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一般人の僕は異世界では大活躍!?  作者: Douke
第三章「いざ、美少女を求めに!」
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パート20

「…………!」

 周りを警戒しながら、遺跡の入り口付近で倒れている人たちに駆け寄る。もしかすると、この近くにモンスターがいるかもしれないからだ。

「おい、大丈夫か!?」

「う、うう……人、か?」

 僕の呼び声に気付いたのか、三人の中で一番傷が浅い人がこっちを向いてそう呟いた。傷が浅いといっても、着てる騎士のような鎧にはあちこちに傷が出来ていた。こんな丈夫そうな鎧なのに、これだけの傷をつけられるなんて……。しかも鎧の一部には、熱で溶けたような場所があった。

「お、おい……なんだよそれ。本物かよ……」

 体育会系の隣にいた、もう一人の男子(名前は赤木だったか)がそう言ったけど、当然本物に決まってる。そうつい怒鳴りそうになったけど、そんな事を言ってる余裕すらなかった。

「斉藤さん。バックの中に包帯とかあったはずだから、今すぐ出して。それから水とか、食料もお願い」

「うん、分かった」

 持っていた荷物を置いて、一人ずつ鎧を外していく。こういうタイプの鎧なら、留め金がある部分を外していけば、二つに分かれて取れるはずだ。

 僕が鎧を外した順番に、斉藤さんとさっきの少し控えめの女子(こっちは鈴木さんだっけ)が怪我を消毒して、包帯を巻いていく。あっちの鈴木さんは、あの手つきを見ている限りだと、医療の知識があるみたいだった。

 そして最後に、さっき返事をしてくれた怪我が一番軽い人の鎧を外していく。兜を先に取った方がいいよな……って、女の人!?

「す、すまない……」

「あ、いや、別にこのくらい普通ですよ」

 そういえば、ラノベでも騎士の中には女の人も混じってたりするよな、うん。

 そう気持ちを切り替えて、鎧の方も外す。なるべく体を見ない様にしながら、丁重に。

 斉藤さんたちの治療が大方終わってから、僕は話を聞く事にする。

「大丈夫ですか?」

「ああ、もう大丈夫だ……。ところで、君たちは一体……?」

「僕たちは異世界人です。あっちの方にある村から、都に向かってる最中にあなたたちが倒れている所を見つけました」

 村長から、僕達が誰かと尋ねられた時は『異世界人』と名乗った方がいいと言われた。これはおそらく、何物かを証明する時に一番分かりやすい方法だからだと思う。

 案の定、異世界人と聞いた女性は目を大きく開いて驚いていた。

「異世界人……。そうか、通りで若いはずだ……」

「それで、あなた達の傷は一体何にやられたんですか? 見た所、モンスターのようですけど」

「ああ……。私たちは、この遺跡にいる、遺跡の中にあると言われている宝石を取りに来たんだ。だが、それを守るかのように、モンスターがいてな……」

 しばらく話を聞いていると、どうやらそのモンスターはサソリが巨大化したような姿らしい。そして遺跡の中ではまだ仲間が戦っていると言っていた。

 けれど、サソリが鎧を溶かすほどの攻撃をするのか? 僕はそこに疑問を感じた。

「……多分、普通のサソリじゃないんだろうな」

 いくらこの世界がラノベでよく見る世界だとしても、予想も出来ないようなモンスターもいるはずだ。それに、これはむしろチャンスかもしれない。

「く……仲間を早く助けに行かねば……!」

「だ、ダメですよ! その傷で動くなんて!」

「……僕が行く」

 そう言った途端、みんなが一斉にこっちを向いた。

「の、野中君!? もしかして本気なの!」

「うん、本気だよ。それにこれはある意味チャンスなんだ」

 もし僕達がそのサソリを倒して、宝石を見事取る事が出来れば、都に行った時に何か役に立つかもしれない。それにここにはそれを取りに来た騎士達がいる。これはもしかすると王族か何かからの依頼という事かもしれない。上手くいけば、城の方で報酬を貰う事が出来るはずだ。

「……だからって、わざわざ危険を冒すの?」

「冒すわけじゃない。ちょっと、人助けをするだけ」

「じゃあ、私も行く!」

「ちょっ、おい委員長!?」

 ……やっぱり、ラノベみたいな展開になってきたな。斉藤さんがそう言ってきたのを聞きながら、僕はそう思った。

「私だって、野中君と同じみたいに武器を持ってるし、この人の役に立ちたいよ!」

 連れて行っちゃいけない事は、分かってる。斉藤さんを連れていけば、お互い危険は増すし、斉藤さんを死なせてしまうかもしれないから。

 ……けれど、早く斉藤さんに実戦経験を積ませるには丁度いいかもしれない。

「……分かった。斉藤さんにも来てもらうよ」

「おい、何勝手に決めてやがる中二病! てめえ一人で充分だろが!」

「森田君、これは私が決めた事だからいいの。それに、一回でも多く戦わないと、皆を守れる力はつかないから」

 まるで僕が考えていた事を代わりに言うかのように、斉藤さんは皆の前で言った。この様子だと、もう僕がいなくても大丈夫そうだな。

「私も行こう。モンスターと一度戦った私なら、何か分かるかもしれない」

「分かった。でも、あんまり無茶はしないで下さい」

 残った皆に傷ついた騎士達を任せながら、僕と斉藤さんと、負傷している女性の騎士は、遺跡の中へと入って行った。

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