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甘いものにはご注意を

アサノニア帝国歴1026年夏の月27日目。天気は晴れ。


日差しが強く、それに呼応するように木々が青々しく、なった頃。


あの一件から、ルシィはちょくちょくエルサム様に会いにいくが、プリシラがブロックしており近づけないらしい。


おかげで夏の月までとても平和だった。


ちなみに、プリシラがルシィの特技に巻き込まれ、業務に支障がでないように、エルサム様が学園全体に通知したらしい。


『王族警備を担当している者の判断によっては、接触や軽傷を追うことがある。軽傷者が不服と感じた場合は、速やかに学園事務へ申し出ること。事実確認のうえ、相応の賠償金を支払うことで、解決するものとする。』


これで事実上、プリシラがルシィの幸運や魅力による人の妨害に遭って対処しても、問題ないってわけだ。


ちなみにプリシラは細心の注意を払いながら、ルシィの幸運と魅了による妨害を、掴んでは優しく下ろしを繰り返して、道を作っている。この条例をいいことに力任せに投げ飛ばさないのが、彼女の良いところだ。


そのおかげで、前よりかは早く、ルシィに絡まれかけているアリシア様の元ヘ、到着しやすくなった。プリシラの優しさのおかげで、アリシア様の評判も上々だ。


春の月に比べて最近は平和だな〜そう思っていながら、エルサム様とアリシア様がいる応接室へ向かう。


今日は学園はお休みで、お2人が王宮の応接室にて、逢引をしているので、お代わりの冷たい紅茶を持ってきたところである。


部屋を開けると、甘い匂いがした。お二人の空気が甘いのではない。


よく見るとお二人の手には、ガラスでできた器があり、その上に白い半丸の何かが乗っている。僕は、お2人にお茶を出しながら観察していたとき、エルサム様の青い瞳と目が合った。


「なんだ。エディ、これが珍しいのか?」


エルサム様の問いに素直にはいと答える。


「これはな、“アイスクリーム”と言うものだ。あの女の“イベント”で存在と概要が乗ってたので、試しに宮廷のパティシエに作らせたものだ。」


そのアイスクリームは相当美味しいのか、こう言う時は、僕を小馬鹿にして教えてくれないエルサム様が上機嫌で教えてくれた。


そんなに美味しいのか、、、。


そのやりとりを見ていたアリシア様が、エルサム様に向かって言う。


「エルサム様。見せびらかすだけでは、エディが可哀想ですわ。」


「そうか?わかった。エディお前も食っていいぞ」


やった〜アリシア様大好き〜と心の中で思いながら、顔は冷静を装いお二人に礼を言ってアイスクリームを食べた。


、、、なんっって美味しいんだ。


口の中ですっと冷たい感覚のあとに、口の体温でス、、、と溶けた。その後に甘く広がるミルクの風味がたまらない。


少し香草とスパイスを入れているのか、それが、さらに一層上の芳しさへ昇華させている。


「おいひぃ〜!!!」


僕が思わずいうと、そばで控えていた王宮パティシエが、笑顔をエルサム様たちに向ける。


「ありがとうございます。エルサム様からお聞きしたのは概要のみでしたので、あとは私の想像で作っております。なので、実際の味とは異なるかとは思いますが、お気に召していただき光栄です。」


異なるとしても、きっと似た味を異世界の人たちは、気軽に食べていたのだろう。ルシィの身分も一般市民って言ってたし、こっちでいう平民に近かっただろうから。


僕は、アイスクリームを食べる手が止めないまま、エルサム様と王宮パティシエの会話を見守る。


「そうか、一般に普及したかったのだが、難しいか?」


「はい、調理過程や提供直前まで適切な冷凍保存を行わないと、すぐ傷んでしまいますため、一般に普及するのはまだ難しい代物ですね。」


王宮パティシエは、エルサム様へ自身の見解を伝えていた。僕は、その報告を尻目に、アイスクリームの美味しさに、舌鼓をうつのだった。


あ、そういえば夏の月のイベントって確か。夏にお忍びでエルサム様が街を歩いていると、暑さで参ってしまって、そこにルシィが登場。食堂を借りて、冷たい菓子を振る舞うって話だったっけ?


そもそも、帝国の第一王子が護衛もつけずにこんなに暑い街を歩いて、毒味なしの料理に手をつけるなんて、向こうの世界の王族は平和なもんだなぁ〜。と考えていた。


その日の夜、昼間に城下町のとある食堂の厨房に半ば強引に押し入り、ありったけの牛乳と、はちみつや甘いものを混ぜて、「なんでこの世界は冷蔵庫ないのよ!!」と叫びながら、厨房内を物色するという奇行をした女が、警備兵に捕まったという話を噂好きのメイド達から聞いた。


その女が持っていた液体状のものを、興味本位で食べた警備兵が、ものすごく腹を下したことも。


僕は心の中で静かに、彼の冥府を祈った。死んでないと思うけど。


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