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4 トモトの実

ファミリアが意識を取り戻してから、早くも1ヶ月が経とうとしていた。頭の中に住む「おじさん」の正体は依然(いぜん)として謎だが、一つだけ確かなことがある。おじさんも眠るのだ。そして今、彼は気持ちよさそうに寝息を立てている。



「厨房長、この冷たいコフキイモのスープ、美味しかったわ。どこのイモなのかしら?」


「お嬢様、それはダンシャクって芋で、裏の畑で採れたもんです。粉っぽくてそのままじゃパサつくが、スープやポトフにゃ絶品でして。お口に合ったなら何よりです。」


「あら、裏の畑ということは庭師のショーンが育てた芋ね。懐かしくなってきたわ、久しぶりに畑でショーンの顔でも見てこようかしら。」


「お嬢様が来るとショーンも喜ぶことでしょう。ぜひ庭に顔を出してあげてください。」厨房長のマルスが満面の笑みでファミリアと雑談に(きょう)じる。マルスはウェルド家に30年も仕えているベテランであり、厳しい親方として若手をバリバリと鍛えて恐れられている。だが、ファミリアの前では孫を甘やかす爺の顔である。子宝に恵まれなかったマルスは領主の娘ファミリアを敬愛しているのだ。


マルスがニコニコと世間話をしていると厨房からドタドタと近づいてくる足音が聞こえてきた。

「親方!燻製(くんせい)小屋から煙が漏れてる」

「なんだって?ガーミンに燻製任せただろ、あいつはどこ行った!」

「それが、ガーミンの野郎いねぇんで、どっかでサボってるかもしれやせん」

「あの野郎…またサボりやがったか!今行くから待ってろ!」


どうやら厨房でトラブルがあったようだ。


「申し訳ねぇ、お嬢様。ちょっとガーミンをとっちめてきますんで、失礼します。」マルスは頭を下げつつ、すでに拳を握りしめていた。


「あまり怒らないであげて。ガーミンは親元を離れて奉公に来たばかりなの、ちょっとサボりたいときもあるのよ。」


「あいつは要領はいいが、すぐ昼寝しやがるんで目が離せねぇんです。お嬢様に免じて、まぁ“優しく”指導しときますよ。」マルスはニヤリと笑い、鼻息荒く厨房へと消えていった。


おじさんが頭の中で起きたような気配がする。


《ふわぁ~、よく寝たぜ。ん、朝食に寝過ごしたか?》

(あら、遅かったわね。ちょうど朝食が終わったところ、食べられなくて残念ね。)

《ファミリアが目覚めたら俺も自動で起きられりゃいいのにさ。頭ん中に住んでる意味ねぇじゃん、これじゃ。》

(その辺の仕組みがさっぱりだし、そもそも頭におじさんが住んでるなんて前代未聞よ。私たちで解明するしかないみたいね。)


《まぁ俺が起きているときにファミリアと味覚が共有できて良かったぜ。おかげで体は動かせないが美味い飯は食える》


おじさんはファミリアと独立して寝て起きる。正確にはわからないが、普通の人と同じくらいは寝ていると思う。だいたいは同じタイミングで寝ているが、おじさんは起きるのが遅めだ。最近のおじさんの楽しみは食事だ。厨房長マルスの作る食事は絶品で、異世界からきたおじさんも(うな)るほど。まぁ、美味すぎる料理のおかげで熱病に(おちい)る前のファミリアは肥満になっていたわけだが・・・


《ファミリア、この後は何をするんだ?》


(そうね、今日は家庭教師の授業は無いから庭を散歩しましょう。久しぶりにショーンに会ってみたいわ。)


《ショーンとは誰だ?》


(うちの侯爵家専属の庭師で、庭園と畑を管理しているおじさんなの。私も小さいときにお勉強が嫌で部屋を飛び出して庭に隠れていたの。ショーンおじさんがすぐ見つけるんだけど、私が隠れていることを内緒にしてくれて、いろいろと畑のことを教えてくれたの。)


