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ダークエルフの里 その3


「ちょい、ララウさん?!」


ララウ「エル、言ってやらねば分からん奴もいる。ダークエルフなど、その代表格だぞ? 後、頑固者が多い酒好きドワーフとか。自身を、神の一族とか宣う傲慢なハイエルフとか‥‥」


 何かしらのトラブルでもあったのか、ララウの説明には棘がある。なんかあったのか?


 更に続けて「それに、わしにやっとったら。即、火の海だったぞ」とララウは付け加える。それを聞き、ダークエルフ達にも緊張が走る。


 特に‥‥ナヴィアナさん、ナターリアさん。それとオルターニャさんとナターシャさんだ。他のダークエルフ達は「はあ?」と言った感じだ。「古竜様なら兎も角、この人間に?」といった感情が、良く見てとれた。


 やっぱ俺、舐められてる?


「古竜様なら兎も角、その人間にですか?」と、トトリが口に出してしまう。

 それを聞いたナヴィアナさんが「トトリ‥‥黙れ、殺すぞ」とマジの凄みのある表情で睨んだ。睨まれたトトリは、一瞬たじろいだが、負けじと直ぐに睨み返す。


ララウ「ナヴィアナよ。仕方ないであろう。エルは力を隠すのが、かなり上手い。わしクラスでなければ、瞬時に見抜くなど無理であろう」


 ん? 隠す? 俺、別に隠して‥‥いや、隠遁のスキルの力か?

 後方支援組の魔法使いとしては、敵に見つからない事が大事だからな。その為のスキルだけど‥‥そんな力があるのか? 

 と言うか、いつも俺は隠遁のスキルなんて使ってないのだが?


オルターニャ「こ、古竜様がそこまで‥‥私も只者じゃないと思っていましたが、エルちゃんはそれほどに‥‥」


 オルターニャさんの中で、どうやら俺の株が爆上がりしたようだ。ただ‥‥里のダークエルフさん達は、懐疑的のようだが‥。


ナターシャ「うむ。やはり一度、手合わせしたいな」


 ‥‥ダークエルフは、脳筋の一族なのではないだろうか?

 ナターシャさん、期待に満ちた眼差しを向けられても、しませんよ? ぜ、絶対にしませんからね!


「そん事はどうでもいいので、どうして俺達が呼ばれたのか聞きたいのですが?」


 当所は、楽しみにしてやって来たダークエルフの里だが。正直もう、帰りたい気持ちで一杯だ。「用事があるなら、早よ言って」と急かすと。何故かその答えを、ララウが言った。


「そんなもの、アレの事に決まっておろう?」と枯れた大木を指差した。


「えーと、やっぱりあれって‥‥」


「世界樹だ」とナヴィアナさんが答える。続けて「枯れてしまってから、もう二百年あまり経っている」と寂しそうに世界樹を見つめた。


「私達が子供の時には、既にだいぶ枯れていたわね。青々とした世界樹を見た事がある者なんて、里の年寄りばかりよ」とオルターニャさんが教えてくる。


「そうなんですねぇ。それで、それがどう俺と関係が?

 そもそも、杖を取り戻す事に協力したお礼で、俺達はお呼ばれしたんじゃなかったんですか?」


「えーと、そうなのだけど。実はちょっとねぇー」とオルターニャさんが困った表情を見せた。


「うむ、そうなのだ。ちょっとな」とナターシャさんも歯切れが悪く頷く。


 何? なんなの? 


オルターニャ「取り敢えず、世界樹の下まで行きましょう。話しはそこでするわ」


 なんだか嫌な予感が‥‥。何もないよね? オルターニャさん!

 し、信じてるからね! ちょこっとは!


 

 ゾロゾロと皆で世界樹の木の下へ。今にも倒れそうな程に、世界樹の木は枯れていた。


 二百年もよく倒れませんでしたね。まだ生きてるのかな?

 それとも、頑丈なのか? それにしても‥‥大っきいなぁー。


 そびえ立つ世界樹は、圧巻だった。青々と、緑が生い茂っていたら、それは神々しいものだっただろう。

 枯れ果て、葉一つ無い姿は、とても残念でならなかった。


「ふむ。ちっこいの」と、世界樹を見上げる俺の横で、ララウボソっと呟いた。


「おい、ララウ」


「事実だから仕方ないであろう? 本物はこんな物ではないぞ?

 エルだって、知っておるのではないか。ここまで枯れ果てた木に、気を使った所でのぉ」


「だとしてもだ。周りを見ろ。皆、結構な殺気をはなってるだろうが!」


ララウ「ふん! 此奴らの殺気など、地を這う虫とかわらんから、なんとも思わん!


 まったく、この古竜は‥‥口が悪い。まあ、古竜からすれば、大概は虫けらか。


???「お待ち致しておりました。エルさん、古竜様」


 優しく儚げな声が、辺りに響きわたる。一体誰? 何処から?

 そう思っていると『シャン』と、鈴の音が聞こえた。そして、誰も居なかった筈の世界樹の木の前に、ダークエルフの女性が現れ、ニコリと笑った。


 とても綺麗な人だな。後、その服大胆過ぎかと。目のやり場に困るんで‥‥‥あれ? オルターニャさんとナヴィアナさんに似てる? に、似てるよね? お二人のお姉さんか何かで? 答えを求めるように、ナヴィアナさんの方を向くと。

 両手で顔を押さえていた。何故かオルターニャさんも。


???「貴方がエルさんですね。オルターニャとナヴィアナの母です。 うふっ♡」


 まさかのお母様でしたあぁぁぁぁーー!!!

暗黒騎士の異世界奮闘記。と言う新たに書いた小説を投稿しました。よろしければ、読んで下さい。

その他の小説も出来たらお願いします。

異世界転生したオッサンのスローライフ願望。

デルグラント戦記。

異世界田舎暮らし。

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