表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦争譚  作者: レノン
1/2

本日は雲天なり

目が覚めたらショタになっていた。

いや、冗談とかそういうのではなく、ガチでリトルショタだ。

あくまでロリではなくショタだ。何故かロリではなくショタだ。ショタだ。

ちゃんとついているのも確認した。凄く矮小で短小な包茎だったぜ。

悲しくなんてない。全然、まったく、これっぽっちも悲しくなんかない。

例え前世の俺より確実に小さかったとしてもこればかりは悲しくない。

俺がロリじゃなかったのは多少悲しいかもしれないけどそれは別問題だ。

大丈夫、涙なんて拭いてない。拭うほど腕も長くない。

何故か、それは俺が2歳程度の赤ん坊だからだ。


「あーぐーあー」


見てくれこの可愛い声を。これが俺なんだぜ。やべぇよ何にも目覚めねぇよ。

ここで俺がロリなら今すぐ女体化ヒャッハーって喜びながら自慰を始めるのだが、残念だけどこの姿じゃ何もできない。

というか今の時点で見えてるのが天井だけなので、ここがどこでこの赤ん坊(=俺)が誰なのかも分からない。

とにかく俺は今ベビーベッドの上で無邪気に鳴いている訳だ。

心の中では包茎も成長したら治ってくれるのかと考えている。邪気たっぷりだな。

と、そんなことを考えていると誰かがやってきた。誰だろうか。


「あ~私のかわいい赤ちゃん、どうちたんでちゅかー?大丈夫でちゅかー?」


ウッザ。何コイツ死ねばいいのに。

そう思っていると、そのうざい人にやさしく抱きかかえられる。

なるほど、多分お母さんなのだろう。家の親はもっとブサかったけど…。

初めて嗅ぐはずなのに嗅ぎなれた母の匂いは、何故か心を安堵させる。

サイコー。お母さんしばらくこのままでオナシャス。


「おーよしよし、泣かない泣かない…」


お母さんっていいよな。金髪だし美人だしおっぱいでかいし。

こんなお母さんが俺の母親だったら・・・あれ?

俺、母さんに殺されたんじゃなかったか?



ここで、俺のことについて一つ話をしよう。

俺の名前は加藤アンドロメダ17歳。生粋のロリコンでザ・ヒキコモリである。

名前から分かるように親はドキュゥゥゥゥゥンな人物たちであり、俺の人生も碌なものではなかった。

小学校の入学式で名前を呼ばれればざわめき、初日から印象は最悪。

小5の時に告った女の子には「変な名前の子とは付き合えない」と言われた。

中学ではニキビハ(ム)スターと名付けられ、靴に画鋲と向日葵の種を詰め込まれる毎日。

手ぇ込みすぎだろう。毎日ヒマワリの種入れる前に向日葵育ててやれよ。

高校に行けば「水ドロップやるよwww」と言われながら水攻め拷問。

何かに目覚めるとでも思ったのかこのドレットノート級サディスト!

やってられるか!!俺は家に籠る!!世の中なんてくそくらえ!!

と、そんな経緯で引き籠りに昇華したわけだ。

ある日、俺はいつものようにぼろぼろのアパートの一室でPCと向かい合っていた。

「・・・ふぅ」

何をしていたかは想像に任せるとして、ここで予測しえない事態が襲ってきた。

地震とかアパートにヘリが突っ込んで来たりとかそういうのではなく…、

突然部屋の扉を開き入ってきたのは俺の母。手には包丁を持っている。


「あんたのせいで…うちの家系は・・・!」


は?と思ったのもつかの間で、反射で股間を抑えていた俺は母の一角獣を彷彿とさせる包丁突進をモロにくらってしまう。

椅子ごと吹っ飛ばされながら包丁を右肩に突き立てられた俺は無様に床に倒れるwith my chair。

更に俺に馬乗りになる体重103.5キロの母親。右肩に突き刺さった包丁を抜きやがる。


「あんたのせいで!あんたのせいで…!」


そのままじたばた痛みにもがく俺を上から見下ろすヤンデレ系デブママン。萌えて、どうぞ。

母が次に包丁を振り上げたとき、俺は最後の力を振り絞って精一杯叫んだ。


「テメェがこんな名前つけたのがいけねぇんだろぉ!!!!」


俺の意識は、この直後の鈍い鉄の味とともにフェードアウトされた。



そして冒頭に至る、というわけだ。どうだ悲しいだろうそうだろう。

なんで驚かないかって?俺に聞くなよ。俺だって他人事みたいで変な感じなんだ。

まぁ前の人生と比べたらいいと思うぜ。お母さんに抱き抱えられている今なら回りがよく見える。

ぼやけていてあまり分からないが多分金色の装飾が施されている。そして高価そうな壺が置かれている。

多分王室だ絶対そうだ。今までの苦労が報われたに決まっている。勝った。


「あら~?くちゃいでちゅねぇ。うんちでちゅか~?」


やっぱりこのお母さんうざいなと思った時には、俺の肛門はプライドという柵から解放されていた。

サヨナラ、オレノプライドofオシリ。


「ほらほら、かえまちゅからいい子にしててくだちゃいね。マーキュリー」


…ん?今もしかして俺の名前呼んだ?


「あうー、あー」


と、無意識に反応してしまう俺。

…この世界でも、俺は水攻めにあう気がする。


西暦1903年 雲に覆われた夏の日。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