《随分とお転婆娘だったんだな》


(小さいときの話よ、もう立派な淑女だからそんなことはしないわ)


《12歳はまだ子どもだろ》


(あら、もうしばらくしたら魔法学園に入学することになるわ。貴族の世界では魔法学園の入学は社交界デビューよ、大人の仲間入りってわけ)


《へー、そんな文化があるんだな》


(平民は10歳になると奉公に出たり、家業を手伝ったりするから貴族よりも早いわね。厨房見習いのガーミンも10歳で奉公しているのよ。)


《俺のいた国では18歳が成人で、働くのもだいたいそのくらいだな。人によっては22歳で就職とかも当たり前だったし、俺も22歳から働き始めた気がする。》


(ずいぶんとのんびりした国だったのね、そっちのほうが信じられないわ)


ファミリアとおじさんは頭の中で雑談をしながら庭を散歩する。どういう仕組みか謎だが、ファミリアは声に出さなくても、喋ろうと考えたことがおじさんに伝わるのだ。漠然(ばくぜん)と思い浮かべるだけではダメで、明確に言葉を発するように考えなければおじさんとコミュニケーションできない。例えば頭の中に情景を思い浮かべたりしても伝わらないし、想像しただけではおじさんは分からないらしい。


15分ほど庭を歩いていると、立派な畑が視界に広がった。町娘が軒先で細々と育てる菜園とは違い、広大な敷地に整然と(うね)が並び、まるで小さな緑の王国だ。雑草は一本も見当たらず、土の一角一角から管理者の几帳面さが滲み出ている。


畑の畝の一角で、腰をかがめて農作業に励む人影が、生い茂る野菜の間にちらりと見えた。

「ショーン、いるかしら!」とファミリアが畑の端から大きな声で呼びかける。

その声を聞きつけた人影が、ひょこりと顔を上げた。つばの広い帽子をかぶり、首にタオルを巻いた長身痩躯(ちょうしんそうく)の初老の男だ。


「おぉ、誰かと思えばお嬢ちゃんじゃないか。お久しぶりでさぁ」と、力強い声で男が応えた。額の汗をタオルで拭いながら、ファミリアの方へゆっくりと近づいてくる。

「久しぶり、ショーンおじさん。」

「お嬢ちゃん、大声なんぞ出してはダメですぜ。淑女(レディ)らしく振る舞わなきゃ」と、たしなめるように言うショーン。


「あら、久々に様子を見に来たのに、いきなりお小言なんて。執事長みたいなこと言うのね」と、ファミリアは笑いながらも、少し拗ねた口調で返す。


「元気になられて何よりでさぁ。お嬢ちゃんが熱病で()せったと聞いて、使用人の皆で回復をお祈りしてましたぜ。」

「おかげさまで、この通りよ」と、ファミリアは力こぶを作る仕草を見せる。


「ところでお嬢ちゃん、随分お痩せになったみたいで……。こうしてお顔を拝見するのは、確か1年ほど前になりやすが、あの頃はもっとふっくらしてたのに。何かあったんですかい?」


「熱病で20kgも痩せちゃったらしいの。医師が言うには、今生きていられるのは、溜め込んだ栄養のおかげだって。飲まず食わずだったけど、体の栄養を無意識に魔力に変えて、命を繋いでいたみたい。」


「それはそれは……なおさら元気なお顔が見れて、嬉しい限りでさぁ。お勉強が忙しくなって、お姿をさっぱり見かけなくなったもんで、庭師一同はずっと心配しておりましたぜ」と、ショーンは優しげに目を細めた。


