第一試合開始
学園に到着する。相変わらず、空間転移完了のタイミングは僕しかわからないはずなのに、エルサム様は繋いだ僕の手の先で華麗に着地する。
振り返ると、完璧なカーテシーをしながら、アリシア様がいらっしゃった。相変わらずお美しい、、。
「エルサム様。エディ、ご機嫌麗しゅう。」
美しい鈴のような可憐な声に、聞き惚れていると、エルサム様が僕の前に現れる。
「あぁ、アリシア。今来た。変わりはないか?」
「はい。学園内は、特に変わったことはございません。」
流れるような会話とエルサム様に迷いないエスコートで2人して椅子に座る。ここはどうやら王室専用サロンのようだ。
アリシア様のお付きのメイドが流れる動作で香り高い紅茶を出す。アリシア様はメイド一人一人にお礼を言う。エルサム様はもう紅茶を飲んでいる。
「相変わらず、アリシアが用意する紅茶は格別だな。」
「ありがとうございます。エルサム様。」
2人のやりとりはとても優雅で美しい。眼福だ〜と僕は見惚れていた。
「アリシア、あの女には近づくな、君に害しかないからね。」
「はい。かしこまりました。」
エルサム様の命令に、アリシア様は迷いなく了承する。それを聞くとエルサム様はアリシア様の後ろに控えている女性に声をかける。
「ということだ。プリシラ。あの女をアリシアに近づけさせるな。」
「かしこまりました。」
プリシラ、そう呼ばれた巨体の女性は胸に手を当て深々とお辞儀した。
彼女は隣国ヨルヴァスから来た移民だ。赤い肌に額には2本のツノが生えている。いつもはアサノニアの国民を驚かせないように、ツノはベレー帽で隠している。実に思慮深い女性だ。
筋肉隆々の彼女はこの帝国の30人いる師団長クラスと同等の力を持っている。確か彼女の特技は、、
「このプリシラ。事情はアリシア様よりお伺いしました。我が特技『対魔』にて、必ずやアリシア様をお守りしましょう。」
そうだ。対魔だ。どんな魔法や特技も跳ね返す。彼女を止めるには同じく肉体で止めるしかない。これならルシィの特技を跳ね返せるから安心だ。
そう思ったのも束の間、“転生者”というのは結構厄介であることを知ることになる。




