表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/41

34 王宮剣術大会 ~準決勝~

 2戦目、氷魔術師、3戦目弓使い、4戦目…… 

 オレは順調に勝ち進めていた。


≪さあ、続いて準決勝1試合目!

 炎魔術師エイデンと聖騎士ユノー、舞台へあがれ!≫


 ファーガス様の熱い実況を観客は喜んでいた。

 歓声の中、エイデンとユノーが現れた。


 二人の戦いは、はじめ互角の様相を見せた。

 とはいえ、炎魔術師であるエイデンだが、にやけながら剣術のみで相手をしており、ユノーはそれに怒りを募らせていた。

 まるで剣舞でもするようにエイデンは舞台を踊りまわり、ユノーは槍でそれを追い回した。


 追いかけているうちに、ユノーの槍はエイデンをとらえはじめ、ついには槍先がエイデンの頬をかすめた。

 

「ついに我が槍がお前をとらえたぞ。

 炎魔術師エイデン、魔法も使わずなめやがって」

「別に舐めてたわけじゃないさ」


 エイデンは飛び上がって舞台中央に剣を突き刺した。


「魔法陣を書いてたんだよ、特大のな」


 エイデンがそう言うと、空中に文様がうかびあがる。

 文様は赤い光を放ち、魔法陣となって緩やかに舞台の床に落ちた。


 すると、舞台全体を炎が包み込み、エイデンとユノーを隠してしまった。


「な、何が起こっている?」


 炎の中にいるユノーは混乱した様子だ。


「くく、このまま炎をアンタにぶつけても良かったんだけどなあ」


紅炎の剣プロミネンスソード


 エイデンが呪文を詠唱すると、舞台を包む炎は中央の剣に収束していった。

 エイデンが舞台中央から剣を抜き放つと、炎はすべて剣にまとわりつき、紅々と刀身を光らせていた。


「さあ、オレの究極武器の完成だ。

 かかって来いよ」

「く……くそおおお!」


 冷静さを失っていたユノーはエイデンへ突撃。

 エイデンが剣を十字に振ると熱風が巻き起こり、ユノーを襲った。


「ぐあああああ」


 ユノーは熱風を浴びせられ、その場に崩れ落ちた。


「どうした?

 まだやるかい?」


 エイデンはツカツカとユノーに歩み寄った。


「ま、まい……」

 

 ユノーが降参しないうちに、エイデンが魔法剣をユノーに叩きつけた。


「ぎああああああ!」


性根の腐った野郎だ、最後の一撃がなくとも、もう勝負は決まっていた。

 ユノーは降伏するつもりだったしな。


 黒こげのユノーを見下ろし、エイデンはこぶしを掲げる。


≪勝者、エイデン・ラッセル!≫


 観客からは歓声が巻き起こった。

 降参しようとしたユノーに魔法剣を食らわせたニュアンスが、観客席からはわからなかったのだろう。


「ぐ……」


 ユノーからは消え入りそうなほどだが、息遣いは聞こえている。

 救護班が慌てて駆け付け、医務室へユノーを連れて行った。


 余裕の笑みを見せるエイデンとすれ違った。


「次はお前の番だぜ、レオン」

「……エイデン、お前にも痛みをわからせてやる」


≪準決勝、第2試合、剣聖シラノ対、死霊術師レオン、両者舞台へあがれ≫


 次の相手は、剣聖シラノ。


 なかなかの大物だ。

 流しの冒険者で、それぞれの街で依頼を受けて生計を立てているらしい。

 だが、傭兵として人を殺めるのは好まないらしく、戦場には行ったことがないと聞く。

 それゆえ、オレは一度も会ったことがない。

 

 夜の眷属なども、討伐歴がある凄腕の冒険者であることは確からしいが。


 魔法も使えないと聞くから、かなりの肉体を誇っているのかと思っていたが、目の前にいるのは細身の優男だ。

 顔に刻まれた皺が年齢を物語っているが、かなりの美形ではある。

 背はオレよりも少し低く、一見、武芸者とは思えないほどだ。

 

 武装も、胸当てと籠手以外は、普通の旅装と変わりない。

 

「お噂はかねがね聞いております。

 レオン様。

 一度、手合わせ願いたいと思っておりました」


 強者のうわさを聞けば、手合わせ願いたいと思うのは武芸者の本能みたいなものだな。


 互いに武器を構えた。


≪それでは、両者見合って……はじめ!≫


「行きますよ!」


≪先ほどの戦いとはうって変わって、果てしない剣のぶつけ合いだ!

 白骨騎士スケルトンたる黒騎士が、剣聖シラノの攻撃を正確にはじき続けている!≫


「ははは、こんなに強い白骨騎士スケルトンは初めてですよ」


 確かな剣筋だ。

 自分の身長を優に超える長剣を軽々と操り、繰り出されるすべての剣閃が正確に急所を狙っている。

 人の域を超えようとしている剣だ。

 だが、父の剣のほうが、よほど重かったぞ。


≪おお、黒騎士の剣がシラノの攻撃を完全にとらえた!

 無数の剣の連撃を、あえてぶつけ黒騎士の力を見せつけるかのようだ!≫


「くっ……押されていますね。

 いかに強化された白骨騎士とはいえ、こんなに鮮やかに剣を操るとは……」


≪おっと、シラノが守勢に回った!

 恐るべき速さの連撃を黒騎士が繰り出した!

 力で押されたシラノが吹き飛ばされ、態勢をくずしたところに黒騎士が必殺の横薙ぎを繰り出すが、シラノ、たまらず後ろ飛びをしてかわした!≫


「はあ……はあ……おかしいですね。

 私の力を超える力の白骨騎士と戦っても、私は必ず倒してきました。

 いかに力を持った白骨騎士スケルトンであるとしても結局のところ、動きはパターン化しているはず。

 数度、刀を交えれば自ずと隙が見えてくるのですが」


 シラノは、黒騎士の剣をだいぶ体力を失っているようだ。

 倒れそうな体を剣を杖代わりにして、何とか体を支えていた。


≪おっと、体を休ませるいとまなど、黒騎士は許さない!

 一直線にシラノへ突撃してきた!≫


 シラノは剣を納刀し、必殺の一撃で迎え撃つつもりだ。

 納刀した。

 居合だな、ならば。


≪黒騎士の突撃に合わせて、シラノは必殺の一撃を繰り出す!

 納刀のまま構えて一閃!

 黒騎士は突撃をピタリと止め、体をひねって一閃をかわした!≫


 剣をシラノの首筋へ。


「攻撃を途中で止めて体をひねってかわすなど……こんな生きた剣、白骨騎士スケルトンにできるわけがない……まるで……そうか、そうだったんですね」


 シラノは剣を下ろし、両手を上げた。


≪剣聖の必殺の一撃をかわして見せたぞ、白骨騎士スケルトン

 勝者、死霊術師レオン・スチュワート!≫


 観客は剣術の名試合に大喜びだ。

 魔法同士の戦いより、剣術の方が見ごたえがあるらしいな。

 観客が総立ちで拍手をしていた。


≪それにしても、強いレオン・スチュワート!

 本人は一歩も動かず決勝へ駒を進めた!≫


 いよいよ、エイデンとの戦いだな。

 下卑たその笑顔、屈辱に歪めてやるからな。 

読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや評価など、励みになります。


次回更新、12月5日予定です。

次回以降もお付き合いしてくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