プロローグ ①
「ぼー……」
あまりにも授業が暇すぎて、ついつい口でそう言ってしまう。
普通なら先生の話でも聞いて、黒板に書いてある事をノートに写さなきゃいけないんだろうけど、それをやる気は退屈すぎてまったくない。
そんな時にいつもしている事。それは先生が黒板に書いている時を見計らって机の中でこっそりと、まだ読み途中の小説を開いて読む事だ。
先生にばれないように読んでいるとはいえ、クラスのみんなからは僕がしている事は当然ばれている。
しかも読んでいるのがライトノベルという事も知っているから、僕のあだ名は『中二病』と呼ばれている。
まったく、これだからラノベの良さを知らない輩は。つかラノベを読んでいるから中二病って訳が分からない。僕はもう高校一年だぞ。
けど寛大な心を持っている僕は周りの事なんか気にしない。本当ならラノベの良さを、まる一日でも掛けて説明したい所だが、さすがに可哀そうだから、勘弁しておいてやるか。
……ダメだ。腹が立ってきて、全然にラノベに集中出来ない。
仕方なく本を閉じて、今度は一冊のノートを鞄から取り出す。
このノートは授業で使うノートとはまったく関係ないけれど、何か時間がある時にだけ取り出して、今書いている途中の小説のネタを書きこむ、いわば執筆ノートだ。
ラノベでも普通の小説を読んでいるとありがちだけど、そういうのを読んでいると今度は自分で書きたいと思うようになる。これはきっと僕だけじゃないはず。
ちなみに僕が今書いている小説は、現代が舞台のバトルもの。
とりあえずは主人公のバトルで使う武器の設定とかは思いついたけど……。それ以外にも人間関係とか、主人公の過去設定とかも考えないといけない。
そんな事をいろいろと考えているうちに、この日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。