ルシィの企み
シュンっと、僕は“影”を連れて、ルシィの部屋まで瞬間移動した。
影はそのまま、ルシィの元まで行くと、頭に手を乗せる。頭の指圧マッサージでもするのか?と言った格好だ。
影はそのまま、ルシィから目を離さなかった。
「俺の特技は相手の頭を弄るコト。やろうと思えバ、廃人確定だが、頭の中を本にして出せル。だけど、そこまで言われてないシ、今からやることは俺は手は使えなくなル、これからすることをお前が書ケ」
あっさり怖いこと言われたけど、だから事前に白紙の冊子とペンを渡されたのか〜。僕は彼の機嫌を損ねないように、愛想笑いと納得しながら、書く順をする。
僕の準備ができたと気配で影が思ったのか、特技を開始する。ウゲェ、、指がルシィの頭の中に入っていった。
僕がドン引きしていると、ルシィの目がゆっくり開き、瞳がどんどん頭の方向いて行く。うわぁ、、大丈夫なのコレ?
僕の心配をよそに、影はルシィに質問する。
「君はドコの誰?目的ハ?」
その質問にルシィが答える。
「あぁへぁああ、、ルシィ、、かとう、ちえみぃいい、、トウ、、キョォオオオ、、攻略ゥウウ!!」
カトウ、、?チエミ、、、?聞き慣れない名前をメモしながら疑問に思う。
そのまま続く影の質問に答えるルシィ(?)の発言に耳を疑いながら、僕は筆を走らせるのだった。
…
「ふぅん、、?ルシィではなく、異世界から転生してきたカトウチエミか。」
僕と影が夜鍋して聞いた情報の塊を読みながら、エルサム様が独り言を呟く。
ちなみに退散する時は影が、今夜のことを全て忘れる脳のツボがあるらしく、そこを特技で押したらしい。、、、大丈夫なのか?それは、、、?
僕は眠たい目をなんとか開けて、エルサム様の言葉を待つ。時間は夜明けの前を指しているのに、なんでこの人は眠そうにならないの?
ルシィ(カトウチエミ)が言ったことはにわかに信じられなかった。彼女は38歳独身、向こうの世界で我々の世界に似た疑似恋愛を楽しむ遊戯を楽しんでいた。そして、階段から落ちた後、ルシィとして目覚めたと。
さらに彼女が、カトウだった時に好きだった登場人物がエルサム様であった。これ幸いと、彼女はエルサム様を籠絡し、皇帝の婚約者になろうとしている。
もう、、、この時点で国家転覆罪なんですけどぉ〜。
異世界から来て、知らなかったとはいえ、あの馴れ馴れしさはいただけないけど。そう思うと、エルサム様は僕が書いた報告書を読み終わるとポツリと呟いた。
「なるほど、“イベント”、、、やつが遊んでいた遊戯の世界観は確かに、我らの世界と酷似している、、。まぁ、いただけないのは、我が愛しのアリシアが悪役となっていることぐらいだな」
確かに、あんなにお優しいアリシア様が悪役なんてなんて世界だ!そう思っていると、エルサム様は朝日を眺めている。
僕は窓を見てあさが来たことを知る。あぁ、、、今日徹夜ジャン、、、。そんな僕の落胆の様子など気にもしないエルサム様は、朝日に輝く美しい姿でさらにつぶやいた。
「あの汚物、、ただの無礼者だと思っていたが、転生者で俺を籠絡が目的か、、、面白い。お前の矜持に乗っ取り、お前の世界を壊してやろう、、。久々におもしろい女に出会った、、。」
(白馬の王子様の皮を被った悪の帝王じゃん、、。)
僕が、ドン引きしている目の前で、高笑いするからエルサム様。輝かしい朝の光だけが、暖かかった。
そして、朝の時間が過ぎて行く、この後、転生者の恐ろしい執着心を垣間見るとも知らずに。




