器量不足
「うん、分かった。またな」
家の中へと入っていく紅葉を、櫻真が手を降って見送る。
「紅葉、何の話やったんやろ?」
さっき昇降口で話していたのは……確か、近々開催される祇園祭のことだ。
「……もしかして、祭りに一緒に行こうとかかなぁ?」
考えられるのは、そこだが……それは憶測に過ぎない。
「櫻真! また祭りがあるのかえ? 先日あった祭りには行けなかった故、今度こそは妾も行きたいぞ!」
祭りと聞いて、桜鬼がウキウキとし始める。
十七日にあった祭りには、櫻真の公演が入っていた為、桜鬼を祭りに連れていく事が出来なかったのだ。
「そやな。じゃあ次の祭りに行こうか? 紅葉にも訊いてみはるわ」
「むぅ。本当は櫻真と二人きりが良かったのじゃが……小娘も行きたいのなら、仕方あるまいな。不承不承ではあるが……」
口を少しだけ尖らせてきた桜鬼に櫻真が苦笑を浮かべる。
「おいっ! 俺を無視して自分たちだけの世界に入るなっ!」
「あっ、いや……そんなんちゃうよ? たまたまや!」
自分たちだけの世界と言う言葉に、妙に照れながら櫻真がそう答える。
「ぜってぇーー嘘だろ! 完全に俺の事を丸無視してたじゃねぇかよっ!」
「してへん、してへん。誤解やっ!」
「妾としては、それでも構わぬがのう……」
「あんな分かりやすく、ハブられて気づかない方がおかしいだろっ!」
「ハブって……被害妄想し過ぎやろ!」
「そうじゃ、そうじゃ!」
「何だとっ!」
櫻真と隆盛で言い争いし、桜鬼が相槌の様な事を入れていると……
「あの、その子も一緒に家に入ったら? そこで話してるの、暑くない?」
やや汗ばんだ様子の桜子が苦笑しながら、櫻真たちに訊ねてきた。
言われてみれば、暑い。気づけば、櫻真たち三人とも汗だくになっている。
きっと、このまま帰ってもくれないやろうし……。
「母さんもそう言わはってるし、家に上がりはる?」
「せっかくのお誘いだけど、今回は遠慮させてもらっても良いかな?」
隆盛の代わりにそう答えたのは、家の前に止まった車から出てきた男の人だ。
歳は、桔梗や菖蒲と同じ歳くらいに見える。灰色と金という珍しいオッドアイの瞳を持つ美青年だ。
「紫陽っ! 何で、お前がここにいるんだよ?」
「少し偵察してくると言った隆盛が中々戻らなかったから……もしや、と思って来たんだ。もう他の人は、家に戻っているよ?」
紫陽と呼ばれた男の人が困り顔で隆盛を見る。
一瞬、『家』という単語で隆盛の縁者とも思ったが、二人の容貌は似ても似つかない。それに、話し方や態度からも、瑠璃嬢と桔梗の関係性に近い様な気がする。
そんな事を櫻真が思っていると、紫陽が櫻真の方に向いて……仰々しく頭を下げて来た。
「初めまして。僕の名前は神宮寺紫陽。君の家からすると、ちょっと遠い親戚、というより分家だね。そこの当主をやっています」
「あっ、初めまして。䰠宮櫻真です」
丁寧な挨拶をしてきた紫陽に櫻真が慌てて、名前を名乗る。それから、櫻真は隣にいる桜鬼の事を一瞥した。
従鬼である桜鬼の事は、紹介しても良いんだろうか?
