衣料品店の立ち上げ その1
店を始めて三ヶ月半が経過した。
そして、俺は今、非常に・・・・。
「困った、本当に困った」
困っていた。
「どうしたんですか、エル店長。何がそんなに困ったんです?」
「リィーサ、見れば分かるだろ? この状況」
「えーと・・・・はい」
実は、俺の作った洋服や装飾品が。街で話題なった事で、女性客が大量に押し寄せて来るようになってしまったのだ。
「これじゃあ、他の物が売れないよ。それに、いちいち家にあげるのもなぁー」
「確かにそうですね」
「いっその事・・・・」
「エル店長、何かいい案でも?」
「うーーん、いい案かは何とも言えないけど。この状況よりマシになるだろ」
「うん?」
俺の考えた案、それは!
「えーと、衣料品を扱う店を新たに立ち上げようかと思う」
「えぇーー! なんでも屋の他にお店をするって事ですか?!」
「まあ、そうなんだが・・・・ちょっと違うかな?」
「どう言う事ですか?」
話しは一週間前に遡る。一ヶ月毎に、役所に訪れている訳だが。
俺の担当をしているリビィーさんに、相談をされたのがきっかけだ。
「あのー、エルさん。実はちょっと相談があるんです」
「えーと、普通相談するの俺の方なんですけど」
「まあ、そうなんですが。話しだけでも聞いてくれませんか?」
「まあ、いいですけど」
「実はですね」
リビィーさんの話しによると、衣料品店を営む人を担当してるそうなのだが。最近売り上げが落ちて、廃業寸前らしい。しかも、その人とは幼い頃からの友人らしく。祖母のお店を継いで頑張っていたとの事。必死に働き、三年は何とかもったが、現状は上手くいってない。そこで、アンナさんのお店に、俺がテコ入れをして売り上げを伸ばした事を知り。俺なら何とかするのではと、そう思って相談したとの事だ。
「うーーん。衣料品店か」
「はい。基本は中古の古着を扱っているのですが。最近は更に厳しいらしくて・・・・エル君のお店が、いい服を安く販売してるから」
またコレか。何で俺の所為にしたがるんだ? ・・・・まあ、本当に俺の所為だったら・・・・ちょっと、心が痛むな。
「それで俺にどうしろと?」
「どうって・・・・分からないけど、どうにかして欲しいのよ」
「そんな無茶な」
とまあ、こんなやり取りがあったのだ。内の店も、現在衣料品の扱いで困っている。ならいっその事、衣料品の扱いを任せちゃえと思い至ったのだ。
「つまり・・その人のお店に、洋服を卸すと言う事ですか?」
「まあ、そう言う事になるかな? 兎に角、行って様子を見て来るよ。と言う事で、リィーサ!」
「はい、店長!」
「留守番お願いね」
「・・・・やっぱりそうなりますよね」
「そりゃあーね」
チラッと外に目を向ける。店の前には、沢山の女性客が並んでいた。
「ですよねぇー。はあー」
「頑張ってくれ」
「はい・・・・」
*****
「リビィーさーーん! お待たせしましたー!」
「エル君、ごめんねー忙しいのに」
「いえ、忙しいからこそ今回の件は重要何です」
「うん、どう言う事かしら?」
「兎に角、その店に行きましょう」
「そうね、こっちよ」
リビィーさんに案内され、そのお店に・・・・「ここよ」
えっ、ここ? ・・・・・・・・ここなの?
リビィーさんに案内されたお店は・・・・ちょっとボロかった。
「あの、リビィーさん」
「エル君、何も言わないで! ・・・・入りましょう」
「・・・・はい」
「パメラ、来たわよー」
「リビィー! うぅ、えーーーーーん!」
「ちょっとパメラ!」
パメラさんという方は、リビィーさんに抱きついて、大声で泣きだした。
・・・・何? この状況。
「ちょっと、パメラ! 泣かないで・・・・って! 鼻水鼻水!」
「リビィーーー! うえーーーーーーーーん!!」
「帰っていい?」