表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/68

世界樹の種その2 世界樹の杖編


『チュンチュン‥‥チュンチュンチュン』


 朝方近くまで盛り上がった宴により。宴会場は、それはもう大変な状態であった。ダークエルフの多くが、その場にイビキをかいて寝転がり。飲み食いした皿やコップも転がっていた。


 そして俺は‥‥‥酔っ払い共に抱きつかれながら眠っていた。

 

「‥‥‥‥く、苦しい」


 ナヴィアナさん、ナターリアさん。さらに、オルターニャさんにナターシャさん。後、オリガさんに何故かトトリさんも‥‥‥。

 ‥‥‥‥なして、ハーレム状態? 

 

 ナヴィアナさんが右腕にしがみつき。左腕にオルターニャさん。

 そして、右足にナターリアさん。左足にナターシャさん。それだけではなく、オリガさんに至っては、何故か俺に膝枕をしながら寝ていた。特に問題なのはトトリさんだ。トトリさんが、お、俺の股間を枕にして、俺の足の間で寝ている。というか、何をやってんだあんたは?!


「う、動けない。ど、どうすれば‥‥‥‥」


「ぬ? 起きたのかエル」


「ん? おっ、ララウ?! なんとかしてくれ!!」そう言うと、ララウは俺の状態を一瞥すると。まだ眠いのか、目を擦ってあくびをし。そまま横に‥‥。


「おいこら!! 寝るな!! 寝るんじゃない!! というか、俺の腹の上で寝るな!!!」


ララウ「ぐががががーー」


 ‥‥‥‥‥‥‥‥。


 俺は、どうすればいいんだ?


 それから約2時間後に、俺は解放された。


 酷い目にあった。いや、男としては眼福かつ、楽園のような出来事かもしれないが‥‥‥‥。正直に言えば天国だった。その後地獄だったけど。みんな寝相が悪く、両手両足を、引きちぎられそうな程に引っ張られて、さすがに痛かった。


「はあーー。酒はダメだな。酒は‥‥‥‥」


 朝食を摂りつつ、項垂れる。俺の横では、ララウが朝からドカ食い中だ。


「ガフッ、ガブッ、モグモグモグ‥‥‥‥ゴックン! ん! まあまあだな! おかわり!!」


「まだ食うのかよ」


 既に、三杯もおかわりして食っただろ。 


「また、飛べなくなっても知らんぞ」


「ふん! この程度なら平気じゃ!」


「はあー。それにしても、あっちは大丈夫だろうか?」

 そう言って、俺は端の方へと目をやった。長いテーブルの端で、複数のダークエルフ達が頭を抱えながらテーブルに突っ伏しているからだ。


「「「「「「き、気持ち‥‥‥‥悪い」」」」」」

「「「「「あ、頭‥‥‥‥痛い」」」」」」

 二日酔いにより、ダウンした面々だ。そのメンバーには、ナヴィアナさんやナターリアさん。オルターニャさんにナターシャさんといった面々がいる。


 まさに死屍累々‥‥‥‥。


トトリ「うぐぁぁぁーーーーーーーー」

ナヴィアナ「と、トトリ。変な声出すな。気分が余計に悪くなる」

ナターリア「あなたもうるさいですわよ。あーーダメですわ」

オルターニャ「いあぁ、さすがに飲み過ぎたわ」

ナターシャ「そう、だな。だ、誰か、水を‥‥」


「「「「「「ぐあぁぁぁぁぁぁ」」」」」」


 全員、魂が抜けかけてる。ん、あれ? オリガさんがいない? 

 どこ行っ‥‥‥‥。


オリガ「ゆ、床が冷たくて気持ちいいわ」


 オリガさんは床に寝そべっていた。床に頬ずりしていた姿は、さすがに見てはいけない気がしたので、俺は目を逸らした。


 朝食を済ませ、俺はある事に取りかかった。気になる事があったのだ。それは、世界樹の杖についてだ。昔に、おそらく転生者によって作られたかもしれない杖。その杖について、調べて見たかったのだ。




         ◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ダークエルフの長老達から、杖を調べる許可を貰って、用意された部屋にて、杖について色々調べてみる。しかし、特にに変わった様子はなかった。力を失い、ただの棒きれと化した杖、それ以上でもそれ以下でもなかった。


「うーーーん、特に変わった感じはないか。何か分かるかもと思ったんだけどなぁ〜」


 間違いなく、ただの棒切れだ。使い道は‥‥‥‥まあ、魔法の杖としてではなく。歩く時の補助としての杖かな? 


「鑑定しても‥‥‥‥」


-世界樹の杖ー *製作者不明*


 世界樹の枝から作られた魔法の杖。ただし、力を失っている為、魔法具としての使い道はない。


「うーーーん、製作者も分からないか」


 せめて、作った人の名前だけでもと思っだが、どうやら駄目そうだ。結局、能力も使い道も分からず‥‥‥か。


『バン!!』


「うわっ! なんだ?」


 突然、部屋のドアが勢いよく開けられ、思わず声を上げてしまう。


「こんな所におったのか! エル!!」


「なんだ、ララウか。ちゃんとノックしろ」


「古竜である我に、そんなものなど不要! で、何しておるのだ?」


 胸を張りつつ、首を傾げるララウ。そんなララウに、ハアーーと長めのため息が出てしまう。しかし、ララウはそんな事に気にする様子もなく、ピョンと跳ねながら俺の背中に乗ってくる。


「おい、邪魔するな」


「なんじゃ、我に隠し事か? あぁん? ん? なーーんじゃ、棒切れを調べおったのか」


 俺の手元にある世界樹の杖を見て、ララウは何やらガッカリした。そして、興味を無くしたのかベッドの上に飛び移った。


「そんなも調べた所で、どうしようもないじゃろ?」


 ベッドの上でゴロゴロしながら、ララウは言う。まあ、ララウの言う通り、どうしようもない訳だが、何か分かればと思っての調査だ。空振りでも別にいい。‥‥別にいい。別にいいのだが‥‥‥結局、世界樹の苗木と杖の関係性が分からなかったなぁー。


「なあ、ララウ。種から芽を出せないかな?」


「んーー、そんなの知らん。種なら取り敢えず、土に植えてみる他あるまい」


「まあ、そうなんだが‥‥‥」


 うーーん、と唸りつつ、アイテムボックスから俺作の世界樹の杖を取り出した。それと、力を失った杖を机の上に並べて見比べる。

 俺作の杖と、もう一本の杖はデザインが全く違う。ただ、世界樹独特なのか、変わって木目模様は似ていた。


「なあ、ララウ‥‥‥「くかーーー」いつのまにか寝てやがる」

 あれか、古竜ってのは横になれば直ぐ寝てしまうくらいに、寝付きが良いのか? だらしない古竜の姿に、ハァーーーと大きなため息が出てしまう。


『カタカタ』


「ん? なんだ今の?」


『カタカタカタ』


「‥‥‥‥地震? いや、建物全体が揺れてる訳じゃないみたいだな」


『カタカタカタカタ』


「‥‥‥‥‥‥‥まじか」


 俺の目の前で、異世界であっても、不可思議な事態が起きていた。なんと、二つの世界樹の杖が、机の上でカタカタと揺れて、ほのかに光りを放っていたのだ。その光景は、まさに異世界、そして魔法と言った光景だった。ただ‥‥‥‥「コレって、まずい状況なのでは?」


 カタカタからガタガタと揺れは激しくなり、光りがどんどん強くなる。これはまさに、多分、いや絶対‥‥‥「やばい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