主人公は夜を楽しむ!?
暗くなった頃、空達は机の上に中身のないお菓子の袋を置き、メインの天体観測のためレジャーシートの上に寝っ転がる。
しかし、雲ばかりで何も見えない。
「残念であります」
「天気予報、晴れだったのにねー」
「まぁ、楽しかったのでいいであります!」
悲しそうな顔をしていたアイは、何かを思いつき笑った。
それを見て、空と瑠璃は目を合わせてコンタクトを取る。
「はーい。みんな、中に入ってー」
「なぜであります?」
「いいから、行くぞ」
「でも、レジャーシート大丈夫?」
「大丈夫。大丈夫」
空と瑠璃はみんなを押して中へと入る。
すると、アイの詠唱が始まった。
「▲▲▼▼▼、●■●■●▼▼▼▼。●▼▼■●■・・・・・」
その歌のような詠唱が終わると、アイは空に手を掲げた。
すると、レジャーシートは吹き飛んで、空を貫通させる。
その勢いで雲は吹き飛んで、星空のカーテンが開き、流星群が夜空を舞っていた。
「レジャーシート、吹き飛んだであります! 嘘ついたであります!」
特に気にした様子ではないけれど、風が声を上げた。
すると、レジャーシートが夜空から舞い降りてきた。
その勢いで風の前髪が上がり、可愛らしい表情が現れた。
「お前・・・・・」
「凄いであります! どうやったのでありますか?」
「企業秘密だ」
風は空を掴み、前後に揺らす。
それを凛と相川が止める。
アイと瑠璃はすでにレジャーシートに寝っ転がっていた。
「とにかく見よ見よ」
「そうでありますね!」
寝っ転がると、黒く塗りつぶした紙に蒼いスプレーを細かく飛ばして吹きかけたような星空が見える。
「もうすぐ流れてるでありますよ!」
とても流れ星が一つ見える。
するとすぐに綺麗な流星群が始まった。
願いを3回言う間もなく次々へと消えるその星々は儚く、とても美しかった。
隣に寝っ転がっているアイを見ると少し寂しそうに目を輝かしている。
「星は嫌いか?」
空がそう尋ねると、アイは高速で首を横に振る。
「いえ、とんでもありません。好きです。・・・・・・・・・・ただ、知っている星座がなく。本当に別世界に飛ばされてしまったのだなって思っただけでして」
「そうか」
「星座に詳しくないのでありますか? 私が教えるであります!」
そこに風が乱入してきて、指で星空と星座早見表を交互に指して教え始めた。
空はそれを見て、微笑み夜空を眺める。
(同じ空でも、こんなに違うのか)
ポエマーの様なことを思ってしまい、苦笑すると右肩が触られる感覚に気づく。
右肩を叩いていたのは瑠璃だった。
「ねぇ、空。後で話があるの」
瑠璃はそう言ってから、夜空に集中し始めた。