「あと2ヶ月もすれば魔法学園に入学するんだから、そのために家庭教師の勉強が忙しくて、前みたいに遊びに行けなくなっちゃったのよ。」


「ほぉ、ついに魔法学園に入学ですかい。ますます寂しくなりますなぁ。でも、今日はいいんですかい?」

「今日は先生もお休みだから大丈夫よ。今朝、マルスがダンシャクのスープを出してくれたんだけど、ショーンが作ってるって聞いて会いに来たの。」

「おぉ、それは嬉しいことを言ってくれますな。」ショーンは満面の笑みを浮かべて答えた。


「ところで、今何をしてたの?」

「トモトの実を収穫してたんでさぁ。ほら、そこに。」ショーンが指さす方向を見ると、木箱に山盛りの赤い実が詰まっているのが目に入った。

ファミリアが近づいてみると、陽光を反射する拳大(こぶしだい)の瑞々しい赤い実が輝いている。

《ほぉ、トマトじゃないか。この世界じゃ『トモト』って呼ぶんだな。》

おじさんが頭の中でつぶやく。どうやらトモトの実について何か知っているらしい。


「へぇ、トモトって何の料理に使うの?そのままサラダに乗ってるのは見たことあるけど、料理にも使えるの?」


「お嬢ちゃん、トモトの実は生だと少し酸味が強いんですが、熱すると酸味が和らいで旨味が引き立つんでさぁ。たとえば、中を軽くくり抜いてチーズを詰めてオーブンで焼くと美味いんだ。トモトのジューシーさとチーズの濃厚さが絶妙に合わさった一品でさぁ。」

想像しただけで口の中が唾液でいっぱいになりそうだ。あとでマルスに作ってもらおう。


《トマトはやっぱりピザだな。旨味が強いからパスタにも合うし、鶏肉と一緒に煮込んだスープもいい。中華風に卵と炒めても美味いんだよなぁ。》

おじさんはトモトの調理法に詳しいようで、ずっと頭の中でブツブツ呟いている。


「ねえ、ショーン、私もトモトの収穫を手伝っていい?自分で収穫したのを食べてみたいわ。」


「お嬢ちゃん、無理言わないでくれよ。せっかくの綺麗な服が汚れちまう。それに、淑女らしくしてなきゃ…」


「そんな野暮なこと言わないでよ。汚れるくらい気にしないわ。私、何でも自分でやってみたいの!」

ファミリアが言葉をかぶせるように言い切る。

ショーンは一瞬言葉に詰まり、困ったように眉を寄せた。それから小さくため息をつき、「そんなに言うなら、ちょっとだけ収穫を手伝ってもらいやしょう」と渋々承諾(しょうだく)した。


「さすがショーンおじさん、話が早いわ!」

ファミリアの顔がパッと明るくなり、ショーンの後に続いて畑へと駆け出した。


二人は庭の奥へと進み、トモトが植えられた日当たりの良い南の一角にたどり着いた。そこは広々とした畑の一画で、土はふかふかと柔らかく、湿り気を帯びている。ファミリアの肩口ほどに伸びた真緑(しんりょく)の茎が、細竹の支柱にしっかりと結ばれて整然と並び、その間から瑞々しいトモトの実がたわわに実っている。赤く熟した実は陽光を受けて(つや)やかに輝き、まだ青い実もちらほらと混じって、緑の葉の間で控えめに色を添えている。茎からはほのかに青臭い草の香りが漂い、土の匂いと混じって鼻をくすぐる。畝の間には雑草一つなく、ショーンの几帳面な手入れが感じられる。


「これって手でちぎっていいの?」

ファミリアがたずねると、ショーンは腰の革袋から小さな(はさみ)を取り出して差し出した。


「トモトはこれで切った方がいい。手でちぎると傷ついて、実が腐りやすくなっちまうからね。」

ショーンは近くのトモトの実を手に取り、サクッと鋏で切り取って見せた。切り口から透明な汁が一滴こぼれ、土に染み込む。


「こうやって切るのね、楽しそう!」

ファミリアはショーンから鋏を受け取り、早速トモトの収穫を始めた。


最初に目についたのは、茎の先端近くでぷっくりと膨らんだ真っ赤な実。鋏を近づけると、トモトの表面が太陽光を反射してキラリと光る。慎重に茎の付け根に刃を当て、サクッと切ると、小気味良い音と共に実が手の中に落ちた。ずっしりと重く、温かい感触が掌に伝わる。切り口からはほのかに甘酸っぱい香りが漂い、ファミリアの鼻をくすぐる。

