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【改稿前】チュートリアルでレイドボス倒しちゃってスイマセンでしたっ!! ~支援歌【エンハンソング】の悪用法を検証し成り上がる~   作者: デウス・X・マーティー
第二章  【初心者応援】 ドキドキ!? 春のサバイバルイースターエッグ祭り 【公式イベント】
15/22

14話 初公式イベントの詳細説明と準備 ~王宮とローガンス商店にて~

 ◇――◇――◇――◇

 ~前回の掲示板のあらすじ~

 ▶主人公マーティーが、寄生プレイヤーとして、少数のプレイヤーの間で認知される。

 ▶742番のレスにて、支援によってランキング一位を取ったことを気づかれたかも……。しかし、主人公だとは気づかれていない模様。

 ◇――◇――◇――◇

「くそっ……くっ……くそう……!!」


 必死にただ前を向いて、逃げる。

 その不可視の攻撃からは逃れることが出来ないのに。


「……うぉっ!!」


 足がもつれて、森の腐葉土に頭から突っ込む。

 だが、もつれたと思われた右足はもう存在しなく、残りが上半身と左足になったせいで、自分がバランスを崩して倒れたということに、遅れて気づく。


「あ、あ……足がぁ……!!」


 それでも逃げるのだけは諦めない。


 なんでよりにもよって、最終日にこんな目に合うんだ。

 あと数時間だったのに。


 よぎる思いは、憤慨。後悔。妬み。恨み。悔しさ。


 なんとか上半身だけで地を這いつくばり、いくらでも手に入る生にすがる。

 だが、そんな思いを踏みにじるように、()()()が降ってくる音が聞こえた。


「うわあぁぁぁ、もうやめてくれえぇぇぇぇ!!!」


  静かな森の中、断末魔の叫び声が木霊(こだま)する。


「やめるわけ、ないだろっ♪」


 瞬間、頭が弾け飛ぶ。

 今までわめいていたプレイヤーは途端に静かになって、糸がぷつりと切れた操り人形のように、前のめりに体を横たわらせた。


 ポリゴン片が散り、光が霧散し始め、体が消える……と同時に、その光がどこかに集まってアバターが形成される。

 勇者の復活だ。

 今回のイベント特有の、即時復活。

 あの光の行く場所に、頭を失った彼は、また頭を生やして生き返る。


 その光の行き先を、見逃さない。


「見ぃつけた♪」


 彼もまた見つけられたことに気付き、またも必死に逃げる。

 ただただがむしゃらに、おぼつかない足取りで一歩一歩をちぐはぐにさせながら、それでも懸命に走る。


「……謝るぜ! 今なら謝るぜ!

 レイドボス倒しちゃって、スイマセンでした!!」





 ~~~~





 2067年 3月 25日(土)  8:00


 ―――ピピピッピピピッ。


 目覚まし時計のけたたましい電子音を、勢い良く止める。


「今日でゲームを手に入れて二日目、か」


 眠気眼ねむけまなこを擦り、大きな欠伸あくびを一つして、枕元に置きっぱなしのヘッドギアをおもむろに被る。


「あ、朝ごはん……」


 慌てて一階に降りて、冷凍食品を適当にお腹いっぱい食い漁った。


 昨日の帰り際に付いていた【空腹】という状態変化は、どうやら現実世界で空腹になっているとゲーム内に反映されてつく状態変化らしい。

 だからいくらゲーム内で食事を取ろうと、治ることがないとか。


 つくとSPの回復速度が遅くなり、最大二分の一の速度になる。

 回復するのに二倍の時間がかかるので、しっかりとご飯を食べなければ。


 発売当初、ゲームをぶっ続けでやり続けた廃人様が病院送りになったことからついた設定のようだ。

 やってくれたな廃人。

 まあそのおかげで安全にプレイできるからいいか。


 そうそう、情報の縛りをしていた僕だったが、もうする必要もないだろうと思い、公式サイトやプレイヤーが有志で作ったゲームwikiを確認しておいた。

 昨日のような失敗をすることはないように、基礎中の基礎だけは早めに頭に叩き込んだので、多分今日のイベントも心配はないはずだ。

 追加される新アイテム、新加護、新スキルについてもあらかた調べ尽くしてきた。


『準備が完了しました。スキャン完了しました。ログイン可能です。

「ログイン」とおっしゃっt』


「ログインッ!!」



 ~~~~



 {王宮:礼拝堂本殿}


 目を覚ました場所は、初めて召喚されたあの台座の上。

 自分が召喚されたのに気付いたのか、バタバタとした足音が聞こえる。


『勇者様、おかえりなさいませ!!

