? 」
男の幽霊は言った。
「一生懸命アダルトDVD観て勉強して、やっと漕ぎ着けて彼女と初エッチしたのに、下手ねって言われたんだ。
男にとってこれ以上の屈辱は無い!
この娘はヴァージンだからな、俺好みに調教してやるんだ」
雌雄のママが言った。
「まあ、それは男にとって切実な悩みだわ
女も大変だけど男も大変よね
でも、その娘の意思を無視するのは良くないわね」
「うるさい!! 」
椅子が壁に打ち付けられた。
ドンと云う凄い音が下の階の茶の間まで響いた。
晩御飯を食べていた孝雄は天井を見上げた。
「大助は二階で何を騒いでいるんだ? 」
洋子も天井を見上げて言った。
「さっき女の子が遊びに来ていた様だけど」
孝雄と洋子は顔を見合わせた。
「まさか、大助…………………」
親に信用ゼロの大助である。
二階の大助の部屋では、清友が男の幽霊を何とか蘭から離そうと頑張っていた。
『恐いよお
恐いけど蘭さんが…………………』
清友は泣きそうになるのを必死にこらえ、意を決して言った。
「お願いです!
蘭さんから離れて!
その代わりボクができること何でもしますから! 」
男の幽霊は冷たく言いはなった。
「お前にして貰うことなんて何も無いね」
緊迫した状況に皆がざわつく中、房子だけが沈黙し、男の幽霊を見詰めていた。
房子は男の幽霊に歩み寄ると言った。
「貴方、よく見るとメチャクチャ私好みのイケメンじゃないの! 」
男の幽霊は房子を振り返り見詰めた。
房子は言った。
「その彼女、不感症なんじゃないの
私なら貴方みたいなイケメンに抱かれたら断然感じちゃうわ」
房子は男の幽霊に手を差し伸べた。
「私と試してみない?
貴方が下手だったのか、彼女が不感症だったのか」
房子の言葉に、傍で聞いていた蘭は顔を赤らめた。
『大人の会話よね………………』
突然ドアが勢い良く開かれた。
「大助っ!!
お前、何をしてるんだ!! 」
孝雄が叫んだ。
孝雄の隣には洋子も居た。
大助は狼狽えた。
『げげっっ!!
物はぶっ飛んでるわ、オカマの幽霊はゾロゾロ居るわのこの状態をどう説明すればいいんだよっ! 』
房子は言った。
「あら、丁度いい媒体が来たじゃない
この夫婦に取り憑いて私達で性生活を改善すれば成仏の道もひらかれるわ」
「そんな解決法いらんっ! 」
大助は狼狽した。
男の幽霊は満更でも無いらしく、房子と手を取り合った。
「やめろ~ぉっ!!
人んちの家庭を掻き回すなあああっ! 」
しかし大助の叫びは徒労に終わった。
孝雄の身体に男の幽霊が、洋子の身体には房子が取り憑くと、孝雄と洋子は熱い視線を絡め合い、しっかりと手を握り合った。
「君は何て魅力的だったんだろう! 」
「あなたこそ! 」
孝雄は洋子の肩を抱くと言った。
「早く寝室に行って夫婦の愛を確かめ合おう」
「ええ……………」
「いい歳こいて、いちゃつくなあああっ!!
ハートマーク飛ばしてるんじゃねえええっ! 」
しかし、二人の世界に入り込んだ孝雄と洋子には聞こえないらしく、二人は寄り添いながら部屋を出て行った。
「この状況を無視して行くんかいっ!! 」
「清友君!! 」
雌雄のママの叫び声に大助が振り返ると清友は清浄な光に包まれ、透明に溶けかけていた。
雌雄のママが言った。
「もともと邪心が無いから、彼女を助けたいと云う必死な想いだけで成仏の扉が開かれたんだわ! 」
大助は夢中になって叫んでいた。
「清友っ!!
うざいって言ったのは嘘だ!
逝くなっ、清友っ!! 」
清友は眼を閉じた。
『仏様、有り難うボクを成仏させてくれようとしてくれて
でも仏様、ボクとても気掛かりな事が有って、今は逝きたく無いんです
折角のチャンスだけど、仏様……………
お願いです…………………………………………』
「蘭さーーん! 」
公園のベンチの傍で待つ蘭に、大助に取り憑いた清友は手を振り、駆け寄って蘭の腕を抱き締めた。
「今日は何処へ行こうか」
「あの後、おじさんとおばさんは? 」
「うん、相変わらず、処構わずいちゃついてるよ」
蘭と清友は歩き出した。
「本当に良かったのか?
成仏先送りにして」
「どうしても蘭さんに伝えたい事があったから」
「伝えたい事? 」
「実はね、この前大助に取り憑いて解ったんだけど、大助も蘭さんの事好……………………」
「わああああああああっ!!
清友、てめえ何言いやがる! 」
「だから、大助も蘭さんが好……………………」
「わああああああああっ!!
余計な事言ってんなっ、ボケ幽霊っ!! 」
蘭は声を上げて笑い出した。
「一人漫才観てるみたいだ」
通りすがりの人達が、蘭と清友が取り憑いた大助と大助が会話しているのを物珍しそうに見ていた。
幽霊に取り憑かれるより、恋に取り憑かれる方が、よほど厄介である。
fin
最後までお付き合い戴き有り難うございました!
うる星やつらと銀魂が、大好きです。
私は人と、笑いのツボがづれてるので、テレビのバラエティーをみてもあまり笑えません。
でもうる星やつらと銀魂は、私でも凄く笑えて、
ああゆう作品を書いてみたいです。
いつか書けたらいいなあ。
それでは、また逢える日を楽しみに、皆様、お身体大事に……………。