表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一般人の僕は異世界では大活躍!?  作者: Douke
第三章「いざ、美少女を求めに!」
24/44

パート 伍

 大剣で咄嗟に防御をしても、その衝撃は大剣を通り越して私の体を吹き飛ばした。

 遠くまで吹き飛ばされて、大きな木に背中から当たってようやく止まったけど、お腹と背中に鋭い痛みが走って上手く息が出来ない。

「がっ……! げほっ……」

 思わずせき込むと、喉から何かが出てくる感触があって咳と一緒に出した。それはあんまり前の世界だと見る事が少ない、血だった。

 その時、やっと私は理解した。

 ああ、これが今まで野中君が味わってきた世界なんだ、と。

 ミノタウロスと戦った時、ボーンキングと戦った時。野中君はこんな痛みと常に背中合わせに戦ってきた。それでも根を上げずに、諦めずに戦っていた。

 ここは前の世界とは違う。こんな痛みも、この世界だと当たり前なんだ。

「……どうしたの、斉藤さん。まだまだこんなものじゃないよ」

 野中君が飛ばされた私の所まで歩いてきた。その両手にはあの黒と白い剣の二つが握られていて、野中君の体はあの黒いオーラみたいなもので包まれていた。

「やっぱり斉藤さんの気持ちも、ここまでみたいだね。だから言ったんだ。ただの一般人、それもまだ大人になっていない高校生でしかも女子。そんな人が戦おうなんて無理がありすぎる」

「そ、そんなこと……!」

「所詮、その程度だったんだよ。今なら間に合う。その大剣を僕に返してくれれば、それだけでこんな痛い目にもう合わなくて済む。さあ――」

「……だから、ふざけないでって言ってるでしょ!」

 どうにか大剣を杖代わりにしながら、よろよろと立ちあがる。

「――私はみんなを守る力が欲しい! その為には何をしたって構わない! たとえ痛い目に遭おうと、死ぬかもしれなくても、それでもみんなを守れるなら別にいい!」

 全ての想いを野中君にぶつけたその時。

『……なら、我が力を貸そう』

 突然剣が光りだした。

 私が驚いてると、野中君が呟いた。

「……やっぱり斉藤さんの勝ち、か」

「え、どういう事……?」

「その剣の設定を教えてあげるよ。その剣は『持っている人の想いに答える』設定を持っているんだ。つまり、斉藤さんの想いが強ければ強いほどその剣は強くなる。さらに思った通りの力も状況によって追加する事も出来るんだ。例えば高く跳びたいと思えばその思った分だけ、斉藤さんは高く跳ぶ事が出来る」

 じゃあ、さっきの時も早くなりたいと思ったから、野中君と同じくらいに早く動けたってこと?

 でも、私はまだ野中君に勝ってもないのに私の勝ちって言ったの?

「そしてなんでその剣を貸したかというと……。斉藤さんの本心を確かめるためだったんだ」

「私の、本心?」

「うん。見てごらん、その大剣の本当の姿を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