 今日の朝、勇者に変革が起こったのはご存知ですか?』


 近い近い!

 バタン! とドアを勢い良く開けて飛び込んで、一直線に僕の方へ駆け寄ってきた王女は、開口一番にそう尋ねてきた。


「は、はい、知ってます!

 新加護の追加とかですよね?」


 僕が王女のテンションに乗って答えると、なんだ、と落胆したように王女は肩を落とした。

 どうやら説明したかったようだ。


『はい、そうです……。

 催しの方はご存知ですか!?』


 王女はよほど説明したがりなのだろう。

 年齢は自分とそれほど変わらないように見えるのに。


「んー、知ってますけど、詳しく教えて欲しいです!!」


 ユウナ王女様は僕が説明を欲すると、水を与えたひまわりのようにシュンとした表情から一転、少し驚いた後に満面の笑みを浮かべる。

 やはり笑っていた方がかわいい。


『……!! わかりました!

 お教えしましょう!

 今回は勇者様がこの世界の過去、すべての原初に戻って、魔物の原初となるタマゴを獲得してきていただく催しです!

 過去と言っても、夢、幻の島、「夢幻の島」という、この世界とはまた異なる次元に存在する島らしいのですが……その真実は自分でお確かめください!

 私はよく知りません!』


 神託ぅ……もっとしっかりしてくれよ。

 王女にきちんと最後まで伝えておいてほしい。

 ……いや、この世界の過去、という設定なら、この世界の誕生秘話とかを知るのも、このイベントの醍醐味なのかもしれない。


『今回の催しの目的は、勇者様に「タマゴ」を集めていただくことです。

 タマゴはそこらに落ちているものもあれば、魔物から奪わなくてはならないものまで、多種多様です。

 あ、注意点として、あちらに行ってから加護の変更はできないため、先に目当てのタマゴが取れそうな加護構成にしてから行くといいですよ!

 入手難易度が高い物ほど、当然タマゴは強くなったりしますので、ぜひレアなタマゴを見つけて皆に自慢してください!!

 また世界融合が行われた際は、タマゴがこの世界でも手に入るようになるかもしれないので、手に入れることができなくても、落ち込まないでください』


 加護は途中で変更が出来ないのか。

 いいことを聞いた。

 それだったら基本採集系のスキルで固めて、安全にタマゴをとっていくのもいいかもな。

 時間が伸ばされているんだから、スキルのレベルアップにも今回のイベントは使えそうだ。

 新しく出た加護からも、何か使えそうなものがあるのかも。


『イベントの終了後、集めたタマゴの中から一つだけを選んで、この世界に持ち込むことが出来ます。

 それ以外のタマゴは神に献上され、その貢物の分の対価を自分で選んで、プレゼントしてくれるようです』


 つまり、一つはそのままもらえて、後はポイント還元され、そのポイントでアイテム報酬を選べる、ということだろう。

 よくある方式だ。


『勇者様方は自室のベッドに寝ていただくことで「夢幻の島」に夢の中で漂着します。

 この位置は、勇者様のエナジー量、スキルレベル、装備の強さによって変わります。

 アイテムの持ち込みはOKで、ここで手に入れたアイテムも全て持ち帰り可能です。

 どのアイテムも全て、「夢幻の島」でなくても手に入るそうなのですが、中にはレア素材アイテムもあるそうです。

 タマゴは三日間持ち越しです。

 途中でなくしてしまったらいけませんので、三日目までしっかりと確保しておいてください』


 アイテムの持ち込みがOKと言われたって、何をもっていけばいいか……。

 これもあとでインターネットでしっかりと確認しよう。


『島は、全体で難易度が分かれています。

 初心者は島の南にある、浅瀬の海岸に。

 中級者は東か西の、比較的穏やかな海岸に。

 上級者は北の、強敵が数多く生息する海岸に飛ばされます。

 島の中心部に行くほどより強い魔物が存在し、よりレアなタマゴが手に入りますよ!!』


 ほう、開始地点から難易度を分けているのか。

 それだったら4月という新規プレイヤーが多いこの季節、古参プレイヤーがタマゴを取り尽くして新規プレイヤーが不満を抱く、ということも無くなるな。


 新規プレイヤー応援イベント、のような意味合いがあるのかもしれない。


『なお、この島内でデスペナルティは基本的になく、あるのは死亡した人がタマゴを一つランダムに落としてしまう、ということだけです。

 アイテムロストもないので、レア素材アイテムの採集目的で参加するのもありですよ!

