主人公は夢を見る!?
初めて、冤罪にあった日。
俺は父と一緒に河原に来ていた。
俺がいじめをしたと聞いて怒り狂っている母から俺を庇う父と一緒に逃げ出してきたのだ。
雲や草木をゆらゆらとゆっくり流す風にあたりながら、自然と一体になっていた。
俺らは遠く、遠くで沈む日を眺めながら口を開いた
「父さん。生まれてきた意味ってなんだと思う?」
「重いなぁ。父さん、小学生の口から聞く言葉じゃないと思う」
父さんの若干のお巫山戯を無視して、流れる川を見つめる。
「人間自体が、生まれてきた意味がないからなぁ」
とても驚き、
視線が父さんに釘付けされた。
「こんな綺麗な風景を自分たちが作った紙や硬貨のために壊してるんだぜ? 逆に害だろ」
父さんはもっと大きく風景を見ながら、どこか哀愁漂う雰囲気で言う。
「でも、物語の主人公とか言ってるよ?」
俺は最初、それは創作物だろと言われてしまう事を覚悟しながら聞いた。
しかし、父さんの回答は想像していたものとは別の方向へと行くのだった。
「それは、やりたいことがあるからだろ。何か曲げたくない何かを持ってるからだ。それは父さんも持ってる」
「・・・・・・それは、なに?」
父さんは"わかってる癖に言わせるなや"とどこか照れ臭そうに俺の頭を撫でる。
「お前らだよ。お前らを守るために俺は生まれてきたって勝手に思ってるぜ」
電車の走る音だけが鳴り響き、沈黙が生まれる。
「だから、お前の言うことを一番最初に信じるし、いつでもお前の味方だ。生まれた意味なんて生きてりゃ意外と勝手につくもんだぜ」
父さんは、そう言って俺に笑った。
俺はその笑顔を忘れることはないだろう。
「コラーー!」
「やべ、母さんだ。見つかった。他のところ逃げるぞ!」
「うん!」




