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晴れた日は、小鳥もさえずる  作者: ぼたん鍋
第3章:自分のことを考えるってことは、相手のことを見ようとするってことなんだ
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4月22日の芽吹き(3)


「よかったら、ちょっと寄り道しない?」


 最後のお店を出て、立食のためのリサーチをあらかた終えたおれたちは

 駅に向かって歩いていたが、やはりこのまま帰るのは惜しいと思い

 必死の想いでそう声をかけた。


 「別に、いいけど」なんて中途半端な返事をした中原さんだったが

 どうしてもと頼み込んで、なんとか一緒に来てもらった。


 街のほぼ中央にある公園。

 その展望デッキには、この辺り一帯を見渡すことができるような高台が設置されている。

 はじめから、おれはこの場所で想いを告げるつもりで

 事前に下見にも来ていた。

 桜の花は散ってしまったけれど、天気のおかげか、見晴らしはよかった。


「ここ、結構いい場所でしょ。

 今日は天気がいいって予報だったから、ここに来たら気持ちがいいかなって思ったんだ」

「そうなんだ。うん、確かに気持ちいいね」

「でしょ」


 相変わらず空返事の中原さんは気になるが

 これだけのコンディションはそうそうない。

 それに、早く伝えてしまわないと、日々大きくなる想いが爆発してしまいそうで怖いのだ。


 強めの風が吹いて、おれと中原さんの間を切り裂いていく。

 中原さんはワンピースの裾を抑えながら、どうしてここに来たのかと言わんばかりに

 疑問符を浮かべて視線を送ってくる。


「中原さん、聞いてほしいことがあるんだけど」


 今、どうしても伝えておきたいことがあるから。

 自分のことがわからなかったおれが

 彼女のことを想って、彼女への想いの中に自分を見つけたことを。


 ……そう。おれは自分のことを探しているうちに

 いつの間にか、彼女のことを好きになっていたんだ。

 そう考えると、自分の中の彼女への想いに納得がいく。

 これが恋っていう感覚なんだ。

 これが人を好きになるっていうことなんだ。

 彼女への想いこそが、西村肇という人物そのものなんだ。

 自分は、自分の外側からやってくる。

 自分は、彼女のことを想う、この想いこそが自分なんだ。


「中原さん……。

 聞いてほしいことがあるんだ。

 おれのこと。おれが考えていること。

 君への想いのこと」

「……」


「おれは……君のことが好きなんだ」


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