魔物と話せる少女 陛下視点
「へ、陛下!また例の魔物少女の手によって街が1つ壊滅させられました!」
「な、なんだと!? またしても現れたのか!? 一体その魔物少女とはなんなんだ! どうして魔物を操れるんだ!」
「申し訳ございません! 只今原因を追求中でしてもう暫くお時間をいただきたく存じ上げます。それよりも陛下、次また魔物少女が攻めて来た時の為に何か対策を!」
「魔物大陸から近い街を順番に攻撃しているのであろう。それならば次に攻められるのはアクリアであるはずだ。至急アクリアに300の兵を向かわせるのだ」
「はっ!」
大量のゴブリンやスカルマンを操り街を壊滅へと導く。
一体魔物少女とはなんだというのだ。
ーーー翌日
「へ、陛下! アクリアに予想通り魔物少女が現れたのですが、アクリアは......」
「な、なぜだ! 兵を向かわせたはずだ!」
「........魔物少女は今回ドラゴンを従えており、兵もろとも国民はなす術もなく」
「ド、ドラゴンだと!?」
ドラゴンなど兵が何人いれば倒せるというのだ。
「冒険者だ」
「..........陛下今なんと」
「冒険者に頼むのだ」
「な、なりません陛下! 冒険者に頼んでしまってはハンターギルドの兵力が国家の兵力より上であることを認めてしまうようなこと。そんなことをしてしまっては」
「認めざるをえん。さもなかればドラゴンを退治することなどできん。Aランク、いやSランク冒険者を10名以上派遣するのだ!」
これで国民からの指示が大きく減ることになるだろう。
しかしこのまま街を破壊され続ける訳にはいかん。
国民の安全を優先しなければ。
これでどうにかなればいいんだが。
ーーーまた翌日
「へ、陛下!」
「魔物少女か!? ど、どうなった!」
「はっ!見事撃退に成功したようです! この度はケルベロスを従えていたようですがさすがはSランク冒険者。取り逃がしこそしたものの致命傷を負わせ、撃退に成功したとのことです」
「そうかそうか。それならばよかった。しかしまた攻めてくるかもしれん。後数日はそのままそこに留まるように言っておくのだ」
「はっ! それと陛下少しお耳に入れたいことが」
「申してみよ」
「過去にとある村で魔物と話せる少女が生まれたという噂が流れていたようでして、調べて見たところどうやらその少女は実在し、魔物と話せる異能を村人に忌み嫌われ追い出されてしまったということがあったそうです」
「........その少女がまさに魔物少女ということか」
ーーー翌日
「へ、陛下!」
「どうしたのだ」
「ま、また魔物少女が現れ、ア、ア、ア」
「なんだ早く申せ」
「アークデーモンを引き連れてきました! Sランク冒険者数十名も無残にも敗北。再び街が破壊されてしまいました」
「ア、ア、アークデーモンだとぉぉぉぉ!? ほ、ほんとうにアークデーモンなのか!?」
アークデーモンといえば国一つをたった一体で破壊するという伝説の......本当に存在したのか。
ーーー数日後
「もうこの国は終わりだ」
あれから魔物少女による街の破壊行為は止まることを知らず、毎日のように街が壊滅させられていく。
何人の兵を持ってしてもその侵略行為を止めることはできずもはや為すすべはなかった。
「へ、陛下!」
あぁ、このやり取りももう疲れてしまった。
「陛下! お気をしっかりと持ってください! 魔物少女がすぐ目の前まで来ているというのに!」
何を言っているんだ。魔物少女は魔物大陸に近い街を順番に破壊している。王都に辿り着くまでにはまだ二〇以上の街を破壊しなければならないはずだが。
「すいませーん!」
「うっうわぁぁぁぁぁぁ陛下ぁぁぁぁ!」
「ど、どうした....ど、ドラゴンンンンン!?」
窓の外を見るとそこにはドラゴンと、その背中にまたがる少女がいた。
「国王様ってここにいるんですかー? あのーお手紙をお渡しに来たんですがー!」
あ、あれが魔物少女か。
あんな小さい女の子がどうしてこんなことを。
「はぁもう! 無視ってひどくないですかー! 窓開けてくれないなら壊しちゃいますよ! カティお願い」
カティ。それがこのドラゴンの名前なのか。魔物を従えるというのは本当だったんだな。
「はい! これ国王様へお渡し下さい! じゃあまたねー!」
魔物少女と思われる子が床に放り投げた手紙を拾って見てみる。
「..........あ、遊び」
もうこの国は終わった。
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