パート33
やはり死亡フラグは立てるものではないな、と思いながらまるで他人事のようにボンヤリと、落ちてくる剣を見ていた。
ガインッ!
「……あん?」
エンドが訝しげにしかめっ面をした。その表情は、おそらく僕もしていただろう。
なぜなら、振り下ろされるはずの剣が、横から飛んできた何かによってはじき飛ばされたんだから。
「お前ら、喧嘩をするなら余所でやってくれないか。うるさくて仕方ないんだが」
声がした方向を見てみると、そこには五十代ぐらいので無精ひげを生やした、西部劇のような恰好をしたおじさんがいた。しかもイケメン。年上好きの女子なら思いっきりはしゃいでしまうんじゃないかってぐらいにカッコいい。
その手にはリボルバーが握られており、撃ったばかりのようで銃口からは煙が出ていた。
「誰だ、あんたは?」
「ここの近くで隠居してる身の、しがないおじさんだ。近くで戦闘してる音が聞こえたからこうして来てみたわけだが……お前、最近賞金首として騒がせてる『第一級』だな?」
「はっ。てことは賞金首狩りかぁ? 俺も知らない間に有名になったもんだ。ワラワラ」
「小耳にはさんだだけだ。それでどうするつもりだ? 戦闘をやめるか――それとも、戦うか」
「…………」
突然現れたおじさんから感じるプレッシャーを受けたのか、エンドはおじさんの実力を見通すかのように睨みつける。
「……俺の今回の目的はもう終わったからなぁ。今日はもう引き上げるとするわ。ワラワラ」
飛ばされた剣を拾い、エンドはウーゴと一緒にどこかへと行った。
「……おい、お前大丈夫か?」
「二眇さま、大丈夫ですか!?」
エンドが去った後、僕の怪我を見て心配してくれたのか僕の元へとやってくるおじさんとルナ。
けれど、もう僕の意識は『戦士の魂』による影響と、塞がりかけていた怪我が戦闘によって再び開いたのか、それともまだ疲労が回復しきっていなかったのか……。
とりあえずまだ生きてることを感じながら、気を失った。
とりあえず、ここまでを小説で言う一巻として区切らせて一度完結させてもらいます。詳しい事は活動報告の方をご覧ください




