15 アクアウルフ
岩と土埃にまみれた道を、オリバー一行の馬車が夜通し突き進む。東の開拓地でのヒイログマ討伐から一息つく間もなく、ティグウェルド村へ向かったのだ。
馬のいななきと車輪の軋みが響き、朝焼けが霧を赤く染める頃、村の輪郭が現れた。
だが、遠目にも不穏な気配が漂う。黒い煙が細く立ち上り、焦げた木と血の臭いが風に混じる。ファミリアは馬車の窓から身を乗り出し、胸が締め付けられる。
「ライム、周囲を調べろ。」オリバーが低い声で命じ、剣の柄に手を置く。
ライムが馬車の外で風魔法を放つ。「ウェンティ,センティーレ(Venti, Sentire)」微かな風が村の気配を探り、顔が強張る。「閣下、人の気配はありますが…血と死の臭いが濃い。かなりの被害が出ていますね。」
馬車が村の入り口に到着すると、壊滅的な光景が一行の目に入った。木製の柵は根元から折れ、地面には血痕と引きずられた跡が無数に刻まれている。村の自警団の鎧が泥に埋もれ、持ち主の姿はない。倒れた家畜の死体が腐臭を放ち、潰れた家屋の屋根からカラスが飛び立つ。村の通りには靴や布切れが散乱し、子供のものと思しき小さな人形が血溜まりに沈んでいる。
「…こんな、ひどい…」ファミリアが呟き、唇を噛む。
《かなりヤバそうだな、2小隊とやらは負けたのかもしれんな》おじさんの声が頭に響く。
領主一行が村の中心、教会の広場にたどり着くと、魔獣対策隊第2小隊の生き残りが疲弊した顔で周囲を警戒していた。広場には粗末な布に包まれた遺体が15体以上並べられ、血と泥に汚れていた。
その中心には、第2小隊長のものと思われる鎧が静かに横たわっていた。兜は水で抉られたように歪み、胸当てには深い爪痕が刻まれている。広場の隅では、生き残った村人が呆然と座り込み、すすり泣きが空気を震わせる。
オークレイが拳を握り、歯を食いしばる。「小隊長までやられたのか…くそっ、間に合わなかった!」
オリバーが馬車を降り、遺体に近づく。厳しい状況を目に刻み込み、「第2小隊、報告せよ」と声を掛けた。
小隊陸曹がよろめきながら敬礼し、掠れた声で報告する。「閣下、アクアウルフが村を襲っておりました。自警団は全滅、村人37名が犠牲になっており、死者も多数出ております。昨夜到着した我々第2小隊は防衛線を張りましたが、小隊長以下5名が…水刃にやられました。現在は規模を縮小して臨時の結界を張って本部に応援を呼んでいたところです」
「そうか、小隊長のオリーブウッドは戦死したか…。魔獣一頭で遅れはとるまい、複数いたのか?」オリバーが眉を寄せる。
「現在、2頭を確認しております。1頭は仕留めましたが、小隊長が戦死した今は討伐手段が無く…閣下が来てくれなければ全滅の可能性もありました。」と小隊陸曹が震えながら話す。
《アクアウルフってなんだ? またヤバい奴か?》おじさんのがファミリアに問いかける。
(水を操る魔獣よ。体が水みたいに柔らかくて、刃や矢を弾く。魔力障壁も強力で、水の刃や渦で攻撃してくる…火魔法とは相性が悪いわ。)
ライムが剣を構え、ファミリアの傍で警戒する。「お嬢様、アクアウルフは魔力と気配を隠すことに長けています。常に周囲に気を配ってください。」
その時、教会の扉が軋み、ぼろをまとった若い女が現れた。髪は乱れ、目は涙と憎しみで赤く腫れている。彼女はオリバーを睨みつけ、震える声で叫んだ。
「領主様! 私の夫と息子が…息子が死んだ! あなたたちが早く来ていれば、こんなことには…!」
女は手を振り上げ、オリバーの胸を叩く。叩きながら彼女の嗚咽が広場に響いた。
