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ノームと呪符その4


『カランカラン』


「いらっしゃいませー!」


 呪符の試験をした次の日、彼等は突然やって来た。


「「「「「こんにちはー!」」」」」


「ひゃーー! なんです?! なんですか?! このちっちゃい可愛いのは!!」


「落ち着いけリィーサ。お客様だぞ。それに、彼等はノームさんだ。見た目よりずっと年上だぞ」


「す、すいません!」


「いえいえ。お構いなく」


「それで、どうかしたんですか?」


「これを持って来たんです」


 ノームさんの一人がそう言うと、後ろに控えていた一人のノームさんが、皮袋を取り出した。


「ん? なんです?」


「なんです? じゃないですよ! 昨日、エルさんが倒した魔物の代金ですよ!」


「わざわざどうも・・・・えっ?! もしかして、アレ回収したんですか?」


「しますよ当然! ゴブリンは兎も角、オークやオーガは素材として、お金になりますから!」


「「「そうですよ! それに、オークの肉は、食べられるんですよ!」」」


「えっ、オークって食べられるの?」


「はい、食べれますよ」


 ・・・・二足歩行の豚だよ? いや、正直、豚と言えないよ?

 それ食べるの? うげっ、異世界ギャップが・・・・。


「結構いけるぞ、エル?」


「そうなんですかナヴィアナさん・・・って! いつの間に!!」


 いつの間に入って来たんだ? まったく気づかなかった。


「あれ? ナターリアさんは?」


「ん、アイツは別件でな。私はノーム達にエルの店の案内を頼まれてな」


「あぁー、成る程。それで・・・」


「兎に角、代金を受け取って下さい」


 カウンターよりも小さいノームさんは「よっと、うんしょ」と何とかして代金の入った皮袋を、カウンターの上に置いた。それをリィーサが「か、可愛い!!」と小動物を見るような目で見つめていた。


 まあ、確かに可愛い。


「別に良かったんですが・・・・」と遠慮しつつも代金を受け取ると「ダメですよ、ちゃんとしないと!」と怒られた。


 正直、丸々捨ててるので、素材の代金ですとか言われてもという

感じだ。だが、ノームさん達からすると、契約が第一なのだろう。


「さて、代金もお渡ししましたし・・・・エルさんのお店で買い物でもして帰りましょう!」


「ありがとうございます。サービスしますよ!」


 代金を届けにやって来たのは、理由の半分らしく。もう半分は、なんでも屋に来たかったらしい。ノームさん達は、日頃から忙しいので、来たくても中々来れなかったとの事だ。


「「「「「お買い物だーー!!」」」」」


 ちっこいノームさん達が、お店の中をチョロチョロと歩き回る。

 その姿に・・・・「か、可愛い! 可愛すぎます!」とリィーサは一人悶えていた。


 リィーサって、こんな子だったっけ? 

 ・・・・まあ、女の子だしな。可愛いものに目がないと思っておこう。


「所でエル。昨日使っていた物は、何処なのだ?」


 ナヴィアナさんが、キリッとした顔で聞いてくる。のほほんとした空気が、少し引き締まった。


「昨日の? あぁー、呪符の事ですか? それならここにありますよ」


 そう言って、棚から木箱を下ろし、カウンターに置いた。すると、ナヴィアナさんは「うむ」と一言。木箱の前に来て、目で早く開けろと言ってくる。


「どうしたんです? そんなに気なるんですか?」


 俺の横で、ナヴィアナさんの様子を見ていたリィーサが。首を傾げながら、不思議そうに見つめていた。


「リィーサよ、エルはとんでもない物を作ったのだ」


「とんでもない物?」


「うむ」


 ・・・・なんか、引っかかる言い方だな。俺は危険人物か!

 ・・あれ? なんだろ・・・あまり否定も出来ない気も・・・。


「兎に角、早く見せるのだエル」と急かされるので、俺は「は、はい。直ぐに」と少し慌ててつつ木箱を開けた。


「コレが呪符とやらか・・・」


 ナヴィアナさんは、恐る恐る呪符を手に取った。


「ただの紙切れですよね?」と横からリィーサがたずねる。


「リィーサ。ただの紙切れでは無い。これには、恐ろしい威力があるのだ」


「そ、そうなんですか?」とナヴィアナさんの真剣な顔に、リィーサは気圧され、肩をすくませた。


「別にそんな、恐ろしい物じゃ・・・・」


「何を言っているのだエル。コレでどれだけの魔物を仕留めたか」


 それを言われると・・・・言い返せない。でも、危険なのは上級中級の呪符だ。あれは死蔵決定なので、この木箱には入れてない。


「ふむ。それでどう使うのだ?」

「種類は?」「威力は?」

「この呪符の効果は?」


 ナヴィアナさんの質問攻めに合う。お客様なので、懇切丁寧に対応した。小一時間かかったけど。


「ふむ、成る程」


 ようやく満足して納得してくれたナヴィアナさん。


 つ、疲れた。


「これは面白い物ですね」


 いつの間にか、カウンターの上で呪符についての説明を聞いていたノームさん。呪符を面白そうに見ていた。


「コレはいいな」「はい。いざと言う時いいですね」

「私達もたまに危ない時あるからね」「そうだね」

「私達も買っておきましょう!」

「「「「「そうしよう!」」」」」


「ぬ! 私も買う! エル! 全種類買うぞ!」


「ま、まいどありがとうございます!」


 その日の内に、呪符は全て買われいった。後日、その呪符の事がナヴィアナさんや、ノームさん達によって、冒険者達に広まり。

 毎日のように、冒険者が呪符を求めてやって来るように。


「おい! 呪符はあるか?!」

「割り込むな! 俺が先だ!」

「俺が先に決まってるだろ!」

「全種買うぞ!」「私はこれとそれを!」


「店長! 呪符が無くなりそうです!」

「直ぐ用意するから! 持ち堪えろ!」

「無理です!」

「そこを何とか頑張って!」


 繁盛するのは、お店としては嬉しい。しかし、こんなに客が押し寄せられては、精神がやられそうだ。もっと、のんびりがいい。呪符は、冒険者ギルドに卸して販売しよう。呪符を作りながら、そう思った。


「店長! カムバッーーク!」


 お客様の対応に、悲鳴をあげ、店長に助けを求めるリィーサの声が、なんでも屋の店内に響き渡った。


「忙しい!!」


 その頃、ノームさん達は・・・・。


「コレ、中々使えるね」

「「「「「そだねー」」」」」

「私達も待ってる間、危ないから身を守る物が必要だったからね」

「「「「「そだねー」」」」」

「と言うか、コレを使って冒険者活動すればいいのでは?」

「「「「「うーーん、それはちょっと・・・・」」」」」

「やっぱり、荷運びが僕等の仕事だよ」

「「「「「そだねーー!!」」」」」


 

 ノームさん達が、魔物を呪符て倒す所を見た冒険者。


「おい、見たか?」

「あぁ。ノーム達のあの力は?」

「わ、分からん」

「アレは・・・・アレが最近話題の呪符とやらか?」

「「何だそれ?」」

「知らないのか? なんでも屋で売り出し中の物だぞ? 冒険者はみんな、こぞって求めてるのに」

「そんな物が?! 俺達も直ぐに買いに行くぞ!」

「「おぉ!!」」






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