ご主人様のためなら徹夜作業も喜んで!
その夜。多くの人が眠りにつくころ。僕はエルサム様に呼び出され、エルサム様の執務室にいた。
エルサム様は広い豪華な長机に肘を置き、顔の前で手を組んでいた。
「エディ、君を呼んだのは他でもない。あの汚物女汚物女の元へ、今から向かい何が目的か探ってこい」
(んな無茶な。)
僕は片田舎から出てきた執事であって、諜報員じゃない。第一、どうやってルシィに、目的を聞き出せばいいのかもわからない。
しかし、主人の命令なので、一応やること前提で、疑問を投げかけた。
「エルサム様。僕ができるのは、空間転移だけです。どうやって目的を探るんですか?」
僕のその問いに、可哀想なものを見る目で、エルサム様が見てくる。
「ハァ、そっか、一般人は説明しないとわからないよな。」
(いつものことなので、ムカつかないぞ僕は。)
内心のイラつきを抑え、黙ってエルサム様の言葉を待っていると、エルサム様がパチンと指を鳴らす。
すると、物陰からヌッと人が出てきた。“影”だ。王家直属の暗部を一手に率いるものたち。
(エルサム様付きの執事になる時聞いてたけど、初めて見た。)
影は、全身を黒で覆っており、身体的特徴などは一切わからない。顔も不気味な黒の仮面だし、服装も黒いローブの下に黒い装束だ。
(でも、闇に生きるモノって感じでかっこいい〜)
僕が感動していると、エルサム様は美しい笑顔で説明する。
「エディ、お前は一度見て名前がわかるものの場所まで瞬間移動できる。だから、この影を連れていけ」
(なーるほど、僕が呼ばれた理由はそれか〜。)
僕は、影のかっこよさとは、裏腹に間抜けヅラを晒した。今振り返ると、この時の僕は間抜けすぎて、恥ずかしくなる。
この後、ルシィの目的が、帝国を揺るがすものだと知らなかったのだから、仕方ないのかもしれないけど。




