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定休日の冒険 パートⅡ その5


「どうやらこちらだな」


 ナヴィアナさんを先頭に、森の奥へと進んで行く。


「さっきのが地竜の咆哮ですかね?」


「恐らくそうだと思うわ」


「勝てますかね・・・・」


「私一人では無理だが・・・・エルが入ればなんとかなる!」


 ・・・・期待し過ぎです。ナヴィアナさん。


「そろそろ、アラル渓谷ですわ」


「よく分かりますね、ナターリアさん」


「エルフ族は、耳が良いのですわ」


「へぇー、・・・・・・・・」


「はあ、はあ、はあ」


「大丈夫ですか? お嬢様?」


「だ、だだ大丈夫・・・・はあ、はあ」


「あ、あの、休憩を・・・・」


「先程したばかりだろ。着いて来れぬなら、帰れ」


「そ、そんな」


「地竜討伐は、遊びではありませんわ」


「「・・・・・・・・」」


「わ、妾は・・・・はあ、はあ。だ大丈夫じゃ!」


「頑張るのはいいが、なんでそんなに地竜が見たいんだ?」


「・・・・・・・・別に良いじゃろ」


 ふむ? なんでそんなに見たい? 何か理由が・・・・。


「渓谷だ。着いたぞ」


 先頭を行くナヴィアナさんが、警戒を促す様に、目的地到着を告げた。


 ここまで来れば、川の音がするな。音からして、そこまで大きな川じゃないな。小川くらいかな?


 アラル渓谷を流れる川は、水量があまりない小川クラス。川幅も狭く、こんな所に地竜がいるのか? と思う様な川だった。


「こんな小さな渓谷に、地竜が居るのかな?」


「エル、渓谷の小さい大きいは関係ない。そもそも、地竜の考えなど分からん」


「そうですけど・・・・」


「水確保のためか、或いは別の目的があるのか・・・・まあ、討伐するのですからどうでもいいですわ」


「・・・・・・・・」


「ち、地竜は、まだか」


「お嬢様、少し休憩を!」「そうです。こ、ここにお座り下さい」


「そろそろ限界・・・・「グゴォォォォォ!!」


「エル!」「でましたわ!」「いきなりかい! ・・・・ん?」


「おぉおお! アレが・・・・地竜?」


 俺達の前に現れたのは、地球にも生息していたコモドドラゴンを、五倍くらい大きくしたモンスターだった。


 コレ、竜じゃないよな?


「コレ・・・・地竜じゃなくて、大きい・・・・トカゲですよね」


「・・・・どうやら、そうらしい。だが、油断はするな。コイツは毒を持っている!」


「ジャイアントポイズンリザードですわね。ナヴィアナと私でも充分倒せますわ・・・・けど、ここはお譲りしますわ」


「お譲り・・・・って! 俺ですか?」


「あなた以外に誰が戦うんですの? 子供達は、私達が見ていますわ」


「俺が見ててもいいですけど?」


「エル、ナターリアにお前の力を見せてやってくれ!」


 ナヴィアナさんから、期待に満ちた視線が向けられる。そんな目で見ないで!  


「しょうがない。やりますよ! やればいいんでしょ!」


 魔法でさっさと決めよう。レベルは・・・・35か。ハイオーガより弱いな。川があるから、水の魔法にしよう。


「アクアレイザーバレット!」


 魔法を発動させると、川の水が空中で大きな球体になり。そこから細い高圧の水流が、弾丸の速度で発射され、ジャイアントポイズンリザードを貫いた。


「ピャギ」と小さ下さい吠え、そのまま『バシャン』と川の中に倒れた。


「終わりました」


「さすがエルだ! ナターリア、言った通りであろう?」


「むー、ハイオーガより弱い魔物じゃ、比べられませんわ!」


「な、倒したのか? 凄いのじゃ!」


「お嬢様、危ないですから落ち着いて下さい!」


「ふう、終わっ・・・・ん? なんだ? 妙な気配が・・・・」


『ドゴーーーーン!!』


「ぐわっ!」


「エル!」「なんですの!」「なんじゃあー!」「お嬢様!」

「きゃあーー!」

 


「ゲホッ・・・・ゲホッゲホッ。なんだ一体」


 突然、何かが降って来た。砂ぼこりで辺りはよく見えなかった。

 それが晴れてくると、降って来た巨大な物体が何か分かった。


「地竜! いや、コイツは・・・・古竜か!」


 現れたのは、ジャイアントポイズンリザードと、さほど大きさは変わらないが。遥かに強大な力を持つ、黒い古竜であった。


 コイツ・・・・レベルはどのくらい・・・・キーン、うおっ! 鑑定を弾いた? レジストか! と言う事は、コイツ相当強い!


「ナヴィアナさん! ナターリアさん!」


 後ろに振り返り、二人に指示を出そうと思ったが。二人は、いや、みんなは震え、戦意喪失していた。圧倒的な差から感じとったのだろう。狩る者と狩られる側、地を這い踏まれるだけの虫と、そう感じたのだと思う。


 くそ、仕方ない。俺が時間稼ぎを・・・・。さすがに、古竜に勝てるかは未知数だ。みんなが、あーなっているのに、俺は平気と言う事は、少なくとも相手に出来ると言う事だと思う。そう信じたい。


「おい・・・・」


「ん? 今誰かが」


「おい!」


「えっ、まさか! 古竜が?」


「そうだ。貴様何者だ?」


 まさかまさかの、古竜と会話してしまった。

 竜がしゃべったよ、おい。


「何者と言われても、人間としか言えんが」


「馬鹿言うな! 人間如きがそれ程の力を持てる筈・・・・ん? そうか、貴様迷い人か?」


「迷い人?」


「こちらの者では無いと言う意味だ」

 

 それってまさか! 異世界転移の事か? いや、けど・・・・兎に角聞くしかない! 「何か知ってるのか?!」


「・・・・詳しくは知らん。ただ、時よりお前の様な者が此処にやって来ると聞いた事がある」


「・・・・」と言う事は、俺以外にも誰か、来てるかも知れないのか?


「おい・・・・おい! 聞いているか?!」


「ん、おっとすまん、考え事していた。それでなんだ?」


「貴様は我と戦うため来たのかと聞いている!」


「別に戦うために来た訳じゃ無いが。依頼で来たんだが・・・・討伐目標は地竜で、古竜じゃないからなぁー」


「つまり、我とは戦わ無い。と言う事か?」


「そうだ」


「そうか」


「俺から質問しても?」


「構わぬ」


「古竜は何故ここに?」


「古竜では無い。ララウ、ララウ・バハフィオールだ」


「・・・・・・・・あぁぁ! 名前か。俺はエルだ」


「エル・・・・」


「よろしくな」


「ふん、馴れ馴れしいぞ人間」


「名前を聞いて来たのはそっちだろ?」


 これが、俺と古竜ララウとの、初めての出会いでたあった。

 この時はまだ、ララウとの出会いに、あんなフラグが立っていたとは、思いもよらなかった


「因みに、オスメスどっちなんだ?」


「我はどう見てもメスであろうが!」


「どう見てもって言われても、分からないっての!」



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