オークレイが即座に前に出て、「無礼な! 閣下に何をする!」と女の手を掴もうとするが、オリバーが静かに手を上げて制した。
「オークレイ、よい。」オリバーは女の手を受け止め、深く息を吐く。「…すまなかった。こうなったのは私の責任だ。だが、アクアウルフは必ず討伐する。約束する。」
女は力を失ったように地面に崩れ落ちて泣き崩れた。「息子を…返して…私のハリスを…!」
ファミリアはそんな背中を見つめ、胸が締め付けられる。
《貴族ってのは、こういう痛みを背負うんだな…》おじさんの声が重い。
アクアウルフの気配を追う前に、一行は教会で遺体の安置を急いだ。広場の遺体は村人たちの手で丁寧に運ばれ、教会の石床に並べられる。子供、若者、老人――どの遺体も水で抉られた傷が痛々しく、布では隠しきれない血が滲む。ある遺体は腕がちぎれ、別の遺体は顔半分が失われていた。村人の一人が遺体に布をかける手をとめ、「私の兄貴…こんな目に…」と呟き、涙をこぼす。
ライムが静かにファミリアの肩を叩く。「お嬢様、今は魔獣を倒すことが、村人への償いです。」
オリバーは村人に指示を出し、結界の再設置準備を命じる。「残存第2小隊は結界の札を準備しろ。第1小隊は川沿いを索敵。アクアウルフは水辺を好む。」
広場では、先ほどの女が夫と息子の遺体にすがり、静かに歌うような祈りを捧げていた。「ハリス…天に還れ…母さんがそっちに行くまで、待ってておくれ…」その声は、ファミリアの心に深く刺さる。
一時的な休息の中、一行は教会の外で簡単な食事を取った。硬いパンと水だけの食事だが、誰も文句を言わない。オークレイがパンにかじりつき、「帝国の奴ら…魔獣をけしかけて、こんな目に…許さねえ」と吐き捨てる。
オリバーが低い声で答える。「怒りは力になるが、冷静さを失うな。帝国の目的はまだ見えん。だが、必ず暴いてみせる。」
ファミリアは焚き火の揺らめきを見つめ、決意を新たにする。「私、もっと強くなりたい。村人を守れるように…。」
休息から1時間後、第1小隊は川沿いの森でアクアウルフの気配を追った。川のせせらぎが不気味に響き、濃い霧が足元を這う。木々の間を冷たい風が抜け、葉がざわめく。ライムが風魔法で空気を調べ、「閣下、魔力の濃度が強い。すぐ近くです」と報告した。
オリバーが剣を抜き、火の魔力を集中させる。「イグニス・エンカント!」剣が赤熱されたように輝くが、水属性の魔獣への効果は薄いだろう。
「オークレイ、岩で足場を固めろ。ライム、風で動きを封じろ。ファミリア、絶対に傍を離れるなよ!」
突然、川面が爆ぜ、青白い毛皮の巨獣が霧を裂いて飛び出した。体長3m、目は水晶のように透き通り、牙から水滴が滴るアクアウルフだ。咆哮が森を震わせ、水の刃が放たれる。刃は弧を描き、木々を真っ二つに切り裂く。切り口から樹液が滴り、地面に霧が渦を巻く。
「テルラ・フォルティス!」オークレイが地面を叩き、岩の壁を隆起させる。水刃が岩に激突し、削り取られた破片が霧に舞う。
アクアウルフは水のように滑らかに動き、岩壁を飛び越えて突進。鋭い爪がオークレイの鎧を掠め、金属音が響く。
「ウェンティ,スキンデ!」ライムが風の刃を放つが、魔獣の魔力障壁に弾かれ、周囲の霧が揺れるだけである。オリバーが剣を杖のように振り、「イグニス・アストラ!」と炎の槍を放つ。
槍はアクアウルフの水の膜に当たって蒸気となり、シューッと音を立てて消える。炎の槍は強力な火の魔法で、圧縮された炎は岩をも溶かす絶大な威力を誇るのだが、効果がないようだ。
