パート 捌
お互いにフラフラになりながらも、私とトイナさんは遺跡を出た。
「瑠花ちゃん! 大丈夫!?」
「う、うん……。私とトイナさんはなんとか……」
私がそこまで言うと、森田君がある事に気づいてしまった。
「おい……あいつは?」
「……………」
静かに、俯く私の代わりにトイナさんが首を振った。その動作が示す答えは、ただ一つ。
「……ま、まさか」
「嘘……でしょ?」
私だって、嘘の方がまだ良かった。けれど、私の目の前で起こった事は、紛れもなく事実だった。
野中君は、怪我をしたまま崖から落とされて――。
「――――!」
「る、瑠花ちゃん!?」
あの時の光景をまた思い出してしまい、私はその場で体を小さくさせながら震えてしまった。
野中君がいなくなった今、私が皆を引っ張っていかないといけないのに……。
このままだと、逆に足手まといになってしまう。
「ど、どうするんだよ、これから……」
赤城君が、顔を真っ青にさせながら呟いた。けれど、あるのはただ沈黙のみ。
いままでは、私に相談する事はあっても全て決めてきたのは野中君だった。そうすれば、こういう出来ごとに本で慣れている野中君について行けば、いつかは元の世界に戻れると思ってた。
(あ……そう、か)
私は、ただ野中君に甘えてたんだ。
力になろうとしてたのは、ただモンスターと戦ってる野中君の負担を減らそうとしていただけ。それ以外は、なんにもしてない。
こんな事になるなら……!
『……まったく、ふざけた奴らだ』
「え……?」
シャインが呟いたかと思うと、いきなり背中にあった剣の重さが無くなった。振り向いてみると、そこには見知らぬ一人の少年が立っていた。
「貴様らは馬鹿か? 我が主が確実にこの世界から出られる方法を持っているとでも? そんな事は決してない!」
「な……!?」
私と似たような事を考えていたのか、皆が少年が言った事に驚いていた。
「だが安心しろ。我が主がいない今、お前らを鍛えてやるのはこの俺だ。びしびししごいてやろう」
「な、なんだよお前……」
「俺か? 俺はマスターの剣でもあるシャイン・ブレイドだ。以後、シャインと呼べ」
★ ★ ★
(……まさか、それがあなたの置き土産というのですか? 野中さん)
斉藤の武器が人間に自分から変化したのを見て、ウーゴは一瞬驚いたが、同時に呆れた。
確かにウーゴは異世界から来た人間の心を読む事は出来る。が、創造によって出来た意志を持つ武器の心を読む事は出来ない……。
(……とでも、あなたは思ってたんですか?)
いくら創造したものとはいえ、それを作ったのは人間。この世界の人が作ったものならともかく、異世界の人が作ったなら変わりない。
ウーゴは、あの剣には野中についての何かを知っていると思い、すぐに心を読んだ。しかし……。
(……!? まさか、そんな……!)
シャインの心の中にあった野中の計画は一部しかなかったが、ウーゴにとっては充分に驚くべき内容だった。
「……だとしても、その賭けは少々危険すぎますよ。野中さん」




