堕ちた勇者(2)
終わらなかった。長くなりそうだったのでまた分けました。
今さらですが評価やお気に入り登録をしてくださっている読者さまや、してなくとも読んでいると言う読者さま。ありがとうございます!
走る,駆ける,翔る……異世界に来てからの一年半程で俺は地球ではあり得ないほどの速度で走れるようになった。まるで電車……これはないな。まるで風のように山を翔る。魔力が多いため、確りと鍛えれば魔法使いとして一流以上になれるとエリーに言われたことがある。しかし、魔法ばかりに特化できる余裕の無かった俺は、魔力ごり押しの身体強化を鍛え上げた…………その結果『近接も出来る暗殺者のような魔法使い』と言う奇妙な異世界人が出来上がったのだった。
「よし! 着いた」
下らないことを考えている内に目的の廃城に到着した。『廃れた城』と言う名にふさわしい程、手入れがされていない事が一目でわかる。最低限の道……と言うか獣道があるが蔦に埃にクモの巣に……本当に汚ならしい。
「………………帰ろうかな? こんな汚ならしい所に入りたくないんだけど」
調査する意欲が削がれていくような場所である。
「まぁ,依頼なんでやりますけどね……はい。それにしても封印されてる勇者って何処にいるんだ? この城の地下に封印されてるとか大雑把な記録しか無かったし……帰りたい」
地上がここまで悲惨なのだ……地下はもっと凄惨なのだろう…………などと考えてしまい余計に帰りたくなってしまう。
「お邪魔しま~…………失礼しました~!」
崩れていた壁から城に入ろうとしたら目の前にレイスがいた。パッと見だったが黒髪だった気がする。とりあえず、魔法を解除して黒目黒髪に戻しておく。
「これで攻撃対象にならなければいいけど」
一度深呼吸をしてからまた入る。目の前にはレイスがいるが、攻撃はしてこない。じっくりとこちらを観察しているようだが好都合。こちらもレイスをよく観察出来る。
レイスは綺麗な翠の瞳に黒髪でパッと見15,6歳程……身体が透けているので見辛いものの後ろの壁が見える。整った顔立ちで、幼さを残すもののキリッとした雰囲気を持つ。
『ねぇ……あなたって魔族? 黒目黒髪だし人間ではないわよね。何しにここに来たの? 理由によってはあなたを殺さないといけないんだけど?』
いきなり物騒だった……
「魔族ではないよ。この世界の人間に召喚されただけ。ここに来たのは、堕ちた勇者、たぶん君なんだけど……の封印が解けかけてるかもしれないからって聞いて来たんだ。普段は魔法で髪と瞳の色を誤魔化してるから問題なくこの国にいられるんだ」
そう答えた瞬間、レイスから暴力的なまでの魔力が噴出した。マジで『ゴウっ!』て音が聴こえた。
『へぇ……あの屑どもまだ勇者召喚なんてことやってんの? 死ねばいいのに。滅びてれば良かったのに』
ブツブツと恐ろしいことを呟いてらっしゃる。
「…………やっぱり来なければよかった。帰りたい……」
次回で『堕ちた勇者』は終わるかな?
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