「火が効かねえ!」オークレイが叫び、岩の槍を突き上げるが、魔獣の体を滑るように逸れる。小隊員の放つ魔法矢も水の障壁に吸い込まれ、川に沈む。
ファミリアは後方で足を踏ん張り、霧に濡れた髪を振り払う。「スクートゥム!」不可視の盾が小隊員を包み、水刃をガキンと弾く。「皆、離れないで!」
アクアウルフがファミリアに目を向け、川から水の渦を呼び寄せる。渦は螺旋状にうねり、地面を抉りながら迫る。木の根が引きちぎられ、土が霧に混じる。ライムがファミリアの前に立ちはだかると「ウェンティ,プロテゴ!」と風の盾を展開し、渦を押し返す。風と水がぶつかり、霧が爆ぜるように広がった。周囲は濃密な霧で埋め尽くされ、視界は無いに等しい。
ライムがすかさず風を上空に送り、霧を吹き飛ばし、アクアウルフの姿が鮮明に見えた。
「オークレイ、足を止めろ!」オリバーが叫び、剣に全魔力を込める。オークレイが「テルラ・ランス!」と岩の槍を突き上げ、アクアウルフの腹を掠める。
魔獣が怯んだ瞬間、オリバーが跳躍。剣が赤く燃え、赤刃が振り下ろされる。刃は魔力障壁に火花を散らし、動きを一瞬止めた。
「ライム、今だ!」オリバーが叫ぶ。ライムが剣に風を纏わせ、「ウェンティ,スキンデ!」と高速の風刃を放つ。刃が首に命中し、魔力障壁に亀裂が入る。霧が揺れ、アクアウルフの咆哮が森を震わせる。
オークレイが岩の槍を連射し、魔獣の足を封じる。「閣下、首を!」
オリバーが息を整え、剣に最大の魔力を込める。「イグニス・アストラ!」炎の槍が直撃し、障壁がバキンと砕ける。
ライムが風刃で追撃し、オリバーが剣を振り下ろす。眩しいほどに赤熱した刃がアクアウルフの首を切り裂き、青白い血が川に流れ込む。魔獣はドスンと倒れ、川面が静寂を取り戻した。霧がゆっくりと晴れ、木々の間に日が差し込む。
「やった…!」小隊員が安堵の声を上げる。
《おいぃ、そういうフラグを立てるなよ!》とおじさんが騒いだ。
ファミリアは膝をつき、息を整える。「…倒せた、よね?」
戦闘後、一行は村に戻り、アクアウルフの死体を広場に運んだ。村人たちが遠巻きに見守る中、オリバーは結界の再設置を急がせる。「第2小隊、魔獣除けの札に魔力を籠めろ。第1小隊は村の周囲を警戒。まだ終わったとは限らん。」
ファミリアは教会の隅で水を飲み、震える手を握りしめる。「父様、アクアウルフはさっきので終わりだよね?」
ライムが静かに答える。「お嬢様、アクアウルフは群れで動くことがあります。油断は禁物です。」
オリバーが村人に声をかけ、希望を与える。「皆、魔獣は討伐した。結界を再設置し、村を守る。もう恐れる必要はない。」
誰もが終わったと安堵したその時、周囲の魔力に妙な揺らぎを感じた。
《ファミリア、魔力の波だ! まだいるぞ!》おじさんの警告が頭を叩く。
咆哮が響き、アクアウルフが上空から襲ってきた。感情なく光る目は憎しみに燃えているようにも見えた。水の刃が広場に放たれ、地面を抉る。オリバーが咄嗟に剣で防ぐが、衝撃で転倒した。
「2頭目だと!?」オークレイが叫び、岩壁を上げるが、水刃に削り取られる。村人たちが悲鳴を上げ、教会へ逃げ込む。
ファミリアは恐怖で凍りつくが、おじさんの声が響く。《ファミリア、盾だ! オリバーを守れ!》
オリバーの死角から水刃が放たれようとしていた。
「スクートゥム!」ファミリアが叫ぶと、不可視の盾がオリバーの頭上に展開。水刃がガキンと弾かれ、オリバーが間一髪で助かった。
《おい!ファミリア、上だ!》とおじさんが警告する。
とっさに上を見ると、真上から水刃が襲い掛かるところだった。
(あ、間に合わない!)
