表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/41

33 王宮剣術大会~初戦~

 オレが入場すると、観客の割れんばかりの拍手で迎えられた。

 円形の客席にずらりと観客がひしめいていて、一番上の特別席には王女がいた。

 とはいっても、王女の前にはついたてがあるし、だれかと会うときにはそれに加えて扇で顔を隠すから、オレは王女の顔を見たことはない。


 だが、王女を危機から救ったとき、ついたて越しではあるが、対面することが出来た。

 二言、三言ほどしか言葉を交わしていないが、声を聴くだけで、嬉しさもひとしおだった。

 王女を救えたことは、オレにとってとてつもない栄誉だった。

 だから、論功行賞でその栄誉を汚されたことが、オレにとっては許せない。


 優勝して、もう一度王女に会いたい。


 気合を入れなおして、初戦に臨もう。


≪それでは、王宮剣術大会を始める!≫


 声を増幅させる魔法で、会場中に開催宣言が響き渡る。

 しかし、妙に太い声だな。

 どこかで聞いたような……


≪第一試合、ゴーレム使い「オルグ・スノー」対、死霊術師「レオン・スチュワート」

 両者、闘技場の舞台中央まで進め!≫


 オレと対戦相手は、舞台中央に進んでいく。

 対戦相手は大きな袋を持った小柄な男。

 オレと目が合い、会釈をしてきた。


「はは、お手柔らかにお願いします。

 レオンさん、武勇は伝え聞いております」


 そういった後、オルグ・スノーはてきぱきと袋を開き、土くれを取り出す。

 そして、袋を裏返しその上に土くれを積み上げた。


 オルグは右手にぐっと力を込め、魔法陣を発動させた。

 まばゆい光を放った後、ガタガタと音がして、ゴーレムが積みあがる。

 

≪両者剣を持て、はじめ!≫


 戦闘開始が告げられ、ゴーレムがズシリズシリと近づいて来る。

 それに対し、こちらはずっと止まったままだ。


≪どうした、レオン殿!

 巨躯のゴーレムに臆したか!≫


 止まったままのオレに対して、実況から檄が飛ぶ。

 ……誰だよ、って思ったけど。

 あの人しかいないな。


≪ワシとお主の父に続いて優勝するんじゃなかったのか、レオン殿!≫


 観客席がどよめきだす。

 そりゃそうだ。

 引退して隠居を決め込んでいる、ファーガス元将軍が実況解説を務めているんだからな。


「さて、どっから攻めてくるんです?

 ゴーレムと白骨騎士スケルトン、真正面から戦わせても勝ち目はないと思いますよ」


 オルグは自信に満ちた笑みを浮かべていた。

 ゴーレムは強く、白骨騎士スケルトンは弱い。

 一般的にはその通りではあるが。


≪その通り、どうするんだレオン殿!≫


 ジリジリと進撃してくるゴーレムの体とオルグを互いに見つめ、攻め方を探していたんだが、ファーガス将軍が煽ってくるな。


「見極めた。

 行くぞ」


≪黒騎士が動いた!

 突撃に合わせて繰り出されたゴーレムの右手の一撃を、ひらりとかわし、連撃をゴーレムに繰り出していく。

 この剣技は、まさしくスチュワート家のもの!

 そうか、その黒騎士はレオン殿の父親の白骨騎士スケルトンなのだな。

 であれば、ゴーレムと互角の戦いをするのも納得というもの!

 皆の者喜べ、優勝経験者が白骨騎士スケルトンとして戻って来て、この大会を盛り上げてくれるぞ!≫


 客席からは割れんばかりの歓声。

 知ってはいたが、父の人気をあらためて感じさせられた。


≪とはいえ、剣の連撃を食らってもビクともしないゴーレムにしびれを切らし、黒騎士はゴーレムの攻撃をかわしてオルグへ向かっていく!

 オルグの目の前に黒騎士が迫る!

 オルグは絶体絶命か?≫

 

 オルグは目を見開いた。


「ククク、残念でした。

 レオンさん。

 ゴーレム使いのボクは、自分が狙われるのには慣れています。

 何も備えもなく、ボーっとしてるように見えましたか?

 ボクの目の前で自慢の黒騎士を消した後、レオンさんの本体をゴーレムでなぶり殺しにしてあげますよ!

 ≪炎の渦ファイアストーム≫!」


 オルグの詠唱に合わせて、黒騎士の足元の魔法陣から炎の渦が……巻きあがらなかった。


「え?

 え?

 何で魔法陣が発動しないんです?」


≪魔法陣が発動しなかった! そうか!

 魔法陣には大きく×が刻まれている。

 黒騎士が突撃した際に、剣で図形を破壊し、魔法陣を無力化していたのだ!≫


「く、くそ!

 ゴーレム、ボクを守れ!

 何してるんだ!」


 オルグの呼びかけにもゴーレムは動かない。


「ググ……」


 ゴーレムは膝から崩れ落ちた。


 ズズズウウンン。


≪ゴーレムが倒された!

 黒騎士が剣を持って近づき、オルグの首筋に剣を突き立てた!≫


「ま、参りました……」


 オルグはがっくりとして頭を垂れた。


≪第一試合、勝者はレオン・スチュワート!

 戦闘は黒甲冑の白骨騎士スケルトンに任せ、自分は一歩も動かず勝利を決めて見せた!≫


 通常の人間では歯が立たないゴーレムを倒したことで、観客は大いに盛り上がっていた。


 気を取り直したオルグは、ゴーレムの状態を確かめに行った。


「体の各所に仕込んだ魔法陣が潰されています……ゴーレムの知識があって、相当な剣の腕がなければこんな芸当はできません。

 ……完敗です、レオンさん」


 オレは白骨騎士を引き連れ、舞台を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