主人公は飛ばされる!?
空達はその用具を持って、屋上に上がる。
「涼しい」
少し暑くなって来た今にとってかなりいい場所ではないか。
そう思った空はすぐに後悔することになる。
空と凛は、レジャーシートの端を持って広げると
「うわっ」
屋上風にレジャーシートを持っていかれそうになる。
凛が何かを言っているが、レジャーシートの暴れる音で何も聞こえない。
めいいっぱいの力で2人はレジャーシートを引っ張り、持って行かれないようにする。
強い力と弱い力が交互に来て、体が揺らされる。
レジャーシートは何がなんでも離れたいようで、暴れ続けるのを必死で抑えた。
「行くであります!」
風はレジャーシートに飛び乗りおもしとなった。
「今であります!」
空と凛は同時にレジャーシートに飛び乗る。
しかし、端のみ鳥のようにバサバサと音を立てている。
3人は姿勢を低くして、体の四点でレジャーシートを抑える。
「リアル空飛ぶ絨毯とか勘弁してくれよ」
「おもしとして、机とか持ってくる?」
「今1人でも離れたら天空に舞うのであります!」
「誰かが生贄になるしか・・・・・」
そう騒いでいると、屋上のドアが開く。
沢山のお菓子袋を持ち摘み食いをしている相川が出てくる
「何やってるの?」
「相川ーーー! 机持ってきてくれーー」
「わかった!」
相川が言葉に反してレジャーシートに飛び乗る。
「裏切ったのでありますか!」
「私の方が机より重いのよ。って何言わせるの! 凛ちゃん!」
「へ? 私?」
相川が乗ってもレジャーシートが安定しない。
「今から飛ぶよっ!」
「勘弁するであります!」
レジャーシートの下に空気が入ったことを感じて、4人に死の気配が漂う。
「いい人生だったわ・・・・・」
「凛ちゃん、諦めちゃダメだよ!」
そこで屋上に入ってきたのは瑠璃と変装したアイだった。
瑠璃はアイの案内。
アイは、活動という事で入部も兼ねて来たのだ。
「乗れ! 瑠璃!アイ!」
「え? あっ、はい!」
「私も!」
瑠璃とアイがレジャーシートに飛び乗るとようやく安定した。
今まで焦っていたことが嘘のように冷静になってくる。
「あは、あはははは」
空は笑ってしまう。
自分達が本当に些細なことで必死になっていたことに気づいたのだ。
その笑いは伝染し、みんなが笑ってしまう。
みんなは安定したレジャーシートの上を歩き、靴をおもしとして端に置く。
「お菓子パーティするぞぉー!」
相川が持ってきた菓子袋のじゃんけん大会が始まった。
相川が王様で、買った順でお菓子を選ぶというルールだ。
まず、買ってきた者の特権として相川は自分のお菓子を選んでから、置いた机の上に乗った。
「じゃーんけーんポンッ!」
相川はパーを出した。
他のみんなは"最初はグー"から始まると思っていたので、アイ以外はみんなグーを出して、唯一アイがチョキを出し、勝っていた。
「さぁさぁ、好きなものを選びたまへ!」
相川はドヤ顔で種類の豊富なお菓子を見せびらかす。
しかし、アイは困った顔で手を合わせる。
「どれも美味しそうで選べません。・・・・・もし、嫌でなければ、みんなでシェアしませんか?」
相川はその眩しさに蒸発し、ゲームプレイ済みの瑠璃と凛はアイに抱きついて頭を撫でていた。
「アイちゃん!いい奴であります!」
「そうだな」
「びっ、びっくりしたであります」
「すまん」
風は咄嗟に瑠璃達の後ろに隠れてしまった。
「呼んでくれてありがとな」
空は頰を掻きながら、明後日の方向を見てそう言う。
風はそれ聞き、満面の笑みを浮かべた。
「こちらこそありがとうであります! 楽しいであります!」
「コラコラそこー? 早くしないとなんかお菓子が消滅するよー?」
空達はお菓子に群がった。