古竜とカレーライス
「アンナさーーん! やってますかー?」
「あら、いらっしゃいエル君」
「今日も繁盛してますね、アンナさん」
「エル君のおかげよ。ありがとう」
「いえいえ」
「アンネ、エル君を空いてる席に案内して」
「はぁーーい。にぃたんいらっちゃい」
「今日もアンネちゃんは元気だね」
「うん」
アンネちゃんの満面の笑顔に癒されていると。
「おい! さっさと入れ! 邪魔だ」
屈んで、アンネちゃんと話しをしている俺の背中を足で小突きながら、ララウがせかす。
まったく! 俺の癒しを邪魔するとは。あっ、そうだった。
「アンネちゃん。飴ちゃん食べる?」
「たべりゅ!」
アンネちゃんは「わーーい」とはしゃぐ。うん、可愛い。
この笑顔に、ほんと癒される。それを台無しにするように、背後から「なっ! 食い物か! 我にも寄越せ!」とララウが・・。
頼むから、少し大人しくしてろよ。
「我にも寄越すのだ!」
「あぁー、その内な」
「その内とは何時だ?! 我は今すぐ欲しいのだ!」
などと、俺とララウが言い争っていると。
「と、兎に角、アンネちゃん。席に案内してくれる?」
とリィーサが、アンネちゃんに案内を頼む。
「えーーと・・・・うん。おねぇたん、こっち」
アンネちゃんに案内された席に座ると「ごちゅうもんは?」とアンネちゃんが聞いてくる。俺はそれに「それは勿論、新メニューをお願い」と答えた。最近、俺がアンナさんに教えた料理だ。
「おねぇたんたちも?」
「うん。お願いねアンネちゃん」
アンネちゃんは「はぁーい」と返事をすると「おかぁしゃーん」
と厨房の方へと小走りで向かう。厨房でお母さんに、俺達から聞いた注文を伝えたのだろう。
暖簾から、アンナさんが顔を出して「かしこまりました」と俺達に向かって、ニコッと笑った。
アンナさんが厨房の奥に戻って少し経つと・・・・。
「すんすんすん、くんくんくん」
「ララウ。行儀が悪いぞ」
「仕方ないではないか。とても良い匂いがするのだ。何なのだ、この食欲をかき立てる香りは!」
「ほんといい匂いです。店長の教えたカレーですね」
「あぁ。作っておいたのを、温め直してるんだろ。それにしても」
んーー、食欲をそそるいい香りだ。
アンナさんにカレーを教えたの三日前。シチューの具材で作れ、しかもシチュールーの代わりに、カレールーを入れるだけ。
ただ、シチューの具材と唯一違うのは、シチューのお肉は鶏をつかったチキンシチューだったが。俺はポークカレー派なので、豚肉を使用している。
「おぉぉぉー!! この香り! 堪らん!」
「・・・・ララウ。涎が凄いぞ、ふけ」
ララウから、滝のように涎が流れている。まあ、この匂いを嗅いだらな。
「お、おい。この匂いは一体・・・・」
「いい香りだ。一体どんな料理なんだ?」
「た、堪らん!」「うっ、涎が出る」
カレーの香りを嗅いだ客達から、何とも言えない声があがる。
スパイシーな香辛料の香りが嫌いな奴など、そうそう居無い。
このカレーで、更にお店は繁盛する事間違いないだろう。
「よいしょ、よいしょ」
「アンネ。大丈夫?」
「だいじょぶ」
カレーは、問題なく受け入れられだろうと考えていたら。
厨房からアンナさんとアンネちゃんが、カレーを運んで来た。
「ぬぉーー!! 堪らん!! それを早く!!」
「落ち着けララウ。アンネちゃん、ありがとう」
「どうじょ」
「お待たせしました。カレーライスです」
「うわーー! いい香りです! 店長! 早く頂きましょう!」
「リィーサも落ち着け」
「ぬぉぉぉ、この香り! すんすんすんくんくんくん!
間違いない! これは美味なる物に違いない!」
「それじゃあ、食べようか」
「はい」「うむ!」
「あっ、ララウ! スプーンを使えよ」
「スプーン?」
「これだ。こうやって食べるんだ」とカレーライスの横に置かれたスプーンを手に取り。カレーライスをスプーンで掬って見せる。
「ふむ、こうか?」
「そうそう。それじゃあ、いただき・・・・」
「「「「「「ジーーーーーーーーー」」」」」」
店内に居た他の客達が、俺達に視線を向けていた。と言うか、背後からこれでもかと見ていた。
「ぱくっ! 美味なのだー! なんと美味なのか! パクパクパク! 止まらぬ! 美味で止まらぬのだ!」
「はぁーー、美味しい! カレーライスは最高です!」
リィーサとララウは、視線には我関せず状態で無視。ひたすらにカレーを口に運んでいた。
「・・・・・・こんなに見られてよく食えるな。
俺も・・・・パクッ! うん! 美味い!」
カレーを口に運んだ瞬間、背後で「あぁー」と言う声が・・・・。
食い難いわ! と言うか! 注文しろや!
・・・・あっ、やっぱカレーマジ美味いわぁー。
「我慢できん! アンナさん! 俺にもこ料理を!」
「コッチにもお願いします」「アンネちゃん! カレーをお願い」
「コッチにもだ!」「俺にもー!」
我慢出来なくなったお客達が、一切に注文をとる。アンナさんとアンネちゃんは「はーい、ただいまー」「カレーでしゅね」と注文に応えて、大忙しに・・・。少しすると、運ばれて来たカレーライスの美味しさに、客達の幸せまじりのため息が、所々で聞こえてきた。
「おかわり! おかわりなのだ! 早よう!」
「まだ食う気か、ララウ? もう、五杯目だぞ」
「止まらぬ! 止まらぬのだ!」
「そう、だいぶ気にいったんだな」
「おまたちぇちまた」
「うむ、よく持って来た。人間の子娘よ。褒めてつかわす」
そう、アンネちゃんに言うと、ララウはカレーライスを食べ始める。
「あのぉー店長」
「何だリィーサ?」
「カレーって、何か危険な物って入ってないですよね?」
「入って無いよ。・・・・凄い気に入ったんだろ」そう言いながら、ララウに目を向ける。本当に変何もは入って無い・・・・よな? ララウの以上なまでの食いっぷりに、ちょっと不安になる。
「おかわりぃぃぃーーー!!」
「まだ食うのかよ!」
「止まらぬ! まだ食い足りぬのだ!」
やっぱ・・・・何か入ってるかも。ぽっこりお腹のララウを見ながら、そう思った。と言うか、食い過ぎ!
「美味なのだ! カレーライス! 美味なのである!」