周囲がスローに見える…騒がしいはずの周囲から音が消えたように感じた。
《スクートゥム!》
ガキンッと水刃を不可視の盾が防いだ音がする。唐突にスローだった世界が動き出し、騒々しい戦闘の音が聞こえだす。
「ファミリア、よくやった!」オリバーが娘をチラリと見ると、剣を構え直す。
ファミリアは動悸が止まらなかった。一歩間違えたら命を落としていたかもしれなかったのだ。
《ファミリア、ぼーっとするな!敵はまだいるんだぞ!》
おじさんの声で我に返って周囲の状況を確認した。どうやら危機的な場面は脱したようだ。
(おじさん、助かった…魔法使えたんだね)
《いや、今初めて使った。できるとは思わなかったが、良かった。》
《そんなのは後でいい。戦闘に集中しろ》
「全員、散開しろ! こいつは一筋縄ではいかん!」
アクアウルフが広場を疾走し、水の渦を呼び寄せる。渦は竜巻のようにうねり、地面を抉りながら小隊員を襲う。ライムが「ウェンティ,プロテゴ!」と風の盾を展開し、渦を押し返す。風と水が激突し、霧が爆発的に広がる。剣を振り風刃を放つ。刃が魔獣の目を掠め、青白い毛皮に浅い傷を刻むが、魔力障壁が青く光り、攻撃を弾く。
アクアウルフが咆哮し、広場に水の刃を乱射した。刃は弧を描き、地面を切り裂き、水溜まりを血と泥で染める。ファミリアが「スクートゥム!」と叫び、小隊員の前に盾を展開。刃が盾に激突し、衝撃で彼女の膝が震える。「ライム、気をつけて!」
霧が濃く立ち込め、広場の地面は水刃で抉られた溝に水が溜まり、泥が泡立つ。アクアウルフの咆哮が村人たちの悲鳴を掻き消す。
ライムの風刃が魔獣の目を掠め、青白い毛皮に浅い傷を刻む。魔獣が怒りの咆哮を上げ、川から水の渦を呼び寄せる。渦は竜巻のようにうねり、広場の柵を粉砕し、土と木片を霧に巻き上げる。ライムは風の盾を展開し、渦を押し返す。風と水が激突し、霧が爆ぜるように広がる。
「閣下、援護を!」ライムが叫ぶ。オリバーが剣を振り上げ、「イグニス・アストラ!」と詠唱すると赤い炎が槍の形に凝縮し、アクアウルフの水の膜に突き刺さる。シューッ! 炎は蒸気となって霧に溶けるが、魔獣の動きが一瞬鈍る。その隙にオークレイが地面に拳を叩きつけ、怒りを込めて叫ぶ。「この野郎、村をボロボロにしやがって…!テルラ・ランス!」彼の瞳は燃えるように鋭く、額に汗が光る。地面が轟き、岩の槍がアクアウルフの後ろ足を貫く。魔獣がグラリと傾き、青白い血が水溜まりに滴る。霧が血の臭いで重くなり、地面が泥と水で滑る。
アクアウルフが咆哮し、前足を振り上げる。水の刃がオークレイを狙い、弧を描いて迫る。ファミリアが叫ぶ。「スクートゥム!」不可視の盾がオークレイの前に展開し、刃をガキンと弾く。
「オークレイ、チャンスだ!」オリバーが叫び、二本目の炎の槍が霧を裂き、アクアウルフの胸に命中。魔力障壁が青白くひび割れ、蒸気が爆発的に広がる。魔獣の咆哮が広場を震わせた。
ライムが剣を振り、風刃が魔獣の首を切りつけ、障壁の亀裂を広げる。風が唸り、霧が渦を巻く。アクアウルフの無機質な目がライムを睨み、水の渦で飲み込もうとするが、ライムは風の盾を使って跳び退く。
「オークレイ、今だ!」オリバーが叫ぶ。