 即時復活しますので、あきらめないで何度もチャレンジしてください!

 復活地点は上記の三種類の区分分けに基づいた中の、どこかにまた飛ばされます』


 タマゴをランダムドロップしてしまうから、ドキドキサバイバルということかな?

 三日間持っていないといけないというのも、その仕様があるためなんだろう。




『それと、島に勇者様が行けるのはたった四回であり、夢の中だけです。

 夢の中のため、たったの一時間が12時間に延び、半日のように感じるようですよ』


 うん、それは公式サイトにも載っているので知っている。


『今回の催しは勇者様の変革にも合わせたかのようで、謎が深まりますね……。

 あ、失礼しました!!

 以上で説明はおわります!

 それでは今日も一日、頑張ってください!』





 外へ出ると、あいにくの雨が降っていた。

 実際にゲームの世界にも雨という天候があるのに、ただただ驚きだ。


 湿り気は感じるが、現実のようにジメジメとしてはいなく、なんともまた心地の良い。

 少々肌寒くはあるが、濡れて気持ちが悪いわけではないな。


 家から噴き出す虹色の煙は昨日と変わらないが、雨雲で太陽の光が遮られていることもあり、街は霧のような蒸気で包まれて真っ白だ。

 虹色の煙は青空を彩っているはずなのが、今では灰色空と混ざって、筆洗いバケツの中のような混沌をしている。


 歩く人々はそれぞれが色の違う傘を差し、この王宮のある高所から見れば、カラフルに彩られた大通りとなっていた。


「えーっと、フレンドメッセージからソウの行きつけの道具屋は……っと」


 検索すると、自動でナビシステムが起動し、その道を示してくれた。

 これに従ってついていけば問題ないか。





「そういえば、アイテムをしっかりと見ていなかったな」


 歩いている途中、ふとやるべきことを思い出した。

 同時にあの膨大な素材の数を数えたいし、こういう時に使えそうな、メニューにあったメモ帳機能を使おうか。


「ストレージ! そして、メニュー! メモ帳!」



 ストレージをきれいに整頓するだけでも一苦労だった。

 メモにまとめてみると、こんな感じだ。


 ◇――◇――◇――◇

 ・龍王の鉄皮×1000

 ・龍王の繊毛×999

 ・龍王の豪牙×1002

 ・龍王の鋭爪×1003

 ・龍王の紅眼×996

 ・龍王の肝×997

 ・龍王の声帯×1002

 ・龍王の火炎袋×998

 ・龍王の魔血×1001

 ・龍王の仙骨×992

 ・龍王の心臓×10

 ・初心者セット×1

 ・経験値水晶×70

 ◇――◇――◇――◇



 下の方に埋もれていて分からなかったが、龍王シリーズに加えて初心者セットももらっていたのを忘れていた。

 今のうちに整理してよかった。

 これのおかげで助かることがあるかもしれない。


 初心者セットの中身は、


 ◇――◇――◇――◇

 ・HPポーション×10

 ・MPポーション×2

 ・マーキングボール×10

 ・経験値水晶×10

 ・帰還の水晶×5

 ・簡易礼拝堂(インスタントチャペル)×1

 ◇――◇――◇――◇


 といった感じだ。


 龍王素材に関しては、どれも大体同じくらいの数である。

 どうせくれるんだったらポーションを1000個とか欲しかったな。

 まあ買おうと思えばいつでも買えるお金は持っているのだが。


「それにしても多いなぁ……。

 一体これは何に使えるんだろう?」


 鍛冶屋に向けて歩きながらインターネットで検索するも、それに関しての情報は見当たらない。

 龍王素材の使い方は未だによく分からず、普通に装備を作る素材に使えば強い、ということだけだった。



 ~~~~



 {王国南大通り:ローガンス商店}



 大通りのため人とぶつかるような危険はなく、露店に目を奪われて寄り道をしながらもナビに従って歩くこと30分ほど。

 そこは初めてビギナーズギルドに行ったときにも前を横切った、恐らく自分が見た中で王国史上一番大きい店だった。


 入り口は自動ドアで横に開閉式。

 買い物する人であふれているそこは、中を見ても所せましとアイテムが置かれているだけ。

