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ダークエルフ里 その4


「お、オルターニャさんと、ナヴィアナさんのお母さん?!」


オルターニャ「お、お母様!! 何してるんですか!! それもそんな格好で!!」


ナヴィアナ「姉上の言う通りです! その格好は辞めて下さい!

 というか、恥ずかしくないのですか!!」


「えーと、特に恥ずかしくはないわね。それよりどうかしら、似合ってる?」


「「いいから着替えて!! 早く!」」


「あーーれーーー」


 オルターニャさんとナヴィアナさんは、お母さんにつめ寄って、そのまま何処かに連れていった。多分‥‥まともな服に着替えさせるためらだと思う。


ララウ「なんなんじゃ? あ奴は」


 ララウ。ツッコむな。関わらない方がいい気がするから。

 

ナターリア「オリガ様は相変わらずですね。二人には、少しばかり

同情します」


ナターシャ「まあ‥‥な。オリガ様で思いだした。母上が会いたがっていたぞ。ちゃんと顔を出せよ」


ナターリア「‥‥‥分かりましたお姉様。一応、顔は出します。

 一応」


オリガ「お待たせ〜。もう、二人ったら。折角のおめかしが台無しになったわ」


「「あれをおめかしで済まさないで下さい! 恥ずかしい!!」


「えぇ! 二人共、ひぃ〜ど〜い〜!! エルさーーん」


「えっ? ちょっ!」


オルターニャ「お、お母様?!」ナヴィアナ「は、母上?!」

 

 オリガさんが俺の腕にしがみつく。それを見て、二人が慌てる。

 

 あの、そんなに引っ付かないで! 腕を絡めるな! 足も絡めるんじゃない! あー、ちょっと! 何処触ってんの!


オリガ「あら、エルさん。あなた、結構鍛えてらっしるのですね」


「ちょっと! 何処をさすさすしてるです! あぁー、服の中に手を入れるなぁーー!」


オルターニャ「お母様!!」ナヴィアナ「母上!!」


 二人に、オリガさんを無理矢理引き剥がしてもらう。そのまま、オリガさんは娘二人にお説教をくらう。

 

‥‥‥‥あの、そろそろ俺はなんで呼ばれたのか教えてくんない?


オルターニャ「お母様! 分かりましたか?!」

ナヴィアナ「ちゃんと聞いてますか?! 母上!!」


オリガ「えぇ、勿論。二人が、エルちゃんを大好きって事は分かったわ」


「「分かってない!!!」」


オリガ「あら、嫌いなの? なら私が貰っ‥」


「「嫌いとは言ってない!!」」


「‥‥‥‥‥あのー、さっさと本題に入ってください」


「「「‥‥‥ごめんなさい」」」と母娘そろって謝る三人。さすが親子、息ぴったり。


「それで、要件は‥‥」


オリガ「えぇ、そうでした。オルターニャ、アレを持ってきて」


オルターニャ「分かりました、お母様」とオルターニャさんが、また何処かに行ってしまう。しかし、今度は先程より早く戻ってくる。その手に古い杖を持って。


オリガ「エルさん。要件とはこの事でして‥‥」


「この杖って、もしかして‥‥‥」


オルターニャ「えぇ。世界樹の杖です」


「へぇーー、これが‥‥‥‥‥」

なんだろ、この杖。世界樹の杖なんだよな? しかし、まったく力を感じない。これは‥‥‥もはや、ただの杖だな。


ナヴィアナ「どうかしたか、エル?」


オルターニャ「さすがはエルさん。気づきたしたね」


ナヴィアナ「姉上、どういう事です? 気づく? 世界樹の杖に何かあったのですか?」


オルターニャ「あら、ナタリーちゃんから聞いてなかったの?」


ナヴィアナ「特には何も‥‥」


オルターニャ「そう」


 何やら、重くるしい空気が漂う。なんなんだ一体? オリガさんの方を見ると「うふ」と苦笑いした。

 世界樹の杖に何が! というか、多分。力を失ったから、どうにかしてくれ。そんな感じの話だろう、と思う。多分。


ララウ「その杖‥‥もはやただの棒きれじゃな。薪にしかならん」


「ちょっとララウ!」

 言い方! もっと優しい言い方を! 皆んな、ブチギレてるから! 青筋めっちゃ出てるから!


ララウ「エルよ。どう取り繕うとも、その杖にはまったく力など無い。ただの棒切れじゃ。使い道とて、薪にする以外何がある?」


 ララウの言葉に「飾るとかあるだろう」と俺も反論するが。


ララウ「人間とは、棒切れを飾る習慣があるのか?」


「そんな習慣は無い。ただ‥‥大事な物といいますか。思い出の品とかは、その限りじゃなくてだな。というか、竜だって光り物を集める習性があるだろ? それと似て‥‥は、いないか? 

 兎に角、ダークエルフにとっては大事な物なんだよ」

 

 こんな物でも‥‥。


ララウ「まあ、確かに竜は、光る物を集める癖があるが‥‥我の集める物は、少なくともその棒切れより価値がる。むふー」


 いや、そんな事で胸を張られてもな。小さな胸を、これ見よがしに張るララウ。正直言って、どんな物を集めてるか少し気にもなる。一応、こんなんでも古竜だし。


トトリ「さっきから聞いていれば‥‥古竜とはいえ、もう許せん。

 覚悟せよ古竜!!」


 どうやら、我慢の限界にきてしまったトトリ。ララウに、世界樹に杖を馬鹿にされ、今にもララウに弓を引こうとした。が、それは阻止される。ナヴィアナさんによって。


ナヴィアナ「覚悟するのはお前だバカ!!」


『ゴン!!』と、ナヴィアナさんがトトリの頭をボコッた。

 かなりの音がして、俺は思わず頭をおさえた。だって、ズンと重く響く音だった。ありゃー痛い。


トトリ「ぐぉーー! な、な、何をするナヴィアナ!!」


ナヴィアナ「何をするもない。お前はバカなのか?」


オルターニャ「申し訳ございません。古竜様」


オリガ「ダメよトトリちゃん!! 古竜様はお客様なんだから」


ララウ「なんじゃ、こんのか?」


「さっさと、本題に入ってほしいのですけど‥‥」


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