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美しきエルサム様の婚約者様

エルサム様からの指示で、空間転移をし文官に書類を渡した。


その文官は中身を見るなり青ざめて「終わりだ、、、」と言いながら、僕に礼を言うと、トボトボと文官長のいる部屋へ歩いていった。


僕はあの文官には、もう会うことはないだろうなと心の中でお別れを告げ、瞬間移動魔法で戻っていく。


座標はエルサム様だ。エルサム様の魔力をたどりながら、魔法を念ずると、フッと体が軽くなりエルサム様の元へ飛んでいく、、、はずだった。


ボインッという音とともに弾かれてしまい、僕は学園の入り口に、放り出される形で地面に倒れた。


「いてて、、、」


僕はひとり立ち上がり、いつものように身なりを整える。エルサム様の結界魔法に僕の特技が負けて、弾かれてしまったのだ。


学園全体を覆う結界魔法なんて、上級魔法師でも3日かかるのに、あの人は、僕は居なくなったものの数分で、やってのけてしまうんだもの。本当に恐ろしい人。


「この邪魔されたくない感じだと、エルサム様は王室専用サロンだな、、、」


僕は、いつものように王室専用サロンへ歩を進める。


僕は王室専用サロンへ到着すると、目の前は、季節を問わず一面の薔薇。100本きっかり揃えているらしい。


天井はガラス張りで太陽光を一心に浴びているが、ヨルヴァス国からの貿易で手に入れた素材のおかげで、夏でも快適な温度を保っている。


中央には綺麗に彫刻されている噴水。贅の限りを尽くした、その他の装飾にクラクラしながら目的地まで歩くと、一層華やかな場所に着いた。


そこには、高価な彫刻を施した美しいテーブル、その上には、帝国1番のパティシエが腕によりをかけた至高のスイーツ。


そして、何時間でも座っていられる一級品のイス。そこに、100本の薔薇も霞むような美しく可憐な女性が座っていた。


ここまで言えば、わかるでしょう。そう、エルサム様の婚約者ーアリシア様ーである。


美しい満月の輝きを移したかのような美しい銀髪。アメジストの輝きが、劣るほどの美しい紫の瞳。水々しい桃のような血色の良い唇。


月から舞い降りた聖女と言われたら、誰もが信じるその美貌。


そんな美しいアリシア様は、もちろんエルサム様の婚約者として相応しいお家柄だ。公爵家の長女であり、アリシア様の叔父にあたる方は、この国の宰相を勤めている。


そんなアリシア様の目の前を陣取るように座るのは、我が主人エルサム様。


あ、目が合った。舌打ちしてないけど、アリシア様にわからないように、ハンドサインで「死ね」って言うの辞めていただけますか?


アリシア様とのお茶会を、邪魔されたくないのはわかりますけど、おそばにいるのが僕の仕事なので。


僕はエルサム様の態度を無視して、エルサム様の後ろにつく。


アリシア様が僕と目が合うと、ニコッと上品にそして歓迎するように微笑んで挨拶してくれた。アリシア様のお優しさが沁みる。


そんないつものお茶会が、この後崩れてしまうとは思いもよらなかった。

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