主人公は目が覚める?!
空は朝起きると、空のベッドでうつ伏せになって寝ている瑠璃を見つけた。
「ここ来て、こんなにすぐ振り回されるとは思ってなかったな」
振り回される相手は母だけでいいと悪態をつきながら、空は風呂場へと移動する。
脱衣所で服をカゴに入れて、ラブコメ風にならないように、ちゃんと風呂場の鍵を閉めてから、レバーを引く。
シャワーヘッドからの冷たい水を避けるけれども、冷たい雫が飛び散る。
冷たい雫が空の寝ぼける目を覚醒させて、その後に出てきたお湯によって鏡にボヤける自分が映っていることに気づく。
空は鏡を拭いてから、再び鏡の自分を見るがすぐに曇ってしまう。
「新しい家族とは関わらないって決めてたのにな」
決心が足りなかったのだろうか。
愛着が湧けば、家を出ることに対して足枷となってしまうだろう。
しかし、空にはあの時の口論だけで、すでに愛着という無限に湧いてくるお湯が、自分の中に溜まっていっている。
そのため瑠璃を完全に拒絶することは難しい。
拒絶したとしても、空は必ず話を聞いてしまうだろう。
その上根気が強すぎるため、さらに難易度は上がってくる。
気づいたら、ペースに巻き込まれていた。
不思議な雰囲気と性格の良さ。
少ししつこくはあるが、それを考慮しても掴みやすい人格をしていて、親近感、信頼を寄せさせようとしてくる。
温度のレバーを極限に下げて、冷水をかける。
すると熱で曇っていた鏡ははっきりと空を映した。
空は、両手で自分の頬を叩く音をよく反響する風呂場に鳴り響かせた。
「現実を見ろよ。俺」
空には親近感、信頼などという温かみある言葉は、存在しない・・・・・・