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ダークエルフの集い その2


「ナタリーちゃん。来てくれてありがとうね」


「いえ、オルターニャ姉様と、ナターシャ姉様に頼まれたら断れませんよ。それよりも、何で私は呼ばれたのにナヴィアナは呼ばなかったのですか?」


 現在、とある飲食店で姉様、お二人と会っています。何やら頼みがあるとかで。


「ナヴィアナも呼んだのだが、断られた」


 ナターシャ姉様が、皿の上の料理を食べながら答えます。

 ナヴィアナの奴・・・・面倒だからって逃げたわね!


「はあー。それで、こん街まで呼んでまで、なんの用です?」


 私達が居る場所は、冒険者として活動している街から、かなり距離がある街です。と言うより、別の領地です。


「ナタリーちゃんたら、そんなに急かさないの♡ まずは、ご飯にしましょう」


 さっさと用件を済ませたいのですが・・・・。


「ぷっはーーー! 美味い! 店員! もう一杯頼む!」


「ナターシャ姉様! 何呑んでるです!」  


 ナターシャ姉様は、ジョッキに入ったエールを、一息で飲み干しました。まったく、相変わらずの酒好きです。ドワーフの血が混じっているのではと、本気で疑います。


「もう、そうよナターシャ。まずは乾杯しなくちゃ!」


「そうじゃなくて! あーーーもう」


 オルターニャ姉様も、どこかズレてますのよね。これだから姉様方は・・・・。私も適当に用事を作って、断ればよったですね。

 はあーー。


「まあまあ、ナタリーちゃん。兎に角、かんぱーーーーい!!」


「かんぱーーーーい! ゴクゴクゴク・・・・ぷっはーーー!!

 最高!!! 店員! もう一杯くれ!」


「・・・・はあーー。・・・・かんぱーい。それで、どんな用件です? お二人が動くと言う事は、それなりの事なのでしょえ?」


 私が尋ねると、二人は互いの顔を見合わせます。オルターニャ姉様は、両手で持つジョッキを机に下ろし、ナターシャ姉様も片手で持つジョッキを下ろしました。


「実はね」「実はな」


「「グルドの森のダークエルフ。その秘宝、世界樹の杖の在処が分かった」わ」


 姉様達の話しに、私は思わず「えっ、マジで?」と、マヌケな顔で聞き返してしまいました。

 姉様達も姉様達で「マジだ」「マジです」と答えます。


 私がそれほど驚くのは理由があります。グルドの森のダークエルフ。その秘宝、世界樹の杖は、世界樹の枝から削り出され作られた、世界に二つと無い代物です。五百年前の大戦により、行方不明になっていました。それが見つかったとなれば、そりゃ驚きます。

 

 マヌケな顔にだってなりますよ! それにしても・・・・姉様方が、応援を頼まなければならない場所にあるのですか? だとすると、私が加わったくらいではどうしようもないのでは?


「一体・・・・杖は何処に?」


 恐る恐る姉様達に聞きます。まさか、竜の巣とか。危険な場所でしょうか? だったら全力で断りますからね!


「えーと、なんだ。その在処なんだが・・・・」


 ナターシャ姉様が、困った顔で言い淀みます。何でしょうか?

 やはり、竜の巣なのですか?


「おい、オルターニャ。お前が説明してくれ」


「しょうがないわね。ナタリーちゃん。杖の在処は・・・・」


「ゴクリ」オルターニャ姉様の真剣な顔に、思わず喉が鳴ってしまいます。いいい、一体、どどど、何処なんです?!


「実は杖は・・・・オークションにかけられてるのよ」


「はっ?」


 はい? オークション?


「困った。本当に困った。なあ、オルターニャ」


「そうね、ナターシャ。はあー。よりにもよって、オークションだなんて・・・・」


 何でしょうか。姉様達の顔面を、思いっきりぶん殴りたい気分ですが、逆にやられるのでやめておきます。

 それよりも、オークション? あっ、確かこの街で、定期的に開かれるやつですよね? しかも、結構お高めの・・・・。


 あの姉様達? 私を何で呼んだのですか? お金を借してほしいとかですか? ・・・・あの、それは森の族長とかに頼んで下さい。

   

 顔に出ていたのか。ナターシャ姉様が「ん? どうしたナターリア。あっ、言っておくが、金を借してくれとかじゃないぞ? なあ、オルターニャ」


「えぇ。さすがに、ナタリーちゃんやナヴィちゃんに、そんな事頼まないわ」


 そうですか。よかったです。最近、色々と買ったのであまりお金は・・・・・って! じゃあ何で私を呼んだんですか!!

 と言うか! ここに来るまでに、それなりお金使ったんですよ!


「困ったわね」「あぁ、困った」


 はあーー。早く帰りたい。


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