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活動記録3

「TRPGやろう。」


灯は部室に入るなり、そう言い放った。


「TRPGってどういうゲームなんですか?」


入部二日目にして、鉄は質問係と化していた。


「TRPGっていうのは、テーブルトーク・ロールプレイングゲームの略称。まあ、和製英語だね。コンピューターを使わずに、鉛筆やサイコロを使用した対話型のロールプレイングゲームのこと。有名なものはクトゥルフやパラノイア、D&Dとかかな。」


「さすが敬さん...」


灯先輩が発案、鉄が質問。敬さんが返答するというのがスタンダードになるのだろう。そして俺と陽奈美は眺めるだけ。あるいは疑問に思ったことを補足質問する、といったところか。


「TRPGのルルブとかあるんですか?あとサイコロも。」


「サイコロならある!」


「・・・ルルブは?」


「考えればいい。オールハウスルールだよ!」


早々に灯先輩のキャラというか、性格を把握できた。鉄は相変わらず灯先輩にご執心らしく、さっきからずっと満足気な顔をしている。


「灯。誰がゲームを仕切る?かなり重要なことだよ?」


「もちろんあたしがやる。言い出しっぺだし。大丈夫!動画でやり方は勉強した。」


根拠の無い自信とは、まさしくこのことか。鉄以外皆渋々、灯にいわれるがままキャラクターを作成した。


「えーっと。どれどれ...敬はEDU16、STR17、CON7って以外は普通かな。夕っちはAPP18か...ビッチか!」


灯先輩、それは断定が過ぎる...

陽奈美は相変わらず強く出れないのか、否定か肯定かわからないことを言っていた。


「りっちはSIZ18って以外は普通か。鉄は...」

鉄のSIZは俺と同じく18。だが、それ以外の数値が最低値の+3以内で全て収まっている。


「鉄はまさしく木偶の坊だね。あしを引っ張る未来しか見えない。」


「まあ、シナリオ次第でそれはどうにかなるし。灯、シナリオは?」


「クトゥルフ!」


悠也と敬は、何かを察した様に深いため息をついた。それと同時に、悠也は鉄の肩を軽く叩いた。


「それはおれがあしでまといってことか?そうなのか!?」


鉄は一人悶絶し、灯は御構い無しにシナリオを進めた。


「じゃあまずはりっちの導入から。君はいまバイクに乗って国道を下り方向に走っています。じゃあ、ここで君の乗っているバイクのレベルを決めよう。1D100ででた値で決めるから。」


「バイクでダイスですか。まあ、一応振りますね。」


でた目は100。それを見て、灯は顔を伏せて笑い出した。


「あの、一応、きめてたん...だけど。100、でないと思って...ニャルラトテップに乗ってることになりました...」


「俺ニャル様に乗って移動してるんですか?狂人過ぎる。」


灯先輩の暴走もあり、SAN判定。もちろん耐えられるわけもなく、導入で精神崩壊する悲しき主人公となってしまった。


その後、陽奈美はギャングにさらわれ、敬さんは神話生物に嬲り殺され、鉄は事件に関与せず終わるという、ゲームとして成立しているかさえ怪しいものとなった。後日ルルブが届き、GMを敬さんが務めたことは、想像に硬く無いだろう。


だが、灯先輩だけは楽しんだ様で、しばらくの間、ルルブを開くことはなかった。

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