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私の運命の日!

-文化祭終了後 日没-

-学園にある男爵令嬢用の控室-

-ルシィ視点-


私は文化祭の片付けをクラスメイトに任せ、一足先に化粧室を使っていた。


男爵令嬢は、大部屋の1-2人が入れるぐらいのスペースにカーテンで仕切られている。まるで、成人式の着付けをやってもらった時の情景に似ている。


しかし、次期女王にそんな待遇は許されない。


私は、3-4人分のカーテンをバッと開けて、自分が使うスペースとして確保した。


後から来た同じ男爵令嬢が、オドオドし周りの令嬢とヒソヒソ何か話している。端っこを陣取っているため、入り口で小声で話されると聞こえない。


(使うんだったら、声をかけてくれれば、譲るわよ。どこの世界も女って陰湿で嫌ね)


私は、前世からずっとサバサバしてたので、こういう女子の扱いには慣れている。女ってああやって群れないと息できないから、理解を示してあげて、気が済むまで言わせてあげる。


(声かけないってことは、使ってもいいってことでしょ?)


ああいうネチネチ女の大群は、無視するのに限る。前世からの学びのおかげだ。案の定、しばらくすると、空いているスペースを譲り合って、使っていた。


(ハッ!惨めね!)


実家から連れてきたメイドのクルミに、先日アリシアより先に勝ち取って、手に入れた一点もののピンクのドレスへ、着替えを手伝うように命令した。


「はい!かしこまりました。お嬢様!」


クルミは笑顔で応えてくれる。クルミは私が幼い時から仕えているから、私の一番の理解者だ。どんな時も、私が正しいと背中を押してくれる主従を超えた親友でもある。


クルミは、私に余計な質問はせずに、黙って手を休ませずに作業していた。


彼女が口を開くときは、必要最低限の報告か、私を励ます言葉を述べるときぐらいだ。昔からそうして欲しいとお願いしたら、その通りにしてくれる。


他の令嬢とメイドは、さっきのよそよそしい態度とは裏腹に和気藹々と準備している。


(未来の王女とその付き人は、無駄口なんか叩かないわ。これだから位が低い人たちは、、、!)


私は心の中で、ため息をついた。この帝国の行末を憂いたが、私がエルサムの嫁になれば、現代とゲーム知識で、この国は豊かになる。


自分の自己犠牲の気持ちで、憂いを誤魔化していた。


(なんて、帝国思いの妻なの、、、?私ってば、、、)


考えに浸っていると、腰の辺りから、クルミの声がする。


「そういえば、お嬢様。お父上からお手紙が届いておりましたが、ご拝読されましたか?」


不意に記憶にないことをクルミから言われ、一瞬動揺する。


「え?来てたの?中身は?なんて書いてあったの?」


「はい。この前、お買い上げになった一点もののピンクのドレスについてでした。」


(またか、エルサムルート確定まで、お父様の名義で買ったことは内緒にしたかったのに、もうドレスの請求書が届いちゃったの?)


店主には、冬の月の最後の日に送るようにと散々言ったのに。それを忘れて送ってしまった、無能な店主に腹を立てる。


(この前の“いちご”を仕入れた時と言い、お金にほんとうにケチなんだから。可愛い娘に投資しなさいよね)


私は、アーベルにいる父に、心の中で悪態をつくと、クルミの方を向いた。


「それは後で対応するわ。ドレスを着せ終わったら、ヘアセットやって、いつも通り、いい感じに可愛くして」


「かしこまりました」


クルミに促され、鏡に前に座る。


鏡の中の私を見る。現実世界でも、私は美人だったけど、このルシィの顔は、流石恋愛ゲームの主人公、という完璧な美貌をしていると認めざる負えない。


私は鏡をまじまじと見る。


透明感のある肌に、隈なんか知らない瞳。何もしていないのに、天を向いているまつ毛。そして、りんごを想像させるチークと、ぷるぷるの水々しいリップの色。


どこをとっても、完璧な美少女だった。現実世界でこの顔をメイクで再現しようもんなら、整形からやんないといけないぐらい。顔の配置が完璧だ。


化粧を高校生の時からしてた私だから、言えるけど、このクオリティなら、逆にすっぴんの方がいい。


そして、鏡に写る私の姿。全体的に白とピンクで構成されている可愛いプリンセスラインのドレス、胸元にボリュームが出るように、レースがふんだんに使われている。


(胸元も全然苦しくないし、私にぴったりのドレスね!)


ドレス部分にも、宝石でできた贅沢なビジューが所狭しと付けられていて、まさにファビュラスな私向けであると、ドレスをきた姿を見て、ますます自覚する。


(現実世界の結婚式で、絶対に選んでたわ。値段は思っていたよりしたけど、次期女王には安い出費よね)


購入した時に店主から渡された、請求書の金額を思い出す。現実世界では、一生かけても払えない額であった。


(あの請求書も、エルサムに言えばポンと払ってくれるでしょ。なんたって帝国の王子なんだから、どんなIT社長よりお金持ってるでしょ)


私は、父からきた手紙の対処方法を考えついたので、ひとまず安堵した。


時刻は後夜祭開始の10分前。ここから、後夜祭会場まで、歩いて5分程度の距離だ。


ヘアセットも耳より上のツインテールにしてもらい、頭には特注品のティアラをつけた。


(今夜は、私の素晴らしい運命が確定する日!相応しい格好をしなきゃね)


私は、鼻歌を歌いながら、後夜祭が開催される学園のホールへヒールを鳴らしながら向かう。


丈が長いタイプだったみたいで、裾をひきづってしまっていたが、昔テレビで見た海外の王族のウェディングドレスみたいで素敵だと思った。


ドレスは宝石の装飾のせいで、鉛のように重かったけど、私の足取りはとても軽かった。


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