関東の方にも、䰠宮の分家が幾つもあるのは知っている。なにせ、瑠璃嬢もその内の一つなのだから。
しかし、自分の家の分家だからと言って全ての人を把握できている訳でもない。
そのため、桜鬼の事を話しても良いのかという躊躇いが出てくる。
けれど、そんな櫻真の意思を読んだかの様に……紫陽が薄く微笑みながら口を開いて来た。
「隣にいるのは、君の従鬼だね? 見るのは初めてだから、出来れば名乗って貰えると有難いかな」
そう言ってきた紫陽の言葉に、隆盛が「えっ、こいつが従鬼だったのか?」と驚き交じりに呟いている。
どうやら隆盛も桜鬼が従鬼とは思っていなかっただけで、従鬼の存在は知っているようだ。
変に隠したり、説明が割愛されるのは良いが……彼らが従鬼や鬼絵巻の事を知っているのには疑問を感じてしまう。
向こうは自分たちの事を知っているのに、自分たちは相手を全く知らない。
その事に、些か奇妙さと警戒心を抱かずには抱いてしまう。
だが、ここでそれを問い詰める事が最適解とは思わない。むしろ、間違った選択なような気もする。
そのため、櫻真は深く言及せず桜鬼に目配せをした。
すると桜鬼が目を細めたまま、
「妾は第八従鬼の桜鬼。櫻真に仇なす者には容赦はせぬぞ?」
と釘を刺すように、自身の名前を名乗った。
「随分、警戒してるみたいだね。でも、一つ言わせてもらうね。僕たちは櫻真君を傷つけるつもりはない。勿論、僕たちの邪魔をしなければ……という条件付きだけど」
「それは、暗に鬼絵巻に手を出すな、と言いたいのかえ?」
表情を険しくさせた桜鬼に、紫陽が苦笑を零す。
だがその先に否定はない。つまり肯定したと同意義だ。
紫陽が桜鬼の顔をじっと見たあと、少し残念な様子で口を開いてきた。
「……この分だと衝突は不可避って感じだけど、万が一というのを祈らせて貰うよ。それじゃあ、櫻真君、またね。君の綺麗なお母さんにも宜しく」
そう言って、紫陽が門扉の前に立つ桜子に軽い会釈をする。
すると桜子も慌てて、会釈を返している。
あの態度から見るに、自分の母親である桜子も彼の事を知らないようだ。
父さんなら、知ってはるんかな?
そう思いながら、車に渋々乗る隆盛と紫陽を櫻真が見送る。
「櫻真、あの者たちは、一体……何者なんじゃ?」
「うーん、それが俺にも分からへんねん。鬼絵巻とか従鬼の事も知ってはったから、陰陽師である事は確かやな」
桜鬼と共に家に入りながら、櫻真は首を傾げさせる。
しかし、陰陽師だからと言って従鬼の事や鬼絵巻の事を知ってるとは限らない。
現に陰陽道に通じている佳が、二つの事を知っている様子はなかった。
「何で、知ってはるんやろ?」
呟きながら、桜鬼と共に唸る櫻真。
「櫻真、さっきの二人は櫻真たちの知り合いの人なん?」
母親である桜子もそう訪ねてきて、櫻真は「そうなんかなぁ……」と曖昧な返事しかできない。
そして自室に着く頃に「警戒はしとこう」という結論に至る。
むしろ、それ以外に対策の仕様がない。
「桜鬼、どんどん変な人が現れるな?」
溜息交じりに桜鬼に話しかける。桜鬼もそんな櫻真に頷いてきた。
「致し方ない事じゃ。先の戦いでもこういう横槍はあったからのう。鬼絵巻が持つ力強い。強いからこそ、何処からか噂を聞きつけ、狙う者も現れる。昔はその者たちを殺める事もあったが……」
一度言葉を切り、桜鬼が櫻真の顔を見てきた。
櫻真が静かに首を横に振る。
「この度の戦いはそうするとも行かぬ。ならば、敵はさらに増えたと思うた方が良いな」
桜鬼が小さな溜息を吐いてきた。
「けど、その情報を誰がバラしてはるんやろ? ほら、火のないとろこに煙は立たないって言うやろ?」