「見て、ショーンおじさん!こんなに立派なのを採ったわ!」

ファミリアが得意げにトモトを見せると、ショーンは「上出来だねぇ」と笑いながら頷いた。彼女は土の上に置かれた籐のカゴにそれをそっと置き、次々と収穫を進める。鋏を動かすたびにサクサクと軽快な音が響き、トモトの実が次々にカゴに溜まっていく。熟した赤い実を狙って切るうちに、時折まだ青い実にも目が留まる。


「この青いのは採っちゃダメ?」

ファミリアが茎にぶら下がる小さな緑の実を指さして聞く。


「そいつはまだ早いね。もう少し日に当ててやると赤く熟すよ。今日は赤い実だけにしときな。」

ショーンのアドバイスに従い、ファミリアは赤い実だけを選んで収穫を続ける。


夢中になってトモトを切っていると、茎の間から小さな虫が飛び出してきた。緑色の小さな甲虫がファミリアの目の前をブーンと横切り、彼女は思わず「わっ!」と声を上げて後ずさる。


「お嬢ちゃん、大丈夫かい?そいつはテント虫だよ。トモトの葉っぱを食う害虫さ。見つけたらこうやって退治するんだ。」

ショーンは腰の革袋から小さな木べらを取り出し、素早く虫を叩いて葉の上に落とすと、軽く踏みつけて土に埋めた。「指で触ると臭いが残るからな。これで十分だよ」と笑う。ファミリアは少し驚いた顔をしたが、すぐに気を取り直して収穫に戻る。


トモトの茎を一本一本丁寧にチェックしながら、鋏を動かす手がだんだん慣れてきた。熟した実を見極めるコツもつかめてきて、赤みが濃く、表面がツヤツヤしたものを選んで切っていく。時折、切りすぎて茎ごと鋏で傷つけてしまい、「あっ、ごめんなさい!」と慌てて謝ると、ショーンは「気にすんなよ、慣れりゃ上手くなるさ」と優しく笑う。


カゴの中が半分ほど埋まった頃、ファミリアの額に汗がにじみ、頬が上気してきた。

30分ほどが過ぎ、気がつけば真っ赤に熟した実はすっかりカゴに収まり、太陽は中天(ちゅうてん)に昇って中春の空を照らしていた。汗ばむような暖かさがファミリアの頬を撫でる。服の(すそ)には土が付き、袖口にはトモトの汁が飛び散って小さな染みを作っているが、ファミリアは全く気にしていない。


