プロローグ ②
今日は六時間目を担当している先生がこのクラスの担任だったため、ホームルームはすぐに終わった。部活に入ってない僕は普段ならすぐに帰れるはずなんだけど、今日は運悪く掃除当番だった。
中二病なんか言われている僕に友達なんかいるわけがないので、黙々と一人で箒を持って掃除をしていた。
僕以外の人はというと、友達と喋っていたり、先生がいないからケータイを平然と使っていたりなど、誰も真面目に掃除をする人はいなかった。
これだから今時の若者は……。
「まあ、そういう僕も若者なんだけどさ」
自分で自分にツッコミを入れるという寂しい事をしながら、休むことなく掃除を続けていく。
正直な話、掃除は嫌いじゃない。一人で静かに出来るし、教室が奇麗になっていくのは心地良い。
それにこうしている間にも、小説のネタを考える事が出来るし。
さて、あとは机から椅子を降ろしてゴミを捨てるだけだ。
掃除終わったらどうするかな……。家に帰っても特にやる事なんてないし。
別に親と仲が悪いわけじゃないから居心地が悪くないけど、それでも家だと暇すぎる。
パソコンに小説打ち込んでたりするけど、途中で止まったり挫折とかするからなー……。
そんな事を考えてる時だった。
ピーンポーンパーンポーン……。
突然校内放送が入った。おそらく先生か生徒の呼び出しだろう。まあどっちにしろ、僕には関係ないな。これでも学校では平穏に過ごしてるから。
そう思ったのが悪かったのか。
『マイクテス、マイクテス……。えー一年五組にいる皆さん。その場から動かないでじっとしてください』
五組って……。僕がいまいるこの教室じゃないか。
言われた通りに動かないでじっとした。他のみんなもじっとしている、というよりちょっと不審がって止まっているだけみたいだけど。
『一、二、三……うん、六人ちょうどいるみたいだね。良かった良かった』
……なんか、おかしくないか?
向こうは放送室か職員室のどっちかにいるはず。それなのになんで人数を数えられるんだ?
どこかで見てるかと思って廊下の方を見てみるが、当然マイクを持っている人なんかいる訳が無い。それどころか帰宅とか部活にいくはずの生徒も見当たらない……?
「おい、みんな! 早くこの教室から出ろ!」
異常に気付いた僕はみんなに呼び掛けたが、もう遅かった。
『それでは、皆さんを永遠と創造の世界へご案内~』
放送がそう告げると同時に、僕の意識はどこかに飛ばされていた――。