パート14
「シりたいならオシえてやろう……それはヤツがアラわれたのがゲンインだろう」
「奴って、誰だ?」
「そいつは――」
その時。
一つの矢が飛んできて、掴んでいたボーンキングの頭を粉々に吹き飛ばした。
「なっ……」
急いで辺りを見回すけど、当然のごとくその矢を放った人はいない訳で――それどころか放たれたはずの矢すらその場からまるで初めからなかったかのように消えていった。
「………………」
それを見た僕は、笑った。
「は、はは……。いかにもそれらしいな。じゃあなんだ? 今ボーンキングが言おうとしてたのは、それほどにあんたにとって迷惑な話ってことか? よくある話じゃ、この世界の秘密なんかが妥当だと思うけど……確かにそりゃ、こんな序盤で知るには少し早すぎるよな。仕方ないったら仕方ない」
ここには誰もいないはずなのに――僕は誰かに話すように続ける。
「けどな。だからといってはいそうですか、って知らないままにするわけにはいかないよな? ただでさえ平凡かつ退屈な世界から、非常識で面白そうな、けど死が近い世界に無理矢理連れてきたんだ。いつかは絶対に暴いてやるよ。そうじゃないとこんなに頑張ってる意味も、この物語の意味も無くなるよ」
そうだ。今ようやく分かった。
これは僕だけの物語で、僕だけの舞台で、僕だけが主役だ。
そりゃ他にも僕以外に主役がいるかもしれない。
だけど、僕がこうしているのは僕が主人公だからだ。
だから。
「見てていろ、せいぜい傍観していろ――僕は絶対に追いついて、暴いてやる。この世界についての秘密を暴いて、ラノベ的展開を巻き起こしてやるよ」
そして最後は大乱闘して生き残って勝ち上がって、それで元の世界に戻ってやる。
そう決意した僕は、ロンギヌスを消してから、静かに村に帰った。