櫻真が桜鬼に訊ねると、桜鬼が眉を潜めて口を開いてきた。
「昔は、今よりも陰陽道が盛んだった。その為、䰠宮家の当主争いともなると、どの陰陽師もこぞって耳をそばだてていたのじゃ。だから、その系譜の流れで、鬼絵巻の伝承している家もあるのかもしれないのう。ましてや、あの紫陽とやらは、䰠宮の遠い親戚なのじゃろ? ならば知っていても、何ら可笑しくはないぞ」
「確かに。桜鬼の言う通りやな。でも、まさか……䰠宮の当主がそこまで注目されてるとは、思わんかったわ」
「仕方なかろう? 平安の頃より䰠宮の祖は着実に力をつけ、それは江戸時代にまでずっとその力はあった。無論、この時代まで生き付いているのも、その強力な力があったからこそじゃ。その力に周りの者は魅了され、数多くの者が弟子となった。その過去がある以上、䰠宮という家柄が、他の陰陽師たちに一目置かれてしまうのは致し方ない」
「そうなんや……なんかスケールが大き過ぎて、あんまり自分の家として実感が持てへんわ」
櫻真が桜鬼の話に苦笑を零す。
すると、桜鬼もそんな櫻真に柔らかな笑みを浮かべてきた。
「櫻真らしいのう。じゃが、それは櫻真だけではなかろう? 蓮条や他の主も櫻真と同じ感想を持っているに違いない」
「だと、ええんやけど……」
桜鬼の柔らかい笑みに、胸を鳴らしてしまった。
普段の桜鬼は、とても無邪気で親近感がある。けれど、ふとこういう時に見せる表情は、凄く綺麗で大人の女性である事を意識してしまう。
そして、その事を一度考えてしまうと……生々しい事が頭に浮かぶ。
容姿もさることながら……体系も周りにいる女子生徒よりも洗礼されていて、大人らしい張りがある。
櫻真たちの基準からすれば、自分たちはまだまだ未成年。子供だ。
だが、平安の頃より存在している桜鬼たちからすれば……櫻真たちの年はもう大人として見做されてしまう。
なので、
「櫻真、今日も夏至の暑さに汗を掻いたのじゃ。一緒に湯浴みをするかえ?」
とやや艶めかしい表情でそんな事を聞かれると……かなり反応に困ってしまう。
勿論、桜鬼に櫻真をからかう気などは一切ない。
むしろ、心根から訪ねている。しかし、だからこそ答え難い。
自分は中学生だ。未成年という自覚もある。しかし、小学生ほど自分を子供だとも思っていない。
異性への興味もないと言えば嘘だ。
「……前にも言うたやろ? 俺は男やし、桜鬼はその……女性やから、一緒に入るのはちょっと……困る」
顔を赤く染めながら、櫻真がそう答える。
すると桜鬼がそんな自分の頬に桜鬼がそっと片手を添えてきた。
ここは、もう櫻真の自室だ。
桜子や女中などの、人の目のない空間でもある。
「櫻真が妾を異性として見てくれるのは嬉しい限りじゃ。じゃが……その嬉しさ以上に、櫻真と一緒にいたいという思いが強いのじゃ」
瞳を揺らして、そう言ってくる桜鬼に櫻真は身動きが取れなくなる。
その姿はあまりにも美しく、その瞳は映したものを吸い込んでしまいそうだ。
そして、そんな桜鬼に……心の奥底から心を許してしまっている自分がいる。
何と言えば良いのだろう?
桜鬼に対して、母親である桜子とも似ているようで異なる安心感がある。
自分と同じ事を桜鬼が感じているかは分からない。しかし、櫻真の中で着実に積もりつつある気持ちがある。
これは、自分が恋い焦がれている千咲に感じる物とは別種のものだ。
何なんやろう? この気持ち?
櫻真自身でもよく分かっていない。だがその感覚に押され、桜鬼の言葉に頷きかける。
……一緒にいようと。
そして、それを自分が口に出せば、桜鬼は喜ぶ。嬉しがる。笑顔になってくれる。
なら、この誘いを断る理由があるだろうか?
