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悪役令嬢は現代世界に転移する!?  作者: リンリン
ボランティア部⁉︎
28/40

主人公は部活動する!?

アイは暇なので、日本語を覚えようと食べ物レシピを開く。


 母音探しからの文字予想、それをどんどん進めていく。

 さすが、学業一位というべきか、集中力がとんでもなく強い。


 しかし、


(無理)

 

 ただそれだけ。



 〜昼休み〜


 エビチリが辛かったのか、空は瑠璃からの睨みを一身に受ける。


 それから、顔を背ける。

瑠璃は何かをカウントしていたが、空は知らないと思い目をひたすらに逸らすと


 その先には詐欺師、相川がいた。

相川をキッと睨むが相川は、自分の爪を見るのに集中しているため、気づかれない。


 空はため息を吐き、自分で作った弁当を平らげて、図書館でも行こうかと立ち上がると、瑠璃の親友の瑠璃にに服を引っ張られる。


「部活動」

「すまんな、入ってる」

「そうじゃなくて、私もボラ部だから」


 淡々と話す凛を見て、空は瑠璃があの事を言ったのだろうと判断した。


「部活動」

「・・・・・自由参加って聞いたんだけど」

「強制だけど?」


 あのチビィと内心で愚痴るが、相川は手鏡で自分を見ていた。


「部長があれだから、大変だけど頑張ろうね?」

「・・・・・あれなんか」


 トップが詐欺るような部活って・・・・・

本当にボランティアなのか怪しくなってきたな。


(裏で金取ってるんじゃないか?)


 空はそう思い、凛について行く。


「今日のお昼は、図書室のボランティア。本の整理」

「学校内のボランティアなのか?」

「やっぱり、貴方もそっち側なのね」


 凛は哀愁漂う雰囲気でそう言った。

どこか遠くを眺めている。


 空は聞き逃さなかった。『も』を

この凛も被害者なのだろう。


遠くを眺めながら歩く二人の間に相川が乗り込んできた。


「ボランティアの定義は、"自発的な意志に基づいて他人や社会に貢献する。"だからね! 学校で困ってる人の手助けもボラ部の仕事だよ!」


 そこの3人の中にいる約2名が自発的な意志を持っていなかったが、そんなことは些細な問題だろうと言わんばかりに先頭を歩く。


 すると相川の少し強い香水が鼻を過ぎる。

相川が廊下を歩くと、その香水に寄せられるようにいろいろな人に挨拶される。


 その香水には、人を寄せる効果があるのかなどとくだらない事を空は、思ったが、相川の信頼度が当たり前のようにそれを偽りだと語る。


 ギャルギャルしい格好をしているが、距離を置かれることもなく、色々な人に話しかけられている。


 本当にボランティアをやっている決定的な証拠だ。

確かに、相川は親切だ。


 学校案内もしてくれたし、まだ慣れてない俺をみんなから一時的に遠ざけてくれたら、これは瑠璃から聞いた話だが1番に俺を捜索しにきてくれたのが相川だったらしい。


 どうやったら、こんな良識人が生まれるのかと一瞬考えたが、空はさっき詐欺されたことを思い出す。


(良識人は盛りすぎたな)


 空がそう脳内反省していると、図書室に着く。

すると、司書さんが出迎えてくれた。


 司書さんは、相川を撫でつつ抱きしめる。


「いつもありがとね」

「好きでやってるからいいのー」


 空は決してやましい想いはないが、少し羨ましいと思った。


 その想いは捨てて、司書さんの話を聞く。

内容は簡単だった。

・本の整理

・掃除


 意外と少ないと思ったが、昼休みとはいえそんなに長くはない。

できることは限られている。


 空たちはすぐに作業を始めた。


・本の整理  空 凛

・掃除    相川

と言う分担で進める。


 相川はクルクルに巻いた髪を束ねて結んで箒を掃いていく。


 それを横目に空と凛は黙々と作業を進める。

最初は、本の整理に必要な番号が何がなんやらわからなかったが、凛に教えてもらってるうちに段々覚えてきた。


 その頃、相川が困ってそうな人を見つけて話しかけているのを見つける。


 相川は笑顔で相手に接して、頼み事を承っていた。


「ああ言う風に、いつも仕事持ってきてるのか?」


 空は小さい声で凛に話しかける。


「ボランティアよ、空君。そこ間違えると花ちゃん。・・・・・ああ、相川さんがうるさいから」

「ああ、悪い」


 クール風だが、最初の弱々連続パンチを見ているため、空から見てみれば違和感しかなかった。


 確かに、クールな見た目だ。

頼れそうな感じも顔の美しさも兼ね揃えていて、完璧にしか見えない。最初の接触がなければだ。


 だから、最初は瑠璃が全て話したのかと思っていたが、そうではなさそうだ、と判断できる。


 内心、どこか良かったと思いつつも冷めた心でそれを否定する


「凄いわよね」


 そう淡々と返したが、その目は尊敬の眼差しに近い物があった。


 凛は手を動かす。


「私ね。強引に誘われたのもあって最初の頃は本当に部活動が嫌いだったのよ。・・・・・これお願い」


 空は凛から本を受け取り、高い棚に本を差し込む。


「今は楽しいのか?」

「ええ」


 その声はとても穏やかで沁み切っているような声だった。


「なにが? って聞いたら失礼か」

「ううん。まだ、わからなくてもいい。自分で見つけるべきよ。ボランティアの楽しさをね」


 空は、はっきり言って対価のない労働は無駄としか思えていない。


 渋々やっているのは、相川も凛も薄々わかっている。


 しかし、ボランティアの楽しさを説くわけでもなく、自分で理解して欲しいようだ。


 空がそれを理解できなかったら、相当な無駄な時間を過ごすことになる。


 空は溜息を飲み込み、外を見ると


 雨が激しく降っていた。

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