 そのいくつもある巨大な棚の前を、大勢の勇者たちが横に並んでエスカレーター式に移動し、バイキングコースで料理をとっていくように、アイテムを購入していっている。


 まんま、食品スーパーである。

 だがこの店の大きさ、扱う商品の幅の広さといい、倉庫店、と言った方がいいか。

 現実の倉庫店と違うところは、商品の購入は鍛冶屋と同じでどれもカードで行うため、レジすら存在しないというところだ。

 手に入れたアイテムも全てストレージに収まっていくため、買い物カゴすら必要ないのだから、便利なものである。


「んー、ほんとにここで合ってるのか?」


 ソウという古参プレイヤーがおすすめしているお店なんだから、てっきり穴場スポットだと思っていたが……。

 とりあえず近くのNPCに聞いてみるとするか。


「すいません、ここって『ローガンス商店』で合ってますか?」


『いらっしゃいませ。

 はい、ここは『ローガンス商店』です。

 なにかお探しの品があれば、ご相談ください。

 お手伝いできることがあれば、なんでも気軽にどうぞ』


 この店の店員さんらしき人は丁寧にお辞儀をした。

 白いシャツに、緑のエプロン。

 ビギナーズギルドを意識したような恰好だが、清潔感があり、非常に好感が持てる。

 もうNPCがこんだけリアルなことにも慣れてきた。

 いや、ネイティブ、と呼ぶんだったか。


 ここで合っている……のか。

 僕が不思議に思っていると、彼女は説明をしてくれた。


『当店のシステムは完全セルフサービスとなっております。

 人件費を削減し、一度に大量受注をするため、よりたくさんの品物を、お安い価格で購入することができますよ』


 まさに、倉庫店である。

 だが品揃えの良さは言った通りかなりよさそうだし、この場所一か所で済ませられるなら、ソウもおすすめして間違いないだろう。

 ああ見えてソウは面倒臭がりなところがあるからな。


 商品は全て小売りしていたが、ガラスのショーケースに入ったところもある。

 まるでスーパーの冷凍食品コーナーのようだ。


『あちらのショーケースは同じアイテムを大量購入される方が使いますよ。

 お目当ての商品の前でギルドカードをかざしていただくと、商品の個数を選択してストレージ内にそのまま購入することが出来ます。

 今持てる数を越えて購入されますと、取り置きしておいて、後日お渡しする形となります』


 見ているとどうやら、水晶のものが多いようだ。

 どれも分類が消費アイテムの物は所持制限がある。

 僕が持っている龍神の素材は1000個を超えて持てるので、おそらく素材アイテムは所持制限がないのだろう。

 初心者セットの中にも入っていた「帰還の水晶」や「マーキングボール」、「簡易礼拝堂インスタントチャペル」も売っていた。



 やはり今の僕が一番欲しいアイテムは、死なないアイテムだ。

 次のイベントでも、死んだらタマゴがなくなってしまうし、先にお金を払って解決できることならしておきたい。


「すいません、死亡しなくなるアイテムってありますかね……?」


 近くにいた店員さんに声をかけると、驚いたように体を震わせ、矢継ぎ早に僕の質問に答えた。


『……はい! 少々お待ちくださいね!

 そうですね、こちらの「魔封じの水晶」や「半減水晶」、お高いですけど「身代わり人形」と「現世戻りの秘薬」なんかはいかがでしょうか』


 そう言って指し示されたのは、少しお高めなガラスショーケースのコーナー。



 ■△▼△▼△▼△▼△■

 【魔封じの水晶】

 ◇分類:消費アイテム

 ◇所有者:「ローガンス商会」

 ◇価格︰500エナジー

 ◇所持制限︰none

 ~詳細~

 所有者がアイテムストレージ、及び身に着けている場合、意志により任意で使用可能。

 結界を半径1メートル以内に貼り、魔力エナジーを瞬間的に封じることができる。

 魔力エナジーによる攻撃を受けた際には、意志によらず自動で吸い取ることも可能。

 ■▽▲▽▲▽▲▽▲▽■



 ■△▼△▼△▼△▼△■

 【半減水晶】

 ◇分類:消費アイテム

 ◇所有者:「ローガンス商会」

 ◇価格︰10,000エナジー

 ◇所持制限︰10個まで

 ~詳細~