勿論、櫻真の中に恥ずかしさはある。本当に良いのだろうか? という迷いもある。
しかし、その気持ちを押し流すように……桜鬼がそれを望んでいるのだ、という気持ちもある。
なら、桜鬼の言葉に乗れば良い。
正直、櫻真に桜鬼と風呂に入る事で恥ずかしいという気持ち以外に、デメリットはないのだから。
むしろ、今は家族以上に信頼できる相手だ。
「じゃあ……」
櫻真がそう口火を切る。
だがそのタイミングで……櫻真の端末が振動と共に鳴り始めた。
ハッとして、櫻真が画面を見る。
すると、そこには『蓮条』の文字が表示されていた。
反射的に櫻真が蓮条からの通信に出る。
『櫻真、今、話してもええ?』
「ええよ、何?」
『さっき、俺が駅に向かった時……百瀬彩香っていう陰陽師が現れたんよ。話し振り的に鬼兎火や鬼絵巻の事を知っとる感じやったんやけど……櫻真、何か知ってはる?』
蓮条の言葉に、櫻真の気持ちが切り替わり、一気に表情が険しくなる。
頭に浮かんだのは、さっき自分の所に来た隆盛や紫陽の顔だ。
まさか、蓮条の所にまで来ているとは思ってもいなかった。
驚きながらも、櫻真が蓮条に先ほどの事を話す。
すると、話を聞いていた蓮条が電話口に何かを考えるような唸り声を上げてきた。
『多分、力量的には俺達と同じ位の感じやった。』
「俺の所に来た子もそうやったで? 桜鬼を見て怯んではる様子もなかったわ。もしかしたら、かなり力が強いんちゃう?」
櫻真は先程の二人の様子を思い出す。
式神の上位である桜鬼たちを見ても怯んでいる様子はなかった。
その様子から考えると、従鬼に対抗する何らかの手を隆盛たちが持っているとも考えられる。
そんな櫻真の危惧を蓮条が肯定してきた。
『そうやな、確かに強いと思う。並大抵の陰陽師ちゃうよ』
「何で?何か確証出来るものでもあったん?」
『櫻真が会った奴は気配を殺しとったんかもしれんけど……アイツらが使役してはるのは十二神将や』
「十二神将……」
それは、陰陽師である者が使役する式鬼神で、主に櫻真たちの祖先である安倍晴明が使役していた。
ちょっとや、そっとの力では使役できない式鬼神だ。
モニターに映し出され蓮条の顔もやや強張っている。蓮条も櫻真と同じ気持ちを抱いているようだ。
「俺の前に現れた子は、鬼絵巻を手に入れて強さの証明をするとか、何とか言わはってた。蓮条の方は?」
隆盛の事を想起しながら、櫻真が質問を投げる。
『俺の所に来た奴は、そんな事言うてへんかった。ただ……』
「ただ?」
『鬼絵巻を危険な物って言うとった。だから野放しに出来へんとも』
表情の硬い蓮条の言葉に、櫻真だけでなく桜鬼も眉を寄せる。
確かに、鬼絵巻は危険な物だ。決して野放しにしておくなんて出来ない。
だが何となくだが、蓮条の前に現れた者が言う『危険』と自分たちが思う『危険』ではどこかズレがあるような気がする。
これは、櫻真自身が考え過ぎなのかもしれない。
だが何故か、そう思ってしまう。
「蓮条、その子も関東から来はった子やった?」
『聞いてへんけど、訛りがなかったから、そうやと思う。もし、敢えて標準語にしてたら分からへんけど。何で? 何かあるん?』
「いや、何かあるって言うよりは……確認っていう方が強いわ。俺の所に来た子ももう一人の人も訛りがなかったから、一派って考えてもええかも」
