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世界樹の種 その1 宴編


 ‥‥‥‥‥。


「歌えー! 騒げーー!」

「めでたい。なんとめでたい!」

「我らの世界樹は偉大なりーー!!」


 世界樹騒動は無事おさまり。現在、宴の真っ最中。


ナヴィアナ「ほら、エル。もっと飲め!」

オルターニャ「ほらエルちゃん。これも美味しいわよ!」

オリガ「エルさん、あーーーん」

ナヴィアナ「母上!」

オルターニャ「お母様!」

オリガ「えーー、別にいいじゃないのーー」


 三人に接待され‥‥‥あの、ちょっとオリガさん? 太もも触るのは駄目だから。ほっぺを膨らませて抗議しても駄目です。

 ‥‥‥‥‥はあーーー。


 世界樹の種は祀られ、それをダークエルフの長老達が崇め奉り。

 ダークエルフの里は、大宴会場と化していた。


ララウ「これじゃ! この味じゃ! 世界樹の実! なんと美味なことか!」


 ララウは世界樹の実を頬張り、堪能していた。

 それ、二個目だぞララウ。一応、貴重なんだろそれ。

 アイテム倉庫内に、あと97個ストックしてはある。しかし、この世界ではもう手に入らない物だ。そもそも、錬金の、魔法薬の素材に使う物なんだが。アホみたく食い過ぎだ。にしても‥‥‥どうしてなんだ? ゲームでは、世界樹の実から種は採れなかった。種なし品種? んな訳ないか。そうだ。確か、実と種ゲットのクエストって、違ったな? 種も錬金素材に使うけど、レア度は種の方が上だったな。ストックできる量も、世界樹の実は99個だけど。世界樹の種は、30個までしか入らない。レア度は高いけど‥‥実より使い道が無いんだよな。種って‥‥‥。

 

「なあ、ララウ」


ララウ「もんぐもんぐ‥‥‥ゴックン。‥‥‥なんじゃ?」


「あの種って、芽が出るのか?」


ララウ「知らん」


「知らんって‥‥」


ララウ「あの様な世界樹の種など、我も初めて見た。だから知らん」


「初めて? そうなのか?」


ララウ「うむ。果実は何度も口にした事があるが‥‥あの様な種が出てきた事は無い」


「いやいや、ちょっと待て? 世界樹の実から種は出るだろ?」


ララウ「うむ、出るぞ。しかし、あんな立派な種は見た事ない」


 チラリと、御神体のように祀られた世界樹の種にララウは視線を送る。それに釣られて俺も見る。世界樹の実より少し小さい程度の世界樹の種。確かになんかアンバランスで、世界樹の実と種は、まったく別物に思える。


「あれ? あんな種、見た事ないんだよな?」


「うむ。見た事ないの」


「なら、よく世界樹の種って分かったな」


「あれは、世界樹の力に溢れておる。だから、とても懐かしい感じがする。それに、形や色はそっくりじゃぞ」


「ほれ」とララウが世界樹の実かから種を取り出して見せてくれた。形、色は確かににている。‥‥‥大きさが100分の1くら小さいが。


 それにしても、世界樹の力ねぇ‥‥‥俺は特に何も感じんけど。

 世界樹の種について考える。しかし、あまりの騒がしさに考えるのを辞める。集中出来ないからだ。


「はあーー。‥‥‥それにしても騒がしいな」


 宴に騒ぐダークエルフ達。喜びを爆発させるかのように、飲んで歌って踊っている。


「仕方なかろう。ダークエルフにとって‥‥‥いや、エルフ族全体にとって、世界樹は信仰の対象だからの。信仰していた神が去り、その去った神が舞い戻ったとなればな」


 なるほど、そういう事ね。それにしても‥‥‥。


「みんな良い笑顔だな」


 笑って泣いて、大はしゃぎして騒ぐダークエルフ達は、とっていい顔をしている。まあ、今日だけで絶望から幸福へと一気に変わったからな。なんか、リミッターが外れてるようにも見えるけど。


「ぐわっはっはっはっ! 踊れ踊れ!!」


ナヴィアナ「おい、エルぅ〜」


「うわっ、酒臭! ちょっとナヴィアナさん?!」


 完全に酔って、目がすわったナヴィアナさんが。俺の肩に腕を回して寄りかかってきた。


ナヴィアナ「エルぅ〜、飲んでるかぁ〜」


「飲み過ぎですよナヴィアナさん! というか、宴が始まってからまだそんな経ってないのに、どんだけ飲んだんですか!!」


ナヴィアナ「んぁ〜? ‥‥‥きゃははははひっ! 知らん! 

 そんな事より飲め! エルぅ〜も飲め! きゃははははっ!」


 駄目だ。完全に酔っ払い化しとる。


オルターニャ「もう、ナヴィちゃんだけずーるーいーー!!

私もエルちゃんとのーーむーー!!」


「こっちもかい!!」

 

 だ、誰か助けて! 

 

 左右から挟まれ、次から次にお酌をされる。二人の胸が腕に当たり、更にいい香りがする。理性を保つのも大変で、さすがにこのままだとやばい思ったその時に、助け船が。


オリガ「もう、二人共。そんなに酔っ払って!」


 二人の母、オリガさんだった。母親として叱るのか? そう思った矢先‥‥‥「私も一緒にのーーむーー!!」と言って俺の背中に抱きついてきた。


「あんたもかい!!」


ナターシャ・ナターリア「「私達も‥‥‥混ぜろぉーー!!」」


 宴は朝方近くまで続いた。

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