 このアイテムは事前に使用しておく必要がある。

 使用者は以下の効果を得る。

 ・使用者が次に受けるダメージを半減する

 ・使用者が次に発動するスキルのコストを半分にする

 2つ以上の同時使用はできず、上記2つ共の効果が切れたとき再使用可能。

 ■▽▲▽▲▽▲▽▲▽■



 ■△▼△▼△▼△▼△■

 【身代わり人形】

 ◇分類:消費アイテム ◇所有者:「ローガンス商会」

 ◇価格︰10,000エナジー ◇所持制限︰1個まで

 ~詳細~

 所有者がアイテムストレージ、及び身に着けている場合、意志によらずオートで使用可能。

 HPを超える攻撃を受けた際、その攻撃をこの人形が肩代わりする。

 ■▽▲▽▲▽▲▽▲▽■



 ■△▼△▼△▼△▼△■

 【現世戻りの秘薬】

 ◇分類:消費アイテム ◇所有者:「ローガンス商会」

 ◇価格︰50,000エナジー ◇所持制限︰1個まで

 ~詳細~

 所有者がアイテムストレージ、及び身に着けている場合、意志によらずオートで使用可能。

 所有者死亡時に[死者蘇生]Lv.10を使用者に即時かける。

 ■▽▲▽▲▽▲▽▲▽■



 どれもこぶし大の大きさで、簡単に取り出して使うことができそうだ。


 ネット情報だと「魔封じの水晶」は魔法系の敵スキルを完全無効化したり、PK対策に優れる万能アイテム、「半減水晶」は言わずもがな。

「身代わり人形」と「現世戻りの秘薬」はどちらも延命アイテムだが、「身代わり人形」は多段攻撃に弱いらしい。


「これらのアイテムの変わった使い方とか、ありますかね……?」


 僕が欲しいのは、ネットでは探しきれなかった情報。

 それ以上の何かいい使い方があれば、と思ったのだが、さすがにそんなことは……。


『こちらの「魔封じの水晶」は他の勇者様曰く【投擲の加護】という加護のスキル使うと、アイテムが攻撃性をもつようになるため、それを投げ込んで敵のスキルの発動自体を防ぐ、なんて使い方も出来るらしいですよ。

 それと、これらはどれも()()()()()()()()()にもなると、おっしゃっていました』


 おっ!!

 ラッキーだ!

 たまたま言ったことが見事にあたった!


「へぇ、そういう使い方もできるんですね!

 ありがとうございます!」


 これらの商品は使えそうだ。

 早速「魔封じの水晶」を50個、残り3つを購入上限まで買っておくとしよう。 

 初見殺しを回避するアイテムは、手に入れておいて損は無いからな。


 その後も定番の回復アイテムである「ポーション」300エナジーを50個、「ハイポーション」1,000エナジーを20個、【空腹】状態のペナルティを一時的になくす「レーション」100エナジーを5個、貴重なMPを回復する「聖水」10,000エナジーを5個。

 それと武器だけの即時回復アイテム「砥石水晶」1,000エナジーを20個。


 どれも購入限界まで、その場でインターネットでテンプレを検索しながら買っていったので、不備はない。



『またお越しください~』


 店を出ると、まだ雨は止んでいなかった。

 バケツをひっくり返したようなどしゃ降りで、当分は止みそうにない。


「とりあえず、たくさん買い物したな……」


 今日使った額は、290,500エナジー。

 これだけ買っても、たったの二十九万円だ。

 所持残金は109,719,500エナジー。


「これは使い切る日が見えないな」


 思わず出てしまうにやけ顔が、どうしても抑えられないでいた。



「とりあえず一日目の目的だが……。

 うーん、どうしよう」


 ネットで検索しても、イベント情報については正確に書いてあるページは少なかった。

 別にタマゴを魔物から奪い取らなくてもいいなら、採集だけにかけてみてもいいかもしれない。


「よし、一日目は採集でレア素材アイテムと、タマゴを集めよう、そうしよう」


 行動方針も決まったところで、いったんログアウトした。


アイテム屋さんは、コストコのようなイメージです。


2018/01/04・世界変の虹の設定の消去・採取物の持ち帰り可

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