主人公は思い出す!?
お腹がすいた。
夜食を買いに行くか、毒を食べるか
空はそう迷っていると、瑠璃に肩を掴まれる。
「ちょっときて」
空は未だ、箸に苦戦するアイを横目に瑠璃の部屋へと連れ去られる。
瑠璃の部屋へと入ると、気まずい雰囲気が流れる。
「アイちゃんのことなんだけどさ」
瑠璃はそう切り出した。
空はどこか気まずい様子で瑠璃を見る。
「アイちゃんに、ゲームの世界の住人ってことは黙ってよう?」
アイがどう思うか。
それは全く想像がつかないが、ショックを受けることは間違い無いだろう。
「いずれバレるだろうし、早い方がいいんじゃ無いか?」
「流石にずっと黙ってるわけにはいかないでしょ。帰る方法もない上に、アイちゃんは今この世界に来てまだ日が浅いから、もう少し日を置いてからにしない?」
空は自分の世界がゲームだと晒されたらどう思うか考えてみた。
何もかも無駄に見える・・・・・・と思う。
今の自分と同じだな。
空はそう感じ、
自分がそれで何をしようとしたのかを思い出し、瑠璃に同意する。
瑠璃はダンボールの様な箱に渋々、攻略本とゲームの円盤の入った箱を入れて、箪笥に入れるのを横目に
用の無くなった空は、瑠璃の部屋からでて自分の部屋のドアノブに手をかけるが、
「風呂でも行くか」
空はそのまま風呂へと向かう。
誰もいない洗面所の扉を開いて、服を脱ぐ。
誰もいなかったせいか、少しひんやりとした空気が流れる風呂場の椅子に座り、
シャワーを出す。
すると、最初冷たい水が流れた。
その水がお湯に変わったことを確認すると、空はかいた汗をシャワーで流す。
「はぁ、疲れた」
瑠璃は、空がいなくなった後にもいろいろな人に連絡をして、捜索されていたようで、一緒に探してくれた瑠璃の友人は一方的な顔見知りだった。
説教もされながら一緒に探し回ったため、人見知りなところがある空からは十分な負担だった。
「お疲れ様です。それじゃ、お背中お流ししますね」
「ああ、うん。・・・・・・え?」
そこには、胸に白柳と書かれたスクール水着を着ているアイがいた。
アイが乙女ゲームの世界の住人であり、主人公と攻略キャラの仲が進展しやすいよう、変わったちょっとエッチい文化が常識となっていた。
現代世界ではびっくりするような
そんな文化。
一瞬、何が起こったか分からなかった空は攻略本には、湯浴み姿だったなぁ、などと変なことを考えるが、当たるシャワーによって意識を覚醒。
瞬時に理解して、大事なところをタオルで隠しながら無言でアイを外に出す。
「現代世界に乙女ゲーの常識持ち込むなやーー!!」
アイに常識を覚えさせることを決意した。