『なるほどな。なら、稽古場行った時にまた話そうや。出来れば、桔梗と菖蒲さんにもそこらへんの事を訊こう』
「……桔梗さんやったら答えてくれるかもしれへんけど……菖蒲さんは答えてくれるか分からんで?」
少し表情を曇らせて櫻真が蓮条にそう答える。
すると櫻真の考えを察したのか、蓮条がやや戸惑い気味に表情を歪めてきた。
『櫻真の気持ちは分からんでもないけど……俺は菖蒲さんを信じたい。それに、答えてくれへんかったら、菖蒲さんは、正真正銘の黒って事やろ?』
モニター越しに映る蓮条の顔は曇っている。
櫻真の耳に煩いくらい、庭の木に止まる蝉の音が鳴り響く。
自分の半身である蓮条も菖蒲に対して、何らかの疑心を感じている事がヒシヒシと伝わって来た。
そして、それに対して後ろめたい気持ちになっているという事も。
櫻真もその気持ちは分かる。
きっと、蓮条も菖蒲に対して恩や情を感じているのだろう。
だからこそ、菖蒲が自分たちの敵、もしくはその可能性すら否定したいのだろう。
櫻真も全く同じ気持ちだ。
四年ほど前に菖蒲は、この家を出て行ってしまった。
けれど、その前まで菖蒲は櫻真にとって凄く優しいお兄さんの様な存在だったのだ。
きっと、それは櫻真の幼馴染である紅葉や直樹にとっても同じだろう。
紅葉の姉である楓と共によく自分たちを見てくれていたのだから。
「……そやな。蓮条の言う通りや。でも、ええの? 最初、蓮条の肩を持ってたのは、菖蒲さんなんやろ?」
最初の鬼絵巻が出た時、菖蒲は蓮条の手助けをしていたという話だ。つまり、最初から櫻真には敵対的であっても、蓮条に対しては友好的だったという事だ。
しかし、今の蓮条は櫻真と情報を共有し、手助けをする……謂わば協力関係になってしまっている。
櫻真が鬼絵巻を手にする事を良しとしない菖蒲からすれば、面白くない状況だろう。
『ええも、何も……櫻真が気にすることちゃうやん。俺は俺が気になるから、菖蒲さんに訊ねるんや。別に櫻真の為に訊く訳でもないしな。ただ、櫻真に教えるのは、櫻真も知りたがっとるからや。まっ、知りたくないって言うんやったら、教えんけど?』
「いや、知りたい。むしろ、俺も一緒に訊くわ。蓮条にだけ訊かせるのも嫌やし」
『なら、変に難しく考える事ないやん。俺と櫻真は偶々同じ事を気になって、菖蒲さんに訊くだけなんやから』
蓮条がしたり顔を浮かべて来た。
そんな蓮条の後ろには、櫻真たちの会話を微笑ましそうに見ている鬼兎火がいる。
双子の片割れである蓮条と協力できるのは嬉しいが……こんな風に笑われると、妙に恥ずかしい。
「ほな、とりあえず……また稽古の時に」
気恥ずかしさも重なって、櫻真が蓮条との通信を終える。
そしてフーッと、息を突いたのも束の間。
「櫻真、櫻真っ!」
ウキウキとした目で、櫻真の名前を桜鬼が呼んできた。
もしかして……この顔は、さっきの湯浴みの件を掘り返そうとしているのだろうか?
そう思うと払拭されていた、恥ずかしさが一気にこみ上げてきて、体が固まってしまう。
俺……男としての器量がまだないのかも。
そんな自分の不甲斐なさに嘆く櫻真を次に救ってくれたのは、自分の部屋に冷やし飴を持って来た桜子だった。
桜鬼が桜子から嬉しそうに、冷やし飴を受け取っている。
話が流れた事を、喜ぶべきか、悲しむべきか……そんな事で頭を悩ましている自分に櫻真は溜息を吐いて、少し生姜の効いた甘い冷やし飴を口にした。




