堕ちた勇者(1)
今回は新キャラが出ます
身体が沈んでいく……
自分の身体が何処を向いているかもわからない程の暗闇で……
声が聴こえた……豆粒程の光が見えた……
大丈夫……まだ私は………………
* * *
最近になって、冒険者としての働きを認められ……と言うよりも信用されたのか,受付で依頼を紹介されるようになった。大抵は俺の実力に見合った依頼で助かっている…………たまに厳しい依頼もあるけど、知恵を絞って何とか達成させている。そして、今日も珍しい依頼を紹介してもらっている。
「廃城の調査?」
「はい。定期的に調査をして、魔物や盗賊などの溜まり場にならないようにしているのですけど、今回はちょっとした問題が……」
「問題?」
「はい。調査中にレイスが突然湧いて出たとの報告がありまして……」
受付嬢さんは眉を寄せて、疑問符を浮かべているかのような顔をしている。
「廃城にレイスが出ることってそこまで珍しいものとは思えないんですけど……そうでもないんですか?」
「いや、廃墟やら廃城でレイスが湧くなんざさして珍しくはないさ。問題なのはその廃城」
俺の質問は後ろから現れた姉御が答えてくれた。その声色はとても面倒臭そうで、それだけその廃城の調査結果が厄介なものだったとわかる。
「ギルドマスター! あれ……奥で書類仕事してたのでは?」
実は姉御はギルマスでした。冒険者からの人望がかなりあって親しまれている人で、俺は普通に姉御と呼んでいる……うん、許されたんだよね。姉御呼び。本名はランシア
「そんなんやってられねぇって。急ぎのやつは片付けておいたし残りはそろそろハープの奴が終わらせてるって」
ハープとは副ギルドマスターで本名はハープシップ……苦労人でいつも姉御の尻拭いをしている。
「えぇ。今さっき終わらせた所ですよ……徹夜明けの身体に鞭打ってね」
噂をすれば……丁度疲れきった顔のハープシップさんが奥から出てきた。昨日まではなかった隈があるものの、まだ姉御を説教するくらいの体力はあるようだ。説教が始まる気配を察したのか姉御は少しずつ後ろに下がっていく……が
「逃がすわけないだろ?」
捕まった。まぁこの流れはかなりの頻度で見るので流しておく
「説明を続けますね。問題の廃城は何十年も前に浄化が終わっているのです。つまり、レイスが現れる可能性は限りなく低いのです」
「けど現れた……と? しかも突然に」
けど、レイスが現れる可能性が低いだけで無いわけでもない。
「そこまで問題視するような事とは思えないのですけど」
「それだけなら確かにDランクにパーティーを組ませて調査させるのですが……その廃城には魔族に堕ちた勇者が封印されているらしくて…………」
「魔族に堕ちた? そんな事あるんですか?」
勇者って事は俺と同じ異世界人だろうし(同じ世界とは限らないが)気になる。
「封印された勇者以外はそんな事はないとのことですけどね。問題はその勇者の封印が解けそうになっているのでは? と言う事でして。Cランクとは言え、戦闘能力をある程度備えているタクマさんにこの依頼が回ってきたのです!」
調査依頼だし、もし勇者の封印が解けてたとしても戦闘をしなくてもいい。気にはなるし金も貰えるし……
「受けます。装備を整えたら直ぐに向かいます」
俺の答えに受付嬢は明るく笑って頭を下げた。Cランクで条件の合う冒険者が少ないのだろう。依頼としては、Bランクに出すまでとは言いにくい微妙な物らしいし。
「おい、タクマ! 話が終わったなら助けろ!」
「反省がないのですか? 元気そうですしまだ説教が出来そうですね」
後ろで何か言っているが無視して廃城に向かった。
「さてさて……鬼がでるか,それとも蛇がでるか」
少しだけの不安と大きな期待を胸に俺は走っていった。
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