「お嬢ちゃん、もう()れたトモトは無さそうだよ。そろそろおしまいにしやしょう。」

ショーンが後ろから声をかける。


「あら、もうトモトはないのかしら。随分暑くなってきたわね。」

ファミリアが汚れた手で目の上の汗をぬぐう。ショーンはそんな仕草を見て、侯爵令嬢とは思えないおてんばぶりに内心苦笑いを浮かべ、ファミリアを井戸に先導した。


井戸は庭師小屋の陰にあった。ショーンが慣れた手つきで水を汲み、桶に移した。

桶をのぞき込むと太陽光にキラキラ反射した水面にファミリアの上気した顔が映る。幼い中にきらめく美しさを秘めた顔には土汚れが付いていた。


「お嬢ちゃん、綺麗なタオルを持ってくるんで、水に浸して顔を拭いてくだせぇ」とショーンが庭師小屋に入っていった。

「そんなことしなくても直接顔を洗えばいいじゃない」とファミリアは桶の水を両手ですくってバシャバシャと顔を洗った。

《服が濡れているぞ》とおじさんがつぶやく。


「お嬢ちゃん、綺麗なタオルがありました……って、何をしてらっしゃるんですか!」ショーンが慌てて声を上げ、目を丸くした。

「何って、顔を洗っているのよ」とファミリアは顔から水をポタポタ滴らせながら平然と言った。

「町娘でもそんな、はしたないことしませんぜ!ましてや侯爵家の令嬢がそんなことを」と呆れた顔でショーンが告げる。


「こんなところを執事長が見たら何を言われることやら……」とファミリアのまだらに濡れたワンピースを見てため息をついた。

《あの執事長はうるせぇもんな》


「そんなことよりショーンおじさん、シャボンの実はあるかしら?手の汚れがなかなか取れないの」とファミリアが爪の中に入った土汚れを見ながら聞く。


「シャボンの実は庭師小屋では滅多に使えませんぜ。あれは貴族向けの高級品でさぁ、あっしらのような庶民はシャボンの実の代わりに灰汁(あく)を使うんでなぁ」


「あら、そうなの?お屋敷ではいつもシャボンで顔や体を洗ってるから皆使ってると思っていたわ。灰汁ってなに?」


「灰汁は植物の灰を水に溶かしたものでさぁ。なぜかわかりやせんが、汚れが良く落ちるんで庶民は灰汁を使ってるのが普通でさぁね。」


「じゃあ、その灰汁でいいわ。使ってみたいからちょうだい」とファミリアが手を出す。


「お嬢ちゃん、灰汁は肌の弱い人が使うと肌が荒れることがあるんでさぁ。なにかあったら執事長に俺が怒られちまう。」とショーンが首を振る。


《灰汁は強アルカリで油汚れも綺麗さっぱり落とせるんだが、ショーンの言う通り肌荒れになることもある。目に入ったりすると危険だぞ。》とおじさんも忠告をしてきた。でも強アルカリ?とか意味が分からない。


「いいじゃない、庶民がみんな使ってるなら私も使うわよ。手を洗いたいだけだから。」と身を乗りだすようにファミリアがショーンの持っている小壺を覗き込んだ。


「お嬢ちゃん、使ってもいいけど絶対に目を擦ったりしてはダメですぜ。」とあきれた表情で柄杓(ひしゃく)に少し(すく)った灰汁をファミリアの手にかけた。

手を擦ると不思議なことにヌルヌルとして汚れがみるみるうちに落ちていった。シャボンの実のように泡は出ないが、確かに汚れが落ちる、不思議な液体だった。


「不思議ね、灰と水を混ぜただけなのに汚れが落ちていったわ」とまじまじと手を見つめるファミリア

《あー、すぐに手を水で流したほうがいいぞ。そのヌルヌルは手の表面が軽く溶けているんだ。強アルカリはタンパク質を溶かすんだよ。》とおじさんが恐ろしいことを言っている。


「お嬢ちゃん、タライの水で手を(すす)いだほうがいいぜ。」とショーンが言うとファミリアは急いでタライの中に手を突っ込んで濯ぎはじめた。


「うん、綺麗になったわ。ありがとうショーンおじさん!」とタオルで手を拭きながら満足気なファミリアである。

「お嬢ちゃん、もう中天になる。昼飯の時間に遅れないように帰んなよ。お嬢ちゃんの採ったトモトは厨房に届けておくよ」とショーンが言う。


「あら、厄介者を追い出すようなことを言うのね」とジトッとした目でショーンを見るファミリア

「おいおい、勘弁してくれよ。執事長にお叱りを受けるのは俺なんだからさ……」と溜息をつくショーン


「冗談よ、今日は久々にショーンおじさんに会えて楽しかったわ!」ファミリアは屈託のない笑顔でカラカラと笑い、「また来るわね!」と風のように駆け去っていった。

「こんなにトモトを採っちまって……一週間分はあるぜ。」ショーンは山積みのトモトの箱を眺め、途方に暮れた顔で小さく首を振った。

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