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平凡の日々から異世界へ  作者: 琥珀
~第一章~
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第四話 魔法

 景色は、壮大に綺麗だった。今まで、"外"で見ていたが、やっぱり自分で体験するのとはやっぱり違うのだなって思う。これが、俺が創った世界。俺が創ったモノによって、作られた世界。コレほどまでに興奮して、あまりにも新鮮でわくわくしていた。

 俺はもう孤独じゃない。ここは俺が創った世界でどんな出来事がまっているのだろう? そう考えると胸の高鳴りが強く感じた。


 俺は初めて水というモノをさわってみた。

 水は冷たい、その冷たさを初めて実感した。

 木というモノをさわってみた。

 表面はざらざらして、でもこうして体を預けると何故か気持ちが安らいだ。

 生き物というモノをさわってみた。

 その生き物の毛はふわふわとしていて、その体温を初めて感じ取った。


 俺は、自分で創っておきながら、そのモノを知らないということに実感した。

 まあ、それもそうかもしれない。いつも俺が世界の土台を創ると、あのこざかしい俺の息子や娘達に『あとは我々の仕事です、創造神様がお手を煩わせることじゃありません』なんて言われ止められて、自分で創ったのは、宇宙と星、あとはあいつらだけだったことに気づいた。

 

 ――あぁ、俺がいつも望んでいた世界というモノはこんなにも美しかったのか……。


 ☆ ☆ ☆


 朝のホームルームが終わり、簡単に全員の自己紹介をしてもらった後、しばらくしてからリリアが教室に戻ってきた。馴染めるかなって心配だったのに、クラスのみんなが優しくて案外早く馴染めそうだ。

「ハルキ、ホームルームでられなくてごめんね。ちょっと学院長先生と、ハルキの転入させたこととかで話しあったから戻れなかったんだ」

「いいよ、リリアは俺のためにこの学院に入学させてくれたんだし、大変なのも色々わかるから」

 リリアは、申し訳なさそうな表情で俺に謝ってきた。こちらの世界に着たばかりの俺を心配したんだろう。こちらに来て間もない俺だが、リリアが友人や、困った人を見捨てないタイプだということは、みていて充分にわかっていた。俺の近くにもそんなやつが居た気がしたから。

 魔法がある世界といっても、全てが魔法の授業とかそういう訳にはいくはずもなく、普通に国語やら数学やらの教養教科は一般的にあるらしい。魔法の授業は、実技教科、理論教科、魔法の歴史などの数学や国語とか以外は魔法関連が多いとわかった。魔法の適正属性など、使える魔法は人それぞれ違うので、基礎魔法が習い終わったら選択科目を受講するみたいだ。

 魔法の中には、火、水、風の光属性の基礎魔法。それから雷、土、氷の闇属性の基礎魔法となっており三つの基礎魔法を均等に合わせて使うと光属性や闇属性が使えるという仕組みらしい。(※リリア談)

 光と闇の上級属性もあるらしいのだが、過去の大賢者が使えたという記録だけであって、現在仕えるものは居ないということ、ちなみにその属性は元、時間という属性だということ。

 属性の優勢順にいうと下級呪文は基礎の六つの属性が合わさり、中級属性の光と闇となり、その光と闇を合わせて元と時間を生んでいくというということ。魔法のランクはどうやら世界に必要なモノからなっているらしい。

 この世界の数学や国語などの一般教科もそうだが、この世界の文字を読み取ったり、書き込んだりできるか心配だったが、授業が始まって聞いている分には充分聞き取れるし、教科書をパラパラとめくって軽く読んでみたが、みたこともないような字だったが、何故かスラスラと頭に入ってきた。字も書けるみたいだし、なにも問題はなかったようだ。

 ただし、魔法の授業のとき、やっぱりこんな簡単にうまくいくはずないと思ったが、問題はあったらしい。

 それは、魔法の授業のときのこと、普通教科のときは元の世界とは苦労しなかったことではあったが、それはまだ数学の授業だった。次の時間の魔法実技の授業では、魔法というものがなかった俺からしたらうまくいくか心配だったが、あの悪魔がきっと魔法チートでもしてくれてるのだろうと思いそんな不安はなかった。

 どんな授業かと思ったら、基礎的な呪文といわれる火の呪文『ファイアーボール』を使ってもらってクラス一人一人の力量が知るのが目標らしい。ちなみに『ファイアーボール』は、この魔法を使える人は必ずといっていいほど使える呪文だというとかなんとか。

 ちなみに実技の順番は、出席番号順らしくて苗字の市原の俺が最初だったりする。

「では、始めにイチハラ君からお願いします」

「はい、わかりました」

 そういわれて、俺はこの魔法結界が張られた中に入る。

 この魔法結界というのは、魔法の実技の授業などで使う大闘技場全体にも張られている防御用結界で、周りに居る人に被害が出ないように学園を建てた当初から、魔法協会のトップの方々が張った結界らしく、長く続くこの学院の現在でもその結界はまったく衰えてないとか。

「イチハラ君って、リリアさんの推薦で入ったひとだよね!」

「あのリリア様が推薦するほどの実力ってどんなのかしら?」

「だよなー、たかが基礎魔法だといってもなにを仕出かすかわからねえよなぁ~」

 なんか周りから、期待と興味の眼差しが体全体に刺さって痛いです……。

 リリアから聴いたところによると、この世界の魔法は、ゲームとかでよくある詠唱とか一切なく、その人のイメージ力で魔法の応用が出来て、魔力の引き出し方でその魔法の強さが決まるだとかなんとか。

「では、イチハラ君。お願いします」


 そういわれて、俺はイメージを固めるためにゆっくり眼を閉じた。

 イメージするのは、体に巡っている魔力。

 その魔力をゆっくりと手のひらまで移動させていく。

 その魔力というものはなんかほんのり暖かくて、手のひら全体に集っている。

 手のひらを上にサッカーボールくらいの球体を形成させるようにイメージする。


 ――いまだ。


「火を放て『ファイアーボール』」

 そして俺の手のひらから、大きな火の玉がすごいスピードで――飛んでいかなかった。



「………………あれ?」

 

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