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悪役令嬢は現代世界に転移する!?  作者: リンリン
心優しき悪役令嬢
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主人公は強引に!?

「口の中がまだ泡立ってる」

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


 そう言って、アイは何度も謝る。

空はアイを見て、昨日の三つの数字を思い出して

大きく首を横に振り、アイから目を背けた。


「はきゅう」


 アイはそれを見て嫌われてしまったと勘違いして、本当に兎のような声を出し、落ち込んでしまう。


 空は訂正する。

アイは少し俯いたまま、自分の両手を見つめながら、空の話を聞くが落ち込んだままだった。


「あー。じゃあ、してもらいたいことがあるんですが」


「エッチな事はダメです!!」


「身体目的じゃないって納得してくれたじゃん。昨日」


 アイは空から少し目を逸らし、溜息をつく


「人の心は変わるものです。空様だって私の姿を見て」


 空はとある昨日読んだ本に書かれた、数字を思い出す。乙女の絶対領域。


「・・・・・・なんで、否定しないのですか?」


「いや、そうじゃなくてな? これには深いわけが・・・・・・とりあえず頼みたい事はただの散歩だから気にしないでくれ! 行くぞ」


 空はアイの手を引っ張って押し切る。

アイは引っ張られて、乱雑に靴を履き外へと出た。


 アイの目に太陽の光が入る。

今まで室内にいたためか、それがとても眩しい。


 小鳥が囀り、涼しげな風が髪を揺らす。


「昨日は夜だったからな。新鮮か?」


「・・・・・・はい」


「まぁ、行きたかった場所はここじゃないんだけどな」


 空は歩いて、辺りを見渡す


(やっぱり、ここら辺見たことある)


 空はアイを連れて昨日の夜とは違い、明るい歩く。

アイは、昨日の夜とは違い目新しさのせいか目を輝かして辺りを見渡す。


 日光が二人をぽかぽかと照らし、アイは楽しむが、空は裏路地に入ってしまった。


「空様?」

「大丈夫だ。前回来た時はかなり特殊な状態だったから、変な道になってるだけだ」


 静かな通り、不安のみがアイを襲うが

アイの手を引く空の手を意識して不安をぬぐう。


 しばらくすると、明かりが刺した。

風が大きく吹く。


 髪全体を空中へと浮かせた。

水の匂い、流れる音。草の匂い、傘が擦れる音。


 自然という自然がそこにあった。


「見慣れてたりするか?」

「いえ、こんなに平和な場所は初めて見ました」


 流れる雲や水と共に時間が流される。


「素敵な場所です」


 空は河原に座る。

それを見て、アイも河原に座った。


 自然の音のみが響き渡る。


「ここさ、父さんが好きだった場所なんだ」


「瑠璃ちゃんから聞きました。・・・・・・好きだったのですか?」


「ああ」


 風に撫でられて、空は本音を差し出す。


「なんかあったらここに来てさ、何にも考えずにボーッとしてたんだ。そしたら、嫌なこと全部忘れてるんだとさ」


「わかる気がします。精霊も喜んでいますし」


 精霊・・・・・・その力を使って魔法を行使するらしい。

しかし、攻略本には人間が聖霊と干渉する事はできないと書かれていた。


 空は笑顔でわからない単語をスルーして、自然を大きく眺める。


「飯のこと、俺はもう許してるからさ。気にすんなよ」


「・・・・・・その為だけに、私をここへ?」


「悪いか?」


 アイはその笑みが、好きだった男性によく似ている気がした。


 髪の色も目の色も性格も全く違うのに、

何故か、そう思った。


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