一
いやだ。
やだよ。
たのむから、たのむから行かないでくれ。
俺の前からいなくならないでくれ。
もう君なしじゃ、君なしじゃ生きていけない。
べつに君の血に依存しているわけじゃない。
いや、血に依存している。
だって君のすべてに依存しているから。
君のすべてが欲しいんだ。
狂ってる?おかしい?
そうかもしれない。
でも、そうさせたのは君だ。
ものすごい独占欲に駆られるんだ。
怖い。
君が居なくなるなんて想像しただけで死んじゃいそうだよ。
ねぇ、なんで?
なんで君は俺の方を向いて笑ってるの?
死ぬかもしれないのに。
普段は笑わないくせに。
こんな時だけずるいよ。
あの暗闇に入ったら、何かあるかもしれない。
でも、もう戻ってこれないかもしれない。
なのに君は笑ってる。
足は使えない今、どうすれば君を引き止められる。
腕がかつがつ動かせた。
だから、君に伸ばした。
俺が伸ばした手は君に届かない。
言葉も上手く言えない。
ねぇ、わかってるんだろ?
俺が言いたいこと。
行かないでって言いたいの。
君は微笑んでるだけ。
あぁ、きれいだ。
ひどく、ひどく美しい。
君は表情をまたいつもの無表情に戻すと、ゆっくり暗闇のほうを向いた。
あぁ、どんどん大きくなってる。
そして君は暗闇に向かってゆっくりと歩きだした。
くそっ。
俺に、俺にもっと力があれば......
君を守るだけの力があれば......
君が強いのは知ってる。
いつも無茶してるのも知ってる。
でも、今回は死ぬかもしれない。
あぁ、行かないで。
君はどんどん暗闇に近づいていく。
動け、俺!!
彼女を守るんだ!!
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
なんでだよ!!
そうしているあいだに彼女は暗闇の前まで来ている。
そして、最後にこっちを向いてまた微笑み「あいしてる」と口ぱくで言い暗闇に呑まれていった。
「ゆうはぁぁぁぁぁぁ!!」
叫んだところで俺の意識は途絶えた。
初めましてことねです。
初めての投稿なので緊張ですが、よろしくおねがいします。
小説を書くのって難しいけど、頑張りたいと思います。