ヒロインちゃんはデートを潰される!?
次の日
「ねぇねぇ、白柳君。連絡先交換しよ?」
放課後、空は相川に絡まれていた。
「すまん携帯持ってない」
「どこの時代から来たの?」
「令和だな」
相川は、空の机から離れない。
教室のドアの方を見るとムスッとした表情の瑠璃がいる。
(今日、デートの日らしいし、これ以上瑠璃の中の俺が大暴落する前に、できれば行きたいのだが)
相川は頑なに離れようとしない。
寧ろ、ニヤニヤと笑って空の方を見ている。
「女の子と話すときに、他の女の子の方見ちゃダメだよ?」
「理不尽な」
相川はチラリと瑠璃を見て、悪戯する子供のような顔をした気がした。
「まっいっかー。今日、天体観測部の手伝いボランティアだからね」
「は?」
「強制だから〜。今日来なかったら、部員全員に恨まれるからよろしくー」
相川はそそくさと教室を出てしまった。
空は汗を滝のように垂れる感覚を抱きながら、瑠璃の方を見る。
すると、冷気が出てきそうなほどの睨みを効かせた瑠璃がいた。
「あー。瑠璃?」
「先帰る」
行ってしまった。
空は引き止めようとしたが、運動部のダッシュには追い付かず、瑠璃はすぐに見えなくなってしまう。
「最悪だな」
今日のデートは、無しになるだろう。
空はそう思い、溜息をついて天体観測部の部室を探す
すると、凛が手招きしてるのを見つけた。
空は駆け寄ると、凛は歩き始める。
「今日、瑠璃と遊びに行くんじゃなかった?」
「そのはずだったよ」
事の経緯を説明すると、凛は頭を抱える。
「瑠璃の悪い処出ちゃったみたいね。あの子、好き嫌いの差が激しいから・・・・・」
「嫌われたってことか。 (まぁ当然か)」
「いや? あの子が嫌う事なんて滅多にないし、あれは楽しみにしてたからこそだと思うわ」
凛はそう言って笑う表情を空はじっと見る。
嫌われていると思っていた空は、瑠璃が楽しみにしてるということが想像できなかった。
すると、背中に衝撃を受ける。
前髪の隠れた女の子があわわわーとしていた。
「この子が天体観測部の部長で唯一の部員の馬場 風ちゃんね」
「はっ、そうであります! 突然ぶつかってごめんなさいであります!」
また、個性的な・・・・・
空はそう思い、そのハムスターのような印象を受ける風の方を向く。
「空です。よろしく」
「やや! 空、いい名前であります!」
「あ、はい。というかなんで凛の後ろから?」
凛の後ろから声がするだけだ。
「男子は怖いであります!」
なんという偏見だ。
「と、とりあえず、これお願いであります」
レジャーシート、双眼鏡、方位磁針と簡単なもののみだった。
「これだけのために呼ばれたのか?」
「設置は簡単なのでありますが、レジャーシートがどこかへ飛ぶのと、寂しかっただけであります!」
敬礼する風を見て、空は溜息をついた。
それに凛は苦笑して見る。
「まぁ、いい経験にはなると思うわよ」