アイスクリームとかき氷 その3
「かき氷・・・・ですか?」
「はい」
「かちごろり?」
「か・き・ご・お・り、だよ。アンネちゃん」
「かちゅごろり?」
ふふっ、めっちゅ癒されるし、和むなぁー。おっと、かき氷の説明しないと。
「えーと、かき氷って言うのは・・・・氷を・・・・えーと、削ってですね。そんでもって・・・・あの・・・・見せた方が早いですよね?」
ポカーンと聞いている二人を見て、口で説明するのを諦めた。
「は、はい、すみません。その方が助かります」
「にぃたん・・なにいってりゅかわかんにゃい」
分からない事言ってごめんね、アンネちゃん。
「それじゃあ、ちょっとうちに上がって下さい。中で見せますから」
「はい」「ひゃーーい」
二人を連れ、店から居住スペースの部屋へ。お店は、ちょうどお客が居なくなったので、休憩中の看板を出しておいた。
「さてと、まずはかき氷を作る機械と言うか、道具が必要なんです。それがコレなんですけど」
「コレがかき氷機?」
「かっこいいにょ!」
金属製のかき氷機を二人に見せると。アンナさんは、恐る恐るかき氷機を見つめ。アンネちゃんは、初めて見たかき氷を気に入ったのか。ぴょんぴょん跳ねていた。
このかき氷機は、アイスを食べていた時になんとなーく。食べたくなったのをきっかけに用意した。ゲーム、カオスフロンティアの夏イベで、かき氷機のレシピを手に入れていたので、作るのに苦労はしなかった。
「えーと、じゃあ説明しますね。まず、ここに氷をセットしてと。動かないように固定したら、ここを回す・・・・おっと皿を置いとかないと。じゃあ行きますね。くるくるくる」
「わーー! ゆきゅがふってきちゃ!」
「凄いですね・・・・って! どうして氷があるんです?!
今、夏前ですよ!」
「えっ? 魔法で水を凍らせたからですけど・・・・どうしたんですか? そんなに驚く事でも・・「いえ、驚きますよ!」
ん? なんでそんなに驚くんだろう?
「氷なんて、普通はお金持ちの方や、貴族のでも無いと・・・・」
あぁ、そう言う事ね。でも、それを言ったらアイスクリームは?
なんだろ、急に怖くなって来たな。案外、とんでも無い物を俺は売っていたのか?
・・・・まあ、いいか。問題になった時に考えよう。
「と、兎に角、こうやって氷を削って・・・・その上にイチゴ味の赤いシロップをかける。お好みで果物なんかをトッピングしてと。はい完成!」
「コレがかき氷」
「かきごろり」
「食べてみて下さい」
「冷たい! 甘い! 美味しい!」
「ちゅめたくてあまいねー!」
どうやら二人は、とても気に入ってくれたようだ。
「暑い日に、このかき氷なら・・・・でも」
「でも?」
「氷は欲しいと思っても、手に入る物では・・・・それに、この暑さで溶けてしまっては意味が・・・・」
「氷? 氷なら俺が卸しますよ? それに、氷を保存する冷蔵庫も貸しますよ?」
「えっ、いいんですか? いくらなんでも、そこまでしてもらう訳には・・・・」
「いえ、氷を用意するのに、それ程手間がかかる訳でもありませんし。冷蔵庫はお貸しする事で、俺に利がありますから」
「そう、なんですか?」
「はい。それに、アンネちゃんが笑っていると。俺も嬉しいので」
「・・・・ありがとうございます。アンネあなたも・・・・」
「ん? アンネちゃん・・・・」
俺とアンナさんは、アンネちゃんを見て言葉を失った。
何故か?
アンネちゃんは、かき氷にかけた赤いシロップで、口のまわりや服を真っ赤に染めていた。
「ぷっ、ふふふ。アンネったら」
「アンネちゃん。ほら拭いて」
「ん? どうちたんでしゅか?」
ふははは、いや本当に癒される。
その後、夏限定でかき氷をお店で販売し始めた。勿論、大盛況。
最も暑くなるお昼時には、長蛇の列を作る程にだ。
「はい、かき氷ですね。イチゴ味と・・・・レモン味ですね。少々お待ち下さい!」
「おまちくだちゃい」
アンネちゃんも、頑張ってお手伝いしている。その姿は、とても微笑ましい。 よし、俺も頑張らないととな。
「店長! また冷蔵庫の注文が!」
「はいはーい! 最低でも一カ月待ちだって言っといて!」
「分かりましたーー!」
利はあったが・・・・死にそうなくらい大変なんだが。
「店長! また注文が! それと、アンナさんから氷を追加して欲しいと!」
「はいはーーーーい! 了解でーーす!」
あぁ、もう! 忙しい!