ヒロインちゃんは誘う!?
空は布団から起き上がる。
昨日、アイに常識について説いていた。
瑠璃は隣で座っているだけで、ずっとアイを見ていただけなので実質空一人で説明した。
疲れも溜まっていたせいかもしれないが、尋常になく眠たかった。
布団をずらすが、まだ少し肌寒い。
眠い目をこすりながら、勇気というかやる気を振り絞って出る。
ぼやける頭をふらつかせながら、気をつけて階段を降りた。
洗面所の水で顔を洗い、欠伸をしながら時計を見る。
そのデジタル時計は、6:05 (木)と書かれていた。
「眠い」
空はキッチンへと移動して、朝食のパン三枚をトースターに入れる。
欠伸をしながら、冷蔵庫の中身を確認すると食べ物が海老しか入っていない。
そのかわり、調味料がたくさん合ったため
昼飯はエビチリが確定した。
「ちょい辛くなったけどいいか」
そうして、エビチリ一本を食べる。
「うまいな。米も欲しくなる」
炊飯器から、ご飯の炊ける音がした。
弁当箱二つにそれを盛り付けて、一つは冷蔵庫の中へとしまう。
「起こすか」
瑠璃の部屋をノックする。
しかし、返事はない。ただの屍のようだ。
屍なので瑠璃の部屋を開ける。
すると、瑠璃は猫の様に蹲って自分のベッドで包まり寝ていて、
アイはわざわざ床に布団を敷いているというのに、狭いところが好きなのか瑠璃のベッドの下に入り込んでいる。
そのまま持ってきたフライパンをオタマで叩く。
すると、その鼓膜を破りそうな音が部屋の中に鳴り響き、二人を唸らす。
アイは瑠璃のベッドに頭をぶつけて蹲り、瑠璃はその振動で地震と間違え飛び起きる。
「ご飯」
「もう少し寝かしてくれてもよかったじゃん」
「痛いです」
そのまま、渋々部屋から降りてきた二人はパンにバターを塗りながら細々と食べる。
瑠璃は半分寝ていて、アイはよっぽど痛かったのか額をいまだに抑えている。
アイは瑠璃と2人で寝ている。
瑠璃のアイ愛具合は、半端ないが瑠璃曰く推しの絶対領域は犯さない? という謎の理論を立ててきたのと、アイが了承したためそういう結果になった。
瑠璃は、パンの味が薄かったのか醤油をかけ始めて、零していた。
空はそれをジト目で見つめ、瑠璃は刺繍の入った白いハンカチでそれを拭いている。
血のつながらないため、シェアハウスの様に見えるはずだが何故かそんな一面を連想させなかった。
そのまま、空と瑠璃は準備を済ませてから、家を出て学校へと向かった。
靴を履く空を瑠璃は待った。
空は先行ってくれてもいいのにと思いながら、瑠璃の隣を歩く。
気まずく重い雰囲気が流れた。
一歩一歩が重苦しい。
「私決めました」
「はい!?」
空はいきなりの大声に驚き敬語で返してしまう。
「人は過ちは犯します」
「……?。はい」
「だけど、大事なのはその後、どうするかだと思います。……ので、ので、明日。で……デートしてください!」
「はい?」
瑠璃は一昨日見知らぬ困った少女アイを拾ってきた空を見て、ふと疑問を持った。
空は・・・・・・・・・・と。
瑠璃はまだ断定できていない。
まだ、推定すら早い。
瑠璃は気づいた。
空のことをまだ何も知らないことを。
空は呆けていたが、少し考えた後で了承した。
そのまま二人はアイの話でどこかぎこちなさを残しながら盛り上がり、そのまま学校へと行った。