「オリーブウッド、見てろよ! こいつの首、俺がもらう! 」地面が爆発的に隆起し、巨大な岩の柱がアクアウルフの腹を突き上げる。魔獣が宙に浮き、魔力障壁がバキバキと砕ける音が広場に響く。
オークレイが跳躍し、剣に土の魔力を全開で込める。「くらえ、テメェの最後だ! テルラ・グラディウス!(Terra Gladius)」剣が土の輝きを帯び、岩の刃と化した一撃がアクアウルフの首を一閃。ゴキン! 魔力障壁が完全に砕け、青白い血が噴水のように噴き出す。魔獣の巨体が広場にドスンと崩れ落ち、地面が激しく震える。血と水が混ざり合い、広場を青く染める。霧がゆっくり晴れ、朝日が泥と血に濡れた戦場を照らし出す。
広場に死のような静けさが戻る。オークレイが剣を地面に突き立て、息を荒く吐く。「…やったぜ、閣下。皆の仇、取った。」彼の声は震え、拳に血が滲む。オークレイは魔力切れで意識が暗転し、ゆっくりと倒れるように座り込む。小隊陸曹がすかさず彼の傍に行き、その体を支えた。
ファミリアは地面に膝をつき、震える手で胸を押さえる。
戦闘後、一行はアクアウルフの死体を調べ、結界の祠を調査した。やはり、予想通り祠は爆薬で破壊され、木片が飛び散っている。念のためにファミリアが鑑定すると、爆薬のイメージが浮かぶ。《やっぱり硝薬だ。東の開拓地と同じだな。》
「お父様、やはり爆薬が使われていてヒイログマの時と同じ。」
アクアウルフの首から双頭鷲の紋章が刻まれた金属片が発見された。オークレイが拳を握り、「帝国の犬ども…!」と吐き捨てる。
オリバーが金属片を握り、「帝国が結界を破壊して魔獣を意図的に放っているようだな。目的はまだ見えんが、ミグ王国への挑戦だ。私が直接、魔法学園と王都に報告しよう」
「閣下、帝国は領地を不安定化させ、王国を揺さぶるつもりかもしれません。結界の再設置と防衛強化を急ぎましょう。」 ライムが冷静に進言した。
その夜、教会の広場で遺体の弔いが行われた。オリバーが火魔法で魂を天に送る儀式を執り行い、柔らかな炎が遺体を包む。村人たちは涙を流し、静かに頭を下げる。
オリバーが娘を見つめ、「ファミリア、今日のお前は立派だった。少し気になることがある、帰ったら話そう」
その時、突然ライムが剣を抜き、広場の外の森を指す。「閣下、気配です! 村の外に人影が!」彼の風魔法が空気を切り、微かな魔力の揺らぎを捉える。
オークレイが即座に飛び出し、「帝国の犬か!?」と叫ぶ。一行が森の縁に駆けつけると、黒いマントの男が霧の中に消える。地面には、双頭鷲の紋章が刻まれた短剣が落ちている。刃にはかすかに魔力が宿り、不気味に光る。
「くそっ、逃げられた!」オークレイが短剣を拾い、握り潰す勢いで睨む。「オリーブウッドの仇、村人の血…帝国に払わせてやる! こいつら、俺たちを監視してやがったんだ!」
オリバーの目が鋭くなる。「 帝国の動きは予想以上に深い。王都へ急ぎ、国王に全てを報告する。帝国の陰謀を暴かねばならん。」
夜空に星が瞬き、広場の炎が最後の遺体を焼き尽くす。オリバーは短剣を握り、胸に決意を刻む。遠くの森から、かすかな魔力の波が響く。ティグウェルド村の夜は、静かだが不穏な空気に包まれていた。




