主人公はゲームする!?
空は午前授業も相まって、家に着いた。
瑠璃は部活らしく、学校に残るため1人で帰ってきた。
そして、ドアを開けると
「お帰りなさいませ。ご飯にしますか? お風呂にしますか? それともわ・た・し?」
「どこで覚えた」
「賢者の本。別名 インターネットです」
呆れながら、空はアイを見て家に上がる。
すると、アイはちょこちょこと空についてきた。
「どうした?」
「いえ、することがなくて」
「あー、・・・・・なるほどね。掃除とかできる?」
「いえ」
空は、現代の掃除道具の説明と掃除の心得的なことをアイに教える。
「頑張ります!」
「頼んだ」
空は、瑠璃の部屋にある段ボールの箱のことを思い出した。
(移動させておくか)
瑠璃の部屋から、空の部屋にその段ボールの箱を移す。
空はベッドに腰掛けて、携帯がないため自分のパソコンを繋げた。
しかし、することもなく。
適当にMyTubeを弄っていると『マジカル・ファンタズマのここがいい!』という動画があった。
空は、アイの掃除する音を聞きながら段ボールに目を移す。
「でも、なぁ」
見つからなければ、と空の頭によぎった瞬間
空はパソコンに円盤を入れる。
出てきた真っ暗な画面には、『最初から始める』という文字だけが出てきた。
それをクリックすると『名前を記入してください』と表示された。
乙女ゲームなので、自分の名前を入力するのは少し躊躇ったため、『おまかせ』洗濯すると【ユキ】という名前に決まった。
『ようこそ、『マジカル・ファンタズマ】へ』
急に夕焼けの学校に、可愛らしい見た目の主人公が写る。
グラフィックはかなり良く、確立されていた。
「すごいな。これだけでも大体のゲームよりいいぞ」
空は、その主人公を動かした。
校舎中を歩き回れるようだが、空はすることがわからず、適当に散策していた。
バトル要素もあるのか、薬草や補助のアイテムが手に入る。
放課後のためかほぼ誰もいなく、いても話しかけると無視された。
スキル? のようなところは空欄で、何も覚えていなかった。
クリックすると、攻撃できる。
試しに他のキャラを殴ると、死刑となりゲームオーバーした。
「マジかよ」
空は気を取り直して、コンテニューし主人公を適当に動かす。
体育館裏に入ると、いきなりイベントが始まった。
イケメンがその体育館裏に入ってくる。
「これは、お前か? 特待生」
イケメンが手に持っていたのはハートのシールが付いた手紙だった。
「はい。好きです! 付き合ってください!」
そのシーンをみた空は思わず叫びそうになった。
(早くないか?)
空は、アイがまだ掃除をやっていることを確認してenterキーをタップする。
「私には婚約者がいる。すまないな」
「王太子さま・・・・・」
男は帰り、主人公が再び動けるようになった。
その瞬間、足音が階段から近づいてくることに気がつき、思いっきりパソコンを閉じる。
「掃除機の止め方がわかりません」
「コンセント抜けば止まるぞ?」
「なるほど!」
そう言って、走って帰って行く。
「もうやめとくか。アイに悪いし」
そう言って、メニューを開くと『合言葉』を『愛言葉』と書かれているのを見つけた。
調べると、入力するとアイテムが貰えるらしい。
「アイ言葉ともできるよな・・・・・。まぁ、偶然か」
空は円盤を抜き取